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第1話 説明

この話は登場人物以外全てフィクションです。登場人物の心理描写も勿論フィクションですので、ケンカや揉め事など作者は一切責任を負いません。嫌な方は見ないで下さい。

ーーー二○XX年ーーー


十一月三日






一年間に何度か“特異日”というものがある。何十年という気象データを見ると、ある一日だけ毎年雨であったり、晴れであったりする日の事だ。十一月三日。この日は晴れの特異日だ。何年か前にその事を知ってからpacchimoの旅行は毎年この日に行われている。pacchimoというのは地元を中心とした友達の集まるグループ名の事だ。詳しい人数は数えたことがないがおそらく三十人近くいるだろう。今回の旅行では二十一人集まった。ここまでの人数になると最早グループというより何かのサークルと言った方がしっくりくるかもしれない。毎年旅行には行っているがここまでの人数が集まるのは初めてだった。



東京都葛飾区亀有駅、漫画で有名なこの駅の近くの公園が今年の待ち合わせの場所だ。待ち合わせ時間の朝九時になり、続々とpacchimoの面々が集まってきた。



「あと来てないのは、てっちゃんと、健さんくらい?」


などと話しているとてっちゃんを助手席に乗せた白いワゴン車が到着した。もちろん運転席に座るのは健さんだ。


一同が集まり、乗る車の相談をする。なにせ今回は二十一人もいるのだ。車も三台用意して行くのである。運転手は車の持ち主である、俊ちゃん、健さん。そしてレンタカーを一台借りて運転するのは中田さんだ。中田さんは車酔いが激しく、いつもどこかに遠出する時は運転手が多い。今回も例にもれず自然とそういう風に決まった。


車の割り振りはグーチョキパーで決めた。運転手にもそれぞれしてもらい、乗る方七人が同じのを出した時点で抜けていく、といった具合だ。


グー組: 健さん、てっちゃん、矢野ちゃん、いっしー、タクマ、しまちゃん、だいき


チョキ組: 中田さん、もろちゃん、原澤さん、五十嵐さん、うっちゃん、タケ、かわしー


パー組: 俊ちゃん、きっぺ、クミさん、師匠、つげ、戸井、ほんちゃん




組み合わせが決まり、目的地である山中湖の貸しロッジへ向け出発する。


途中二度ほどサービスエリアに寄り、休憩と時間調整を図る。あまり早く到着しても清掃中でロッジを使用する事が出来ないからだ。ロッジに到着してからの予定としてバーベキューもやるので、サービスエリアではみんなセーブしながら腹ごなしをしていた。


時間調整も予定通り行き、あとは現地に向かうだけとなった。高速道路を降り下道でロッジに向かう途中、異変は起きた。

いや起きていた。

それに気付いたのは山中湖の周りを走っている時だった。視界がとにかく悪いのだ、霧のせいで。今日は特異日。しかも出発する時には雲一つない快晴だったのにも関わらず。途中まではライトをつけ、それでもなんとか走り続けていたが、もうすぐで目的地に着く事もあって先頭を走る健さんは、一度止まり最終確認したいと助手席に座るてっちゃんに話した。てっちゃんは了承し、すぐに他の車に乗るメンバーに連絡を取った。



いくら待っても返事はだれからも来なかった。おかしいと思いてっちゃんは近くのコンビニに車を止めようと提案する。駐車場に入り、再度メールを確認。やはり誰からの返事もない。

「メールきてねーや、ちょっとここで待ちますか。っと、トイレいってくるわ」




ガチャ!



???



ガチャ!



???



「ん? 健さんドア開かないんだけど」


「うそーこっちはかいじょしてあるよ。よっ、あれっ、うんてんせきがわもあかない」


「窓は開くの?」



ウィィーン


しまちゃんがそう言って窓を開けると車の中には濃霧が押し寄せてきた。







ーーーーーーー






健さんカーの面々が気付くと、そこは会議室だった。これは比喩でもなく、誰から見ても会議室だった。キョトンとする一行。無理もない、車の中に霧が入って来たと思ったら猛烈な眠気に襲われたのだ。そして目覚めるや否やこの状況。みんな、ん?? と言わんばかりの顔をしていた。




ガチャ



「やぁ、pacchimoの諸君! ご機嫌いかがかな?」


会議室に一人の男が入ってきてそう言った。


「? 秋山?」


答えたのはてっちゃんだった。自信無さげに、しかし記憶をたぐり寄せ出た言葉。


「おぉー岩間! 覚えててくれたか。嬉しいなー。久しぶりだな。お前ら!」


秋山の挑発とも言えるなめた口調だが、誰も反応しない。


いや、反応出来ていない。


其れ程に今置かれている状況は異質だった。そんな中再び秋山は口を開く


「っと、初めましての人もいるな、佐藤と矢野! 改めまして、こんにちは、私は内閣情報調査室の秋山と申します。以後お見知りおきを」



「? あれ? そう言えば、他のみんなは?」


てっちゃんは、秋山の言った佐藤と矢野、という言葉に違和感を覚えていた。その発言を聞き他のメンバーは一斉に周りを見渡した。


「そうだよな、気になるよな、だけど残念。この部屋にいるのは君達だけだ。他の車に乗ってた奴らはまだお寝んねしてるよ。まぁ心配するな、順次同じ様に説明があるから」


順次。この言葉でてっちゃんは悟った。少なくともあと二回はこうした説明があるという事。そして恐らくそれは、乗っていた車毎に班分けされているという事。


「さて、じゃあ早速だが説明を始めよう。今回こうして君達pacchimoを無理矢理集めたのは他でもない、あるゲーム(・・・)をやってもらうためだ」


話を唐突に始められ、ましてやゲームをいきなりやると言われ、みんなキョトンとしている。


「そのゲームとはな、サバイバルゲームだ!」


「サバイバルゲーム…もしかして三チームに分かれて…」


「ちゃんと最後まで話を聞け、佐藤。今回やってもらうサバイバルゲームは二チームだよ。一つはpacchimo。もちろんだが今回旅行に参加してる者だ。そして相手だが……おぉーい、入って来い!!」


秋山がそう叫ぶとドアが開き三人の男が入って来た。


「ウッチーさん??」


矢野ちゃんが反応する。三人の中の一人は良く知る顔、うっちゃんだった。しかしどこか違和感がある。覇気がないのか表情もどこか暗く見える。なにより、一緒に登場した若い男に手を取ってもらい入って来た所を見ると、とても病弱そうに見える。



「ふふふ、今回戦ってもらう相手チームの一員だ。面白いだろ? 見ての通りそいつは内田であって内田ではない。内田のクローンだ。君達の相手はpacchimoのクローンだよ。

クローンと言っても全く同じというわけではない、どこかしら本人と違う所を作っている。まぁ若干一名は殆ど同じになってしまったが。面白い勝負を期待しているぞ。

よし、次の説明だ。桜庭頼む。」


すると、ドアから入ってきた三人の内の一人、うっちゃんの手を引いていない方の男が秋山の喋っていた位置まで移動してきた。



「こんにちは、桜庭と言います。よろしくお願いします。僕の方からはルールの説明をしようと思います。まず普通のサバイバルゲームと大きく異なるのが武器である銃です。普通ならエアガンかガスガンが使用されますが、皆さんに使っていただくのはこちらの『記憶銃』になります。と言っても全く意味がわからないですよね」


いきなりの武器の説明、しかも聞いたこともないような『記憶銃』という単語にpacchimoメンバーはまたしてもキョトンとしていた。もっともこの表情はさらなる説明を聞いたあと一変するのだが……

桜庭の隣で聞いているだけの秋山は何故か得意げな表情をしていた。


「じゃあこの『記憶銃』の説明を。この銃に込める弾ですが、このBB弾に似ているこちらの物になります。コレで被弾すると記憶が無くなります」


pacchimoメンバーの目が見開かれていく。


「記憶がなくなるといっても、全部ではありません。まぁ全部の場合もありますが…

受けたダメージにより持って行かれる記憶の量が変わります。

例えば、例えばですよ、腕に被弾したら記憶二週間分とかそんな感じです。痛みはエアガンを被弾した時と同じくらいです」


「ちょっと補足するけど、被弾した時は視界が霞みがかった様になる。その後真っ暗になってって感じだ。何でこんな事言うかっていうと、やっぱり撃たれた時とかなんかセリフいいたいだろ? その為にわざわざ記憶喪失の効果を遅らせるようにしてやったんだ、ありがたく思えよ!」


秋山のウザったい説明だったがみんな真摯な態度で聞いてた。


「皆さんには七日間戦ってもらいます。最後に多く残っていたチームの勝ちとなります。もちろん残っていた、というのは意識がハッキリある状態を言います。記憶を少し失ってもゲームの事自体を覚えてれば、それは生存と見なします。ゲームの内容を覚えてるかどうかを一つのボーダーラインとします。

七日ゲームをしている間、食料や水、嗜好品はこちらから供給します。最初にスタートする時、皆さんには小屋から始めてもらう事になると思うのでそこにあらかじめ用意しておく感じですかね。あぁそうだ、もちろんですけど、この七日間は仕事やバイトの事など一切気にしないで下さい。終わった後に皆さんの社会的地位やお給料が下がると言ったことは一切ありません。むしろ終わった後には多額の報酬をお支払いするつもりでいます。


記憶銃や他に必要だと思われる備品などはあちらのリュックに全て入っています。それとこれは……もう説明してもいいんですか?」


「構わん」


「ここに皆さんへの我々からの心ばかりのプレゼントがあります。『記憶の飴』です。

この飴は舐めると、その後どんな大きなダメージをもらっても、記憶がゼロになる事はありません。この飴を舐めた時点までの記憶が約束されます。つまり、今舐めてすぐに撃たれたとしても、このサバイバルゲームの説明は覚えてます。もっとも効果は一度きりで、こちらが用意した数は三つなので各車毎に一つずつになってしまいますが…



まぁこんなとこですかね?」


「またまた補足だが普通のサバイバルゲームはチーム一丸となって戦うが、今回はほぼ全員がバラバラの位置からスタートする事になるからな。会場となるのはこちらで用意した無人島だ。見取り図は個人に配るリュックの中に入れておく」


「質問!」


「なんだ、岩間」


「記憶を戻す方法はあるのか? 記憶が全て無くなるとどうなるのか? この二点の説明を」


「記憶を戻す方法はある。島内にある(・・)施設を作った。そこには某漫画に出てくるようなメディカルマシーンを設置してある。そこに行けば記憶はもどる。

そして記憶が全て無くなった場合だが、


昏睡状態になる」


秋山が言うとてっちゃんは細かく何度か頷いた。


「それではこれより一時間後また君達には眠ってもらう。起きた時からゲームスタートだ。最初に寝てる時に襲われる事は無いから安心してくれ。この一時間結構大切だから有意義に使った方がいいと思うぞ」


こんにちは、いっしーです。やっと始まりましたね。もうどんだけ待ったことか、ドキワクです。シャチだ、、いや万太郎先生にはゆっくり自分のペースで書いてもらいたいです!!


次回 真説 もうこはん第2話

『それぞれの作戦』



次回も絶対見てくださいね!

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