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僕の存在意義

作者: サーナベル
掲載日:2026/02/28

枝垂れ桜の色が黄ばみ始める。

春の終わりを告げる鳥達の声が新鮮な朝に響き、僕を耳障りに思わせる。

僕は春は好きだが、春の終わりは嫌いだ。

何時だって人は連想されるものを毛嫌いする。特にマイナスの面を何度も頭の中でリピートする。それは人間にいつも成長を促して来た。だが、進化の過程では必要だったにしても、僕の場合、高校時代のイジメが原因で統合失調症とパニック障害持ちになった。

まるで感情の無い人間のように扱われ続けた。存在そのものを忘れられているかのように人々の視線は逸れた。

僕は必要とされていないのだ。

そんな風に思う時、僕をイジメてくれた人々を愛しく想う。〝思う〟ではなく〝想う〟なのだ。誰も僕のことを見えないのではなく、僕が見えない壁を作って世界を見渡し、この典型的な物はこういう物であるとレッテルを貼るせいで僕は典型的な人間に見えるのだ。それが透明人間効果が起こり得る最悪の原因のようである。

それに気付くのに30年はかかった。統合失調症とパニック障害は相変わらずだ。


僕には昔から見聞きした物を素通りする素質があった。周りが「キス」コールをしている時、何もせず何食わぬ顔でその場を去った。セクハラされても何のダメージも無かった。

きっと人の心をあまり持ち合わせていないか、或いは僕の見える世界が一般人と比べて異次元なのだろう。

僕は自分が弄られても、他人を弄るという発想が無かった。周りは完璧なのだ。僕も完璧でなければ。

完璧を求めて不完全こそ完璧と知った。

目標達成より目標達成への道が至極楽しいのである。

恋人のいない社会的成功者より恋人のいる貧民を選ぶのが正しい生き方だ。


青い蝶が僕の周りに飛び交う。僕が何を考え、何をしているのか分かったような顔だ。相変わらず、僕は苛立っている。

そう。僕は苛立っているのだ。僕は何不自由なく自死を考えていた。

両親は僕を目障りに思っている。

35歳ニート。やっていることと言えば、筋トレ。後はPCゲームだ。僕のPCのデスクトップには2次元の嫁の叡智な画像が貼られている。

死んだ後のことはあまり考えていない。大人の玩具も普通にタンスの中に閉まってある。

両親はーー特に母は汚らわしいと思うだろうか。我が息子が失敗作になった現実を受け止め切れるだろうか。

僕の思う完璧とは一体何だったのだろう。

僕は崖っぷちの風を心地良く受け止める。今、誰かが「飛び降りろ」と言ってくれたら楽なのだが。僕の意志でここから落下するのは少し勇気がいる。

両親のせいで僕はここにいるのではない。自分の足で公園から遥か高く登って来た。

虫刺されや耳に吸い付く鳥の鳴き声さえ、心地良くそして遥かに苛立たせる。

僕は嗚咽が漏れるのを食い止め無かった。

普通の人間でありたかった。普通に学校に行って、普通に働いて、普通に恋をして、普通に子供を授かって、普通に孫に囲まれて死にたかった。

嫁は可愛くなくても良かった。愛想良く居心地良いだけで充分だった。年収だってギリギリ300万円あれば良かった。寧ろ、今の不景気、200万円でも良かった。

僕は何処か変なのだろうか。

二重人格のような母、なかなか都合の付かない父、僕はこの2人に何を恩返しすれば良かったのだろう。

次はもっと顔が良ければ良いな。

僕は最期にそう思った。

青い蝶が静かに消滅した。

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