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ランクⅦ

「ねぇ、シンイチロウ=タカミヤ君。ちょっとお茶でもしないかい?」


 突然声を掛けられ驚いてしまう。

 ここに来て向こうから声を掛けられるなんて初めてだな。しかもナンパ口調で声を掛けられるとか予想してなかったぜ。


「ああ、別に暇だから構わないぞ」


 よくよく相手を見れば、美少女と読んで差し支えのない整った容姿の持ち主で、飄々とした雰囲気が印象的だろうか。

 どちらかと言えば小柄でスレンダーな体型をしており、ピンク色の肩に掛かる位の髪からこの辺の出身じゃないのが伺える。

 しかし、構わないと答えたのにも関わらず、どこか楽しそうにこちらを見つめていた淡いピンクの瞳が不満げに揺れた。


「なんか反応鈍いなぁ。僕って結構な美少女だと思うのだけど」


「いや、美少女だと言うのは同意するが、自分で言うのはどうかと思うぞ」


 口を尖らせる少女に思わず苦笑いを浮かべてしまう。

 と、それも気に入らなかったようで、半目で見つめられる。


「えー、下手に謙遜するよりよっぽど良いと思うのだけどね。自分で自分の事位ちゃんと把握しなきゃと僕は思うよ」


「ふむ、一理あるな」


 頷いて見せれば嬉し気に表情を変える。なんかコロコロと表情の変化する奴だな。


「分かればよろしい。

 さて、それじゃぁ付いて来てくれる?」


「ちょい待て。お前大事な事忘れてないか?」


 俺の質問にキョトンと首を傾げる少女。

 いやこら、すぐ思い当たるだろうが。


「えっと……や、優しくしてね?」


「な訳ねーだろ? なんでそうなった」


「いや、だってほら、男と女が2人きりでやる事と言ったら、ねぇ」


「ねぇじゃねーよ。そこは普通に話をするだけだろ?」


 突っ込んだ俺に対し、驚愕の表情を浮かべる少女。


「そ、そんな馬鹿な! 君が不能だなんて。だからハーレムの女の子達にも手を出してないのかい?」


「何故そうなる? 第一皆に手が出せないのもエ……子供が一緒に暮らしているからで、ちゃんとそう言う欲求はあるわ」


 脱力しながら答えれば、ランランと目を輝かせ元々近い距離で話していたのにもかからわず更に1歩踏み出してくる。


「え? 君子供いたのかい? へぇー、やる事ちゃんとやってんだねぇ。

 ちなみにどんな営みをしているか聞いてもいいかい? あ、だって欲望の化身とくれば押し倒されそうだし、僕だってどんなプレイも大丈夫って訳じゃぁないしね」


「……お前全部分かってて言ってるだろう?」


 見た目は可愛いのに発言が残念すぎる。もしくは、単にからかわれているのかもしれないが、それならそれで胆力は凄まじいのだろう。


「まぁね、流石にエリーちゃんの事は僕でも知っているよ。と言うか凄まじい事してくれたもんだ。普通あんな発想出来ないよ。

 ホーリンちゃんやアレス君の時にしてもそうだ、君は実に規格外すぎる」


 実に楽しそうに、まるで見てきたかのように言う少女に、元々あった警戒心を更に高める。


「おや? 警戒させちゃったかな?

 リラックスしてくれよ、別に性的な意味でしか食べないからさ」


「性的な意味でも遠慮しておこう」


「えー、もしかしてそっちの趣味?」


「馬鹿か、初対面で名前も名乗らない無礼な奴に流石にイライラしてきただけさ」


 実際徐々に不機嫌になってきている俺の言葉に、目を大きく見開き驚きを顕にする少女。


「え? もしかして僕が誰か分かってないとか?」


「知る訳もないだろう。どれだけ有名人かは知らねーが、少なくとも俺は知らない」


 断言すれば、何故か周りにいてこちらを見ていた野次馬達が凍りつく。

 なんだ? 美少女と俺の組み合わせに興味を惹かれていたんじゃねーのか?


「……いやぁ、本当に凄いねぇ。皆ハラハラして聞いていたって言うのに、見事に爆弾落とした訳だ」


「はぁ? 突然わざとらしく殺気の篭らない圧力出してどうした? 周りに牽制でもしているのか?

 そもそもお前そんな事位気にしちゃいないだろ?」


 再びキョトンと気の抜けた表情になり、気の放出もあっさりと止める。


「ぶー、もう少し驚いてくれたって良いじゃないか、実に面白くない」


「明らかにポーズですよーって事に驚いてもなぁ。

 良いじゃないか、皆ビビったみたいだし」


 と、突然深く頭を下げる少女に驚く。

 脈絡もなく突然どうした?


「そちらの名前を知っている上、こちらから訪ねておいて名前も名乗らなかった無礼許して欲しい。

 僕はただ1人のランクⅦのミリア=ラルフォード。ラルフォードはランクⅦになった時に無理矢理押し付けられた姓だから、ミリアと呼んでくれると嬉しい」


 ふむ、ちゃんとやれば出来るじゃないか。

 そう思いつつ口を開く。


「了解ミリア。既に知っているみたいだが俺も名乗ろう。

 高宮が嫡男新一郎だ。こちらじゃぁシンイチロウ=タカミヤであっているがな。

 よろしくなミリア」


 手を差し出せば、酷くうろたえるミリア。

 って、なんでそんな反応なんだよ?

 根気よく待ってみれば、恐る恐ると時間をかけようやく握手を交わす。


「うん……よろしくね」


 はにかむように微笑むミリア。

 そして、そのままグイっと引っ張られる。


「さぁ、それじゃぁ早く僕の部屋に行こう。

 そう、とにかく急いで」


「お? おう。分かった」


 何故か盛大に慌てるミリアに困惑しつつ、引っ張られるがままついていく。

 正直このまま話すのはお互いに不都合しかなかっただろうから、ありがたいっちゃありがたいが、この態度の豹変はなんだと言うのだろうか?

 いや、まぁ2人きりになったら聞けば良いか。

 こいつの部屋とくれば、下手に盗み聞きとかもされないだろうし。

 流石にエリーの件やホーリンとアレスの件を何故知っているか? とか突っ込んだ質問するのは俺もためらっていたから助かる。


 さて、どこまで何を知ってるのかねぇ。

 そんな事を思うものの、相変わらず足早に急ぐミリアに気付けば笑みを浮かべていた。

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