私の木
掲載日:2026/04/02
私にとって小説は木だ。
皆がそれぞれ思い思いの種を蒔き、水をやり。育つのを心待ちにしている。
自分の経験を、想いを、考えを文字という土壌に埋める。
時間や労力という水をやるのだ。
芽吹くか芽吹かないか分からず、途中で枯れてしまうかも知れない木の為に水をやるのだ。
私はずっと自分の内面を心を犠牲に生きてきた。削り、抑え、壊し、砕いてきた。
生きる為には必要だから。私が変わらなきゃいけないから。私が悪いから。私なんて…と。
今更なのかも知れない。この種を蒔いても、何にもならないかも知れない。価値も意味もない土くれに過ぎないかも知れない。
でも、水をやろう。お願いだから、誰かを元気付ける木になっておくれ。誰かの心を休める癒し場になっておくれ。
台風や大雨、災害なんかに負けずに育って欲しい。大きくなって欲しい。
だから私は毎日水をやるのだ。
きっと大きくなれても一部の葉は枯れるだろう。ところどころ虫喰いになってしまうだろう。でも、私は君の本当の姿が見たいんだ。
大きくなっておくれ。




