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対話

 申し訳ございません。前日から予定等で時間を取られてしまい、更新が大変遅れてしまいました。

 明日からは再び定期更新に戻りますので、ご寛大なお気持ちを持って頂ければと思います。

 通された部屋は俺の予想を裏切り、ランクⅦと言うには遥かに小ぢんまりとした部屋だった。

 とは言え、使っている全ての物が最高級の品らしい事はうかがえるので、単に彼女の好みとも知れる。

 部屋付き等も持たない主義なのか、出迎えはなかくお茶の用意も自らがし始めている。


「すまない、少し待たせてしまったね。

 この果実酒は僕の好物なんだけど、お酒は大丈夫かい?」


「ああ、昼間っから酒かと思わなくもないが、構わないぞ」


 正直に答えればクスクスと笑うミリア。

 と、そのまま陽気な雰囲気で口を開く。


「で、本題だけどいつまでくすぶっているつもり?」


「は? 何がだよ?」


 毎度脈絡がなさすぎて言いたい事を十分に把握するのに苦労する。

 肩をすくめられても、ちゃんと分かりやすく話してくれよと思うぜ。


「そうやってはぐらかそうとしてもダメだよ。

 気になって情報集めたんだけどさ、君はその気になれば権力者達から媚を得れる訳じゃないか。何故そんなに周りに配慮してあげているか気になってね」


「いやいやいや、突然どうした?

 なんでそんな事が疑問に思ったのかはなただ疑問だし、別に俺がやりたいようにやってるだけで配慮なんかした事ないぞ?」


 話の流れが掴めずそう返せば、不思議そうに首を傾げられてしまう。

 いやいやいや、その反応おかしいからな。


「まさか分かってない? 言っとくけど君が自重を止めてその魔力封じの腕輪ぶっ壊したら誰も君に何も言えなくなるんだよ?」


「ああ? 何言ってやがる?」


 回りくどい言葉にそう返すと、真剣な表情で体を乗り出すミリア。


「実はさ、僕もその腕輪付けた事あるんだけどさ、なんか自信満々にこれで何も出来ないだろう? とか言われて腹が立ってそくぶっ壊したら恐れられてさ。

 魔力封じの腕輪はドランゴすら拘束出来るって謳い文句なのに、たかが人族がぶっ壊せたら需要もなくなっちゃうし、事実は隠されているようだけどお陰でランクⅦなんかにさせられた訳。

 多分本音としては国から出て行って欲しいのだろうけど、実力行使が全く効かない相手ならどうしようもないだろう? ぶっちゃけ物欲とかも僕はないし、相当扱いづらいと思うよ。

 それでもこうやって好き勝手出来る立場を得ているんだ。君だって僕のように魔力封じの腕輪ぶっ壊せば好き勝手出来るよ」


 ニコニコというミリアに、ようやく何となく思い当たって口にする。


「ふーん。要は寂しかったんだな。お前」


 途端目をパチパチとさせた後下を向く。

 うーっと呻き声が聞こえたと思ったら、そのまま視線を合わせずに喋りだした。


「なんでおかしな所は察しが良いかな。

 君の言うとおりこの国をぶっ壊さず我慢してやってるのは、広く強者を募集している闘技システムがあるから、もしかすると僕と対等に付き合える者と出会えるかもしれないからってのはあったよ。

 今まで我慢した大きな理由でもあるし。

 でも、なんでそんな結論に至った訳?」


「いや、だって色々脈略がなさすぎるし、変な視線をエリーに治療を施してからは感じてたからさ。

 お前俺がやった事気付いてたんだろう? そして自分に気付いて欲しくてあんな分かりやすく気配を送ってきたんだろうし。

 となれば想像はつくさ。間違ってないだろ?」


 頷くミリアを確認し、更に続ける為口を開く。


「実はエリーを助けた後はこの国出るつもりだったんだ。幸いアリエッタにエリー含め皆を任せられそうだったし、ぶっちゃけ俺が大人しく奴隷闘士になったのだって陥れた奴を確認する為だったしな。

 まぁ、あの時点で流石におおよその目星はついていたし、落とし前を付けたら実家に帰ろうと思ってたし」


「か、帰るのかい?」


 突然反応を顕にするミリア。必死なその姿に思わず笑みを浮かべてしまう。


「帰るつもりならもう帰ってるさ。

 と言うか、お前の視線の所為で帰れないしここまで無駄に慎重にしていたんだが……なんだよ、さっさと名乗り出てくれればこんなややこしい事にならずに済んだのに」


 俺の言葉にあからさまにホッとするミリア。

 俺としちゃぁ無駄に時間かけすぎた事と、この国は今までの国と違って一筋縄じゃ行かないぞと警戒しすぎた事に内心でも苦笑いを浮かべているのだがな。

 いや、そのお陰でアリエッタやホーリン、アレス達と関わりを持てたから良いのだけど。


「むぅ、それに関してはアリエッタが会議で余計な事を言わなきゃ良かったんだよね。

 なんか僕と君をぶつける予定だったのらしいけど、アリエッタがエリーちゃんに同族だからやたら興味持っちゃって口を挟むし、当時はまだ君にそこまで興味が湧いていなかったから口出ししなかったのは失敗だったなぁ。

 寧ろ色々揉めそうで更に時間取られそうなのが嫌で、手助けっぽい事までしちゃったし」


 口を尖らせながら言うミリア。ほぅ、裏ではそう言う事になっていたのか。

 なるほどなぁ。


「ならお前に感謝しないとな。

 ありがとう」


 目を見開き顔を赤くするミリア。

 なんか一々過剰反応がすぎるな。ってか、ある程度理由も察せるけどさ。


「うん、じゃぁ良かったよ。

 あー、もう、僕を君のお嫁さんにしてくれないか?」


「バカ言え、やっとお前に恐怖を抱かない存在に出会えて感激してるのだろうけど、俺の実家に行けばそんな奴は山ほどいる。

 色々そこで紹介してやるからさ、それでも俺が好きだってなったら考えてやるよ」


 と、再び身を乗り出すミリア。


「君の実家は君みたいな人が多いのかい?」


「ああ、そうだな。ここに来るまででうちの実家が異常とは気づけたが、お陰で一般常識が全く身に付かない程度にはぶっ飛んでるな。

 例えば冒険者ランクとか細かく分かれているが、Sランクまでで設定されている討伐の相手なんざ一桁の年齢で単独撃破出来て当たり前って場所だったし。

 だからイマイチな、悪名が高いのはどうにかしたいとずっと思っちゃいたが、ランクとかどうでも良かったし、金とかも正直欲しいと思った事もないからな。

 ちょっとマナの深い所に行けば食料何ざ好きなだけ手に入るし、そっちの方が美味い物多いし」


 俺の言葉に同意するかのように激しく縦に頷くミリア。


「僕も思ってたんだ、子供ですら用意に対応出来る相手にランク分けや危険度付けるとかって何故って。

 まさか昔から適度なおやつとして食べてた相手に国が滅ぼされるとか思わないじゃない?

 そりゃぁこんなマナの薄い場所にこそこそと住み着く訳だよね」


 しみじみと言った言葉に、俺と同様の苦労は色々してきたのだろうなと思う。

 最初とか良かれと思って手土産に持ってきた魔物が、まさかまさか伝説上の魔物だなんて思いもしないって。

 恐れられ過ぎて居心地があまりに悪くて、暫く定住すら出来なかったもんな。

 懐かしい。


 って、懐かしんでいる場合じゃない。


「まぁ色々話に花を咲かせるのはやぶさかでもないが、1つ頼めないか?」


 俺の申し出に2つ返事を返してくれるミリア。

 俺の頼み事を聞けば、苦笑いを浮かべてこう断言されてしまう。


「やっぱり君は優しすぎるんだね。通りで悪名なんて立つ訳だ。

 決闘相手の女の子が悪名立たなかったのは本当に自由に暴れてたからもあったと思うよ。

 君はそこに住んでいる人の事とか考えてしまったのが原因だね」


「いや、でも毎日必死に生きている者に迷惑を掛けたいとは俺は思えなくてな」


「だからそれが優しすぎるんだって。

 まぁ良いや。その頼み事聞く代わりに僕のお願いも聞いてね」


「おう、無理難題は止めてくれよな」


 そう言ったにも掛からわず割と無茶な欲求をされてしまう。

 飲めない訳じゃないから要求をのんだが、まず大混乱は避けられないだろうな。

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