第二十三章:アリシア覚醒?
完全に大怪獣と化したアスタロテ大暴走の結末を見届けてください!
アリシアは止められるのか……
ついにシアンのセカイを無視した禁忌の必殺技……
ディメンションラプチャーが炸裂する。
「シアン無理するな!」
サイード皇帝は高速飛行から、
渾身の右ストレートを、
アスタロテの右足にお見舞いするが……
足止めにすらならない。
「これくらい平気です」
軽口を言いつつビームを放ち続ける。
アスタロテに直撃するが……
「ダメージ受けてるのかしら?」
異空間シェルターで、
ベアトリスがつぶやいてしまう。
「これは……」
クララも動揺し言葉が、
上手く出てこない。
「アスタロテ……」
「シアン……」
「やっぱり出て行かないと……」
異空間シェルターから、
出て行こうとするが……
「アリシア様」
「行けません」
エマはアリシアの前に立ち塞がる。
「女王陛下!」
「どいてください!」
「大切な人が危険なんです!」
「だからといって……」
「あなたが飛び出しても……」
「何もできませんよ……」
「百戦錬磨の夫ですら、」
「無力なんです」
「そんなの……」
「私が一番わかってます!」
「でも行かないと……」
「セカイが滅んでしまうわ」
「ここにいても何も解決しない!」
「無理に止めるなら……」
「この聖剣で……」
「異空間シェルターごと切り裂きますよ!」
アリシアは鞘から聖剣を抜き、
叫び散らすが……
本当にやりそうだ……
「はぁ……」
「恐ろしい子ね」
「行って良いわよ」
「あの怪物を止められるのは……」
「あなたしかいない」
エマはもう呆れ果てて、
何も言えなくなってしまう。
「怪物じゃありません」
「アスタロテは私の妻です……」
アリシアはとびきりの笑顔で、
サムズアップしながら宣言した……
「え?」
エマは情報量の多さに、
パンクしている。
当たり前だ……
二百メートルのドラゴンを、
妻とか言う人間はいない。
「ベアも止めないで!」
「本来なら止めるべきだけど……」
「あなた以外アスタロテを……」
「助けられないし」
「一応ついていくわ」
「瓦礫とかの撤去くらいはできるし……」
「ありがとう!」
「ベア!」
アリシアは用意していたベアトリスに、
思いっきり抱きつく。
「アリシアさん」
「あたしもいきます」
「ほとんど役に立ちませんが……」
「これでもヒーラーですから!」
クララは恐怖を笑顔で誤魔化す。
「とりあえず丘まで走っていくわ!」
「そこで声をかけるの!」
「もう好きにやるといいわ」
三人は異空間シェルターから出て行く。
「アリシア、ベアトリス」
「お願いしますよ……」
エマは祈ることしか出来なかった……
一方戦場では……
シアンはディメンションラプチャーを、
相変わらず放ち続けるが……
アスタロテはビームを食らいながらも、
歯をギラつかせて徐々に近づいていく。
その表情は意地悪く微笑んでいた。
「シアン!」
「こいつは次元が違う」
サイードはパンチを放ち続けるが……
虫さされ程度にしか思われていない。
「全くですね」
「そろそろ限界です」
シアンの顔色は少し悪そうであった。
アスタロテは両翼を広げて、
全身でわざとビームを浴び始める。
なんとビームが体内に吸収されていく……
「こいつビームを吸収してないか?」
「一旦撤退だ!」
「かしこまりました」
サイード皇帝とシアンは、
撤退しようとするが……
逃がさないように、
凄まじい猛攻を仕掛けるアスタロテ。
アスタロテの青色の強化火炎ブレスで退けない。
「戦うほど強くなっているな!」
「羨ましい限りだ!」
もはやサイード皇帝のパンチも、
蹴りも一切効いていない。
「なんだ!?」
「動きが止まったぞ」
アスタロテは一瞬だけ動きを止めるが……
周囲を熱波と電磁波が覆い始め、
空間が歪み始めた……
これはまさか……
「嘘でしょ……」
「これは……」
「技をパクられましたね」
シアンは一瞬だけ動揺するが……
すぐに持ち直す。
「我々はここでおしまいだな!」
サイード皇帝は大笑いし始める。
「全くですね」
「一応魔力障壁を1000枚用意します」
「後ろにきてください」
「この怪物は好敵手だった」
「名前はあるのか?」
「アスタロテです」
「ずいぶん可愛らしい名前だな」
「アスタロテよ!」
「貴様は我が好敵手であった!」
サイード皇帝は大胸筋を、
揺らしながら独り言をつぶやく……
一方アスタロテの口内には、
凄まじいエネルギーが溜まっている。
セカイ崩壊寸前なのか……
「このサイードを打ち破った」
「世界最強の怪物よ!」
「いやー、あっぱれだ!」
シアンもサイード皇帝も覚悟を決める。
アスタロテは二人を睨み付けながら、
青黒い粒子ビームを発射する。
粒子ビームの威力は規格外であり、
一気に970枚の障壁が割れてしまった。
シアンはすかさず体勢を立て直すが……
貼り直しが全く追いついていない。
残り30枚だ。
「私に手伝えることはあるか?」
残り20枚……
「ありません!」
余計なことを言ったので15枚に……
「肉の壁になるか?」
大胸筋を揺らしながら、
なぜかウキウキしている……
残り10枚……
ビームが目前に迫っているが……
危機感は全くない。
「黙ってください」
残り5枚……
「やはり我が壁になろう!」
サイード皇帝は、
嬉しそうに出て行こうとする。
魔力障壁は残り1枚だ……
目を瞑るシアン……
その時……
「アスタロテ!!!」
「こっちよ!」
聖剣で遠距離攻撃するアリシア。
アスタロテはビームを撃つのをやめて、
アリシアたちのほうに走り始める。
アスタロテは周囲の建物を、
なぎ倒しながら咆哮をあげ続けた。
ベアトリスは腰を抜かして、
クララに支えられて弱気になる……
「こっちきた!」
アリシアは飛び跳ねながら喜ぶ……
本当にテンションがおかしい。
「はぁ……」
「エミリー……」
「もうすぐそっちに行けるわ」
ベアトリスはもういない最愛の人に伝える……
「まだ諦めるのは早いですよ」
「アリシアさんピンピンしてますし」
クララは諦めていなかった。
「お願い」
「アスタロテ」
「愛してるの」
聖剣を握りしめながら祈り続ける。
アリシアは光属性の低適性だったが……
「暴走しないで……」
「いつもの優しいあなたに……」
「戻って!」
聖剣のオーラがアリシアを、
優しく包み込む。
「な、何これ!?」
「私天国に行くの?」
「そんなわけないでしょ……」
ベアトリスは冷静にツッコミを入れる。
アスタロテは目の前まで向かってきた。
ビームを撃とうとしているのか……
なぜか動きが止まる。
アリシアをマグマのような赤い目で、
見つめていた。
アスタロテは頭部が、
一六メートル以上になり、
威圧感が増している。
「ヒール!!!」
アリシアはアスタロテに、
いつもぶつけ続けた技を使う。
聖剣と祈りの力で、
回復能力は高まっているのか?
「グハッ……」
至近距離から顔面に直撃。
なぜか効果抜群である……
アスタロテは何かを、
必死に思い出すために、
うなり続ける。
「もっと使いなさい!」
「アリシア!」
ここぞとばかりにベアトリスは、
アリシアに魔力を送り込む。
「ヒール!!!」
「思い出して!」
「夜のデートを!」
「幸せだった日々を!」
アリシアは愛を技に、
のせてぶつけ続ける。
「グアアアアアアア!!!!!」
アスタロテはようやく何かを、
思い出したかのように、
頭を抱えて苦しみ続ける。
「これで最後よ!」
「アスタロテ!」
「誰よりもセカイなんかより……」
「あなたが大切なの!」
「愛してるわ!!!」
「スーパーヒール!!!」
十メートル以上の特大回復玉をぶつけた結果……
アスタロテは頭を振り回しながら、
正気に戻る。
「やったの?」
「余は何を?」
「帝国はどこじゃ?」
「この焦土は……」
動揺するアスタロテ。
「もういいのよ」
「……大丈夫」
「一緒にどこか行きましょう……」
アスタロテは無言で、
アリシアを手のひらに乗せて、
飛び去っていった。
こうして帝国の首都は滅びたが、
愛によってセカイの滅亡は防げた……
無事に事態は解決しましたが、首都は焼け野原に……
逃避行に出る二人はどうなるのか……
たとえ相手が二百メートルでも、愛さえあれば何も問題ないですね。
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