後の後
「ねぇねぇねぇねぇ」
「なんだよ、やかましい」
「クイズどん! 今日の私いつもとどっか違うと思わない?」
「はぁ?」
「ヒントは『女子力』! そして『魔法』!」
「知らねーヨ。いつもと一緒だろ」
「おいコラ。それ言っちゃ終了じゃん! クイズにならない!」
「いやいやいや、お前が勝手にクイズとか言って始めたんだろ。俺そんなんに付き合うなんて言ってないし」
「かーっ! ノリ悪! あれか、クール気取りか。自分そういうテンションにはついていけませんってか。そんなんじゃ高校行って新しい友達増えないよ! 進級するたびに友達減るタイプになっちゃうよ!」
「……」
「いいから! さぁ! いつもの私との違いを! しぼりだせよ!」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……便所?」
「は?」
「今日のお前さ、なんか、便所に置いてあるアレ、えーと……芳香剤? のにおいがする」
「……!」
「お、正解?」
──正解でたまるか馬鹿野郎! 乙女の魔法、心ときめく胸キュンピーチの香りだろうがッ!
と、少女の怒号が、辺りに響き渡った。
〈完〉
お読みいただきありがとうございます。
本作は、作者の長期連載作品『こんな僕たち私たち』の中の番外編的なお話をかなり修正、ちびっと加筆したものです。
『こんな~』の方を読んでいなくても大丈夫なようにお直ししたつもりですが……。
そうなのです、ざっくり言ってしまえば焼き直しでした。
もしも少しでも興味を持っていただけたら、本編の長期連載の方もチラリと見ていただければ幸せです。