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prolog
不足なんてない。
不満なんてない。
とにかく、幸せだった。
問題だらけの
理不尽な世間から
「普通じゃない」と後ろ指を指され生きてきた私を
まるで
暗闇に光を照らすように
孤独という、どん底から
引き上げてくれた。
トゲだらけの
凍てつく地面を
ひたすら裸足で歩いていた
私の道に
温かい光をくれた。
私は、その時の温もりを
今でもずっと覚えている。
…あれは
私の、この手足と体が
なくなってしまわない限り
一生忘れない救い。
救いだった。
---------あの時は。
私を救ってくれた彼女との出会いは
果たして
神様がくれた
私への
プレゼントだったのだろうか。
…
…
…それとも、
何か、
意味を成す
試練の始まりだったのだろうか。
*******
松葉女学園。
都会から少し離れた、とても静かな場所に
その高校はある。
学校自体は
特別大きくもなく、小さくもない。
一見、どこにでもある
普通の学校…。
でも、それは、
あくまでも昨日までの話だ。
今では
地元の人間の誰もが松葉女学園のことを
こう呼んでいる。
「殺人未遂が起きた高校」