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 翌日。

朝日と共に起きた僕は、木の上から街の様子を伺った。

「ソウちゃん。冷えちゃうよ」

「……分かってる」

「ソウちゃんはあんまり覚えてないかもしれないけど、奪い返しに行くならやめておいた方がいい」

母さんは僕と同じ色の瞳で見つめて来る。

「残念ながら、彼らは傭兵を雇ってる。

二人で行っても多分……」

じゃあ、どうしようか。

「みんな彼らに従ってるの?」

「形上はね。でも、彼らはあんなことをしたし、本家といえど風当たりは強いだろうね」

「じゃあ、なんとかその人たちを味方に出来たら?」

「選ばれなかった本家と選ばれた分家。

協力してくれるかも微妙だけど、今の彼らが選挙で引き下がるとも思えないしねぇ」

「じゃあ母さん。

僕の記憶は戻せるの?」

母さんは黙る。目を伏せる。

「あなたがそれを知るメリットはないわ。

もし知りたいなら、ソウマを捨てるしかないの」

「……」

確かに、僕は玉座が欲しいんじゃない。

フォニックスの一員であれば、他は何も望まない。

それは、コウも同じだとしたら?

だったら、

「この力を、いっそのことあげちゃえればいいのに」

母さんはそれを聞くと、

「あのねソウちゃん。それは言っちゃダメなの」

と、涙目になりながら言われてしまった。

「どっちにしろ、母さんは巻き込みたくないんだ。

僕はなるべく早く、味方を集めたい。

やってダメだったら、多分僕は君主じゃなかったってことだよ」

「……命だけは捨てないでね」

それは、事実上の肯定だった。

少なくとも僕は、そう思った。


 僕はコウにも相談した。

「そんなの、やるしかないですよ」

即答だった。

コウのこういうバッサリした所が、時に羨ましい。


 僕はまた、母さんのところを離れることになってしまった。

「本音ではもうちょっと泊まってて欲しかったけど、仕方ないわね。

次はみんなを連れて来なさい」

「うん。ありがとう」

別れに交わした言葉はそれだけ。

でも、胸がジワリと温かくなった。


 また二人の旅路。

「ソウマさん、良かったんですか?」

「うん。あんまり同じところにいすぎると、妖気でバレるかもしれないし」

また来るべき場所を背にして歩く。

一応周囲を警戒しつつ、羊の国を目指すことにした。

二人ともそこまで喋らなかったけど、不思議と不快な沈黙ではない。

黙ってそこにいても安心出来る……なんだか家族みたいだ。

……家族?

僕とコウは目の色も髪の色も違うんだ、流石にそれはないだろう。

じゃあ、なんでこんなに、こんなに……

懐かしいんだろう?

 

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