第3話 それぞれの作戦2
けつの穴万太郎 他作品紹介
今を生き抜く!! そんな叫びが聞こえそうな位、何にでも一生懸命な生活を送るやのちゃん。
天真爛漫な彼女は今の生活に何の苦悩も無かった。しかし、友達の死をきっかけに自分の生き方に疑問を抱くようになる。生きることとはなんなのか? 幸せとはなんなのか?
万太郎初の女性主観の自叙伝。
『ポップコーン☆ジャンプ』
ーーー中田さんカー班ーーー
「またまた補足だが普通のサバイバルゲームはチーム一丸となって戦うが、今回はほぼ全員がバラバラの位置からスタートする事になるからな。会場となるのはこちらで用意した無人島だ。地図は個人に配るリュックの中に入れておく」
「質問いいすか?」
「なんだ内田?」
「記憶を戻す方法はありますか?
あと、さっきからもう一人の自分が凄い睨んできて怖いんだけど…」
「ハハッ。そりゃあ悪かったな、おい! ヤマっ! もう下がっていいぞ」
そう言われると、ヤマと言われる男はジッとうっちゃんを見つめた後、コピーうっちゃんの手を引いて会議室を後にした。
「もう一つは、記憶を戻す方法だったか? 島内に某漫画に出てくるようなメディカルマシーンを設置しておいた。時間はかかるがそれで記憶は戻る」
「質問!」
「おっ、原澤! なんだ?」
「今回のゲームの趣旨とゲーム終了後、昏睡状態になった人は何かケアがあるのか。これを聞きたいですね」
「まず、今回のゲームについてだが、日本は今『個』というものが失われつつある。みんなも聞いたことあると思うが、小学校の運動会で順位をつけないとか、学芸会でみんな主役をやるとか……話にならんだろう。こんなもの。元は我々の上司が決めた法案だが、明らかにおかしい。これは『個』が殺されているのと同じことだ。私としてはこの意見にはもちろん反対だし、『個』を強くするほど日本という国は発展していくと考えてる。
今回のゲームは生活や環境によって作られた『個』が、それに近づけた『個』にどれだけ差がつけられるか、それを観たいと思っている」
「んふーっ、なんか個、個って日本代表の本田みたいだな」
思わずもろちゃんがツッコミをいれる。
「それと昏睡状態になった奴だが、残念ながらそのままだ」
全員の顔が一気に引きつった瞬間だった。
「他は、ないかな? それではこれより一時間後また君達には眠ってもらう。起きた時からゲームスタートだ。最初に寝てる時に襲われる事は無いから安心してくれ。この一時間結構大切だから有意義に使った方がいいと思うぞ」
ーーーーー
秋山と桜庭が出て行き会議室にはしばしの静寂が訪れていた。
全員がゲームのリスクを聞き、緊張と恐怖から口を開こうとしなかった。
そんな中
「はい、はい、はい、じゃあ作戦会議始めますよ」
言いながら手を叩いたのは中田さんだった。
「とりあえず、どうしようか? 荷物のチェックでもしてみる?」
「そうしましょう!」
もろちゃんの案にすぐに返事をした中田さんは、部屋の隅にまとまって置いてあるリュックを持ち出し中身を物色し始めた。
「あっ、あーー? これって、あれだよな?」
「なんか見つけたん?ゆうちゃん?」
「ウッチャンさー、昔、日記かなんかに書いてなかったっけ? コレの事」
「? 何なに? ? なにそれ?」
「あのほら、ドロケーの時に味方のいる位置がわかるとかいうやつ」
「……あっ。あー。あったねそんなの。それってそんな形してたの? ってか何でそれってわかったの?」
「いやなんか前に亀ゲー行ったら置いてあって、あっ、これか! って思ったから覚えてるんだよねー」
「えっ? まだ亀ゲーってあるんだ?」
「いや、今は知らない」
「ね、ね、そんなことよりさ、これどうやって使うの? 使いこなせたらかなりのアドバンテージになるんじゃない?」
少し興奮し気味にもろちゃんが入ってくる。
「これはねー、
全くわかりません!!」
「カスっ!」
中田さんの妙なタメに思わず突っ込むうっちゃん。
ピッ
ピッ
「四桁の数字を合わせるみたいですね。恐らく数字が合っていれば他のと連動するんじゃないですか?」
腕時計型のオモチャをいじりながら五十嵐さんが言う。
「四桁の数字か……何かいい数字あるかね?」
もろちゃんが全員に聞くがすぐに答えは返ってこない。
………
………
「俺が思いついたのは三五九四か八八二一かなー、あとは〇三〇四」
「それ全部俺に関係してるから!!」
うっちゃんの発言にすぐにツッコむ中っさん
「中田の誕生日が三月四日は知ってるんだけど他の数字って何なの?」
「かわしー、前のゆうちゃんの車見た事ある?」
「ないない」
「前の中っさんの車、ちょっと特殊?俺は初めて知ったんだけどキーが無くてもドアが開けられるっていう作りで、その時のキーワード? キーワードって表現で合ってるのかわかんないけど、それが三五九四だったのよ」
「へー……」
全く興味無さそうにかわしーが答える。
「八八二一は、なかっ」
「中田の実家の電話番号!」
ここぞとばかりに原澤さんが答える。
「マサさんまで知ってるやないかー」
「じゃあその中で決める?? それともタケさっきから黙ってるけど何かいい案ある?」
「そー…ですね……いや浮かばないっすね」
タケが顎に手を当て視線を下に彷徨わせていると突然五十嵐さんが口を開いた。
「二三五七というのはどうですか?」
「二三五七? 何かにちなんだ数字ですか?」
「素数です!」
………
………
「ちょっ、ちょっと難しくないですか?
いやでも、こんくらいの方がいいのか? 内田さんどう思う?」
「うーん。素数か……確かにうちら以外は選ばない数字だろうなー。他の組みは全く会えない可能性が出てくるけど、もし敵のチームもコレ持ってるとしたら厄介だし、うちらだけって意味では意外と良いのかも…」
「あのー、もろさん素数って何ですか?」
「ンフフふ、タケは本当に…」
「素数ってのは、自明な正の約数以外に約数を持たない自然数であり、1 でない数のことだよ。つまり、正の約数の個数が 2 である自然数のことなんだよね。例えば……」
「原澤さんちょっと黙ってもらっていいですか?」
すぐにツッコミを入れるうっちゃん。実に慣れた感じだ。
「じゃあウチらは二三五七で合わせますか…」
「了解!」
「わかった」
「あと他に何かしら決めとく事あるかね?」
「ヤバイよもろちゃんもう四十五分経ってる。サクサクいかないとすぐかも」
「マジか、ねーねー、みんな他の人と会ったらどうやって本物かどうか判別するの?」
「確かに……なんか目印みたいのないかね? なんかいい案ないですか? 五十嵐さん」
「んー、エンカウントした場合ですか……
わからないですね」
「あれじゃないの、どっかでみんな待ち合わせるとか」
「いや、待ち合わせは意味ないよ! だってアレでしょ、地図もらってるけど自分の位置がわからないから何処にいるかなんて全然検討つかないもん。みんなで西をひたすら目指すとかなら効果あるかもしれないけど、それでも大雑把過ぎて効果的とはいえないよ。第一時間すらも正確に測れるか分かんないから、そこにどれだけいたらいいかもわからないし」
「原澤さん……こういう時本当たまに的確な事言いますね」
「えっ? 俺? いやこういう時はむやみやたらに……」
「原澤さん、ちょっと黙っててください」
「内田さん、最初に説明あった例のあの『飴』だけど、どうする? だれがもっとく?」
「んー、あの『飴』ねー……取り敢えず俺もっててもいい? ちょっと試したいことあるんだよね」
「なんかあるなら自分は全然いいけど、他の人もオッケー?」
「うん、いいよー」
「まぁ、いいでしょう」
「大丈夫です」
こんなやり取りをして中田さんカーのメンバーは眠りについていった。
はいはいどうもオリバことてちやんです。
ひさびさの再開ですねー。
えっ?? わたし??
ひそかに編集作業してますよ。カラオケいきてぇー!!
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『それぞれの作戦3』
はい、原澤さんだめでーす。