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皆の意思

 とうとうやって来た決戦前日、俺は決意を固め皆を集めた。


「さて、皆に言っておかなきゃならない事と、出来ればすぐに答えを貰いたい事がある。

 いきなり過ぎて申し訳ないと思うが、もう時間もないしな」


 俺の言葉に不思議そうにする顔、真剣な表情を浮かべる顔、変わらず睨みつける顔と分かれる。

 うん、1人は分かりやすすぎるな。


「言っておかなきゃならない事は、明日の決戦が終わったら俺はこの国を出ようと思う。

 で、答えを貰いたい事はその時に俺に付いてくるかどうかって事だな。

 あ、アレスは強制で同行な」


「えっ、なんで!?」


 驚きの表情を浮かべるアレスに、おいおいと思ってしまう。


「いや、お前に借金あるからちゃんと返さねばならんだろう?

 なーに、道中食った事もないような美味い物食わせてやるし、安心して付いて来いって」


「いや、そう言う心配をしているのじゃなく、僕としては借金はそりゃぁ返して欲しいけど旅路に強制同行ってのがげせないんだけど」


「ん? 何か問題あるのか?

 どうしてもってんなら仕方ないが、となれば返せえるのだいぶ遅くなるぞ」


 チラッとアリエッタに視線を向けるアレス。

 と、それに気付いたアリエッタが何かに気付いたようで、代わりに口を開く。


「そう言う事か。アレスは族長の娘の私を里に連れ帰す為に闘士になった訳だが、私はご主人に付いて行くから気にせず付いて行くと良い。

 エリーと離れ離れとか最早考えられんだろう?」


 何かを答えようとして、でも口を塞ぐアレス。


「なんか色々新事実が明らかになったんだが、アリエッタはそれで良いのか?」


「勿論、王に従えるのが我が一族の宿願だ。父上が聞いても納得して下さるだろう。

 ふふ、まさか宿願に反発して里を飛び出した私が叶えるとか、世の中不思議な物だがな」


 そう言うものの晴れやかな顔つきからして別に思い悩む所はないのだろう。

 じゃぁ、他の皆の意見も聞くか。


「エリーは」


「私はお兄ちゃんとずっと一緒が良い!」


 間髪入れず答えたエリーの頭を撫でてやる。

 まぁ、予想できた事だし、アリエッタも既にその前提で話を進めていたからな。


「まさか私に聞くとか、そんな失礼な真似をするつもりではありませんよね?」


「わ、私も付いて行きます!」


 こちらが何か言う前に不機嫌そうに言うシンディーに必死な様子のファニー。

 うん、なんか嬉しいな。


「おう、2人ともこれからもよろしく頼むな。

 で、キャサリン――」


「アレスに付いて行くに決まってるじゃない。

 なんで聞いたのよ?」


 ですよねー。じゃぁ、後唯一どうするか分からないホーリンに聞くとするか。


「で、お前はどうする?

 ぶっちゃけ再戦したいと言うのなら向こうが落ち着いたらこっちに来てもいいぞ」


「付いて行くに決まってるだろう! そんな事を言って逃げられたらかなわん」


 噛み付くように言うホーリンに、思わず苦笑してしまう。


「いや、付いてくるのは構わないんだが、無理しなくていいんだぞ?

 俺がこっちに戻るまで10年じゃきかないだろうし、その間十分修行出来る――」


「だから、付いて行くと言っているだろう。

 武者修行の旅と思えば丁度良い。それに、獲物は逃がすなと教えも受けている」


 うん、ダメだこりゃ。

 まぁいい、となれば全員付いて来るって事か。今まで付いて来たがった奴も皆無ではないんだが、俺自身の修行の旅だからって断ってきたんだよなぁ。

 ……今回の帰郷のついでにそいつらに会って付いてくるか聞いても良いかもしれんな。


「おう、それじゃぁ全員付いてくるって訳か。

 割と急ぐ旅路になるだろうから、時折無茶を言うかもしれないが許して欲しい」


 俺の言葉に笑顔で頷いてくれる面々。

 され、これで憂う事は何も無くなった訳だし、明日の決闘に備えるかね。



「ちょっと待った。僕の紹介をしないつもりかい?」


 と、突如姿を表すミリア。

 いや、聞かれている事位気づいちゃいたが、何も魔力体を作らなくとも……うん、ごめん、忘れてたのは謝るよ。


 全員が警戒を顕にする中、俺が口を開く。


「あー、ごめん言い忘れてた。明日から1員に加わるミリアだ。

 ラン……何とかの姓の方はここを抜ける時捨てるそうだから、気軽にミリアって呼んで欲しいだと」


「そうそう、明日僕も大活躍する予定だから楽しみにしててね」


 楽しそうに言うミリアに、俺以外の全員がゴクリと唾を飲む。

 いや、そんなに緊迫しなくていいのだがな。


「……この女狐が何を企んでいる?」


「えー、アリエッタ酷いなぁ。単にシンイチロウに興味があるだけだよー」


「そうそう、皆勝手に怯えて相手をしてくれなくて寂しくて付いて来たいって痛いよ!」


「バカ! シン君のバカ! 何も暴露しなくて良いじゃない!

 乙女心が分かってない。もぅ。……と、とにかく明日だからね!」


 バシバシと俺を叩いた後、慌てて姿を消すミリア。

 ほんと情緒不安定な奴だな。


「……悪い予感がします」


「あらファニー。私もよ。これ以上増えなくていいのに」


「ふぇー、またお姉ちゃん増えちゃうのかなー」


「か、可愛いいたたたたたたたた」


「浮気ごとをほざくのはこの口かな? ん? ん?」


「やはり女性の敵、復習ついでに不能にしてくれようか」


 うん、皆好き勝手口にしてるけど、一部とても不吉な事と痴話喧嘩としているな。


「……ご主人は相当なすけこましですねぇ」


「おい、なんでそんな不機嫌になってるんだよ?」


「さぁ、ご自分の胸にお聞きになっては?

 シンディー、お茶をお願い。ファニー一緒に話しましょう。エリー、作戦会議ですよ」


 勝手にブツブツ言っているホーリンと痴話喧嘩を続けるアレスとキャサリンを残して、女性陣だけでかしましくお喋りをしながら離れていく。

 うん、それは良いのだけど……あれ? なんかいい雰囲気だったのにミリアの登場の所為でおかしくなった気がする。

 いや、まぁ色々頼み事聞いてくれたし、仕方ない。

 のだけど、なんだかなぁ。とほほほほ。

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