第八話 神の領域
ハァハァ、、、混沌の底に来てもうどれぐらいが経ったのだろうか十年、、、いや体感二十年は経ってる。だけど今はそんなことより目の前に魔物の相手で精一杯だ!
師匠との修行で強くなったと思ったがあれはただの自惚れに過ぎなかった、、、
こいつの異様なタフネスとスピード、ガードするので精一杯になるのは師匠の攻撃をうけるとき以来だわ。
鑑定も名前以外すべて不明、つまりこいつは種族値と魔力値が俺より数段上の存在。
”ツインブラットキング”この魔物は一つの体に四本の腕と二つの頭があり鎧を纏ってるバケモン。
しかもご丁寧に四本の腕にはしっかりと剣を装備か。
デカさは5m程で大したデカさではないが、異常なまでの耐久性で攻撃を殆ど無効化される。
ブンッ!
シャキーーン
「うお!クッソ、避けるだけで体力を持ってかれる、、、それに反撃できてもこいつの二つの頭が死角をカバーして防がれる。」
「魔力もあと技能一回使ったらなくなる。そうなったらもう無理ゲー、ここでお陀仏た。」
は?俺何を言ってんだ?お陀仏?無理ゲー?何さっきから弱気なこと言ってんだ、、あの地獄の日々に比べてみろ、あれに比べたらこの程度屁でもないだろ。だが、最悪な状況なのは変わりない。
思い出せあの死ぬ思いをした修行の日々を、あの地獄の二年間の中でこの状況を打開できる一手を、、、
思い出せ!!
--修行開始から9ヶ月目--
『翔太、お前に聞く技能とは何だ』
『はい?何を今更、そんなの知ってるに決まってるじゃないですか』
『じゃあ言ってみろ』
『技能ってのは魔力値または気力値を1000にすることで会得できる魔法及び気法の固有能力のことですよ』
『なるほどな、、不正解だ』
『はい!?なんでですか!』
『俺は技能の根本を聞いてるんだ、誰が会得方法を言えと言った。』
『えぇーなんですか〜それ〜、俺には分かりませんよ』
『たくっしょうがねぇ奴だな』
『よく覚えとけよ技能ってのはな、、、』
そうだ、あの時師匠から技能とは根本的に何か聞かれたんだ。結局分からなくて教わることになったけど。
でもあの時師匠から教わったことは、、、
《原初技能 "神之審判" 》
《魂の掌握に失敗しました。》
!?
失敗、、、つまり種族値が離れすぎて効かないってことか。
ブンッ!
ザシュ!
グハァ!!
ハァハァ、くっそ、、、一発喰らってこの威力、、、、
しかも傷口が腐敗、状態異常か
状態異常には耐性があるのにそれを上回ってくるとはな。
立つのもやっとのこの状況、次喰らったら確実に死ぬ。迷ってる暇なんざねぇ今ここで決断するんだ!!
『技能ってのはな神々が生物に与えたほんのわずかな神の力だ。』
『そのため技能は所有者の魂に強く反応し、技能所有者の意思と覚悟が』
強ければ強いほど技能はさらに進化する。
ブンッ!
シュタッ!
死の恐れを乗り越え、目の前の高く分厚い壁をぶち壊してこそ真の覚醒を遂げる。
つまり技能というものは、、、
「『己の存在をこの世に証明し続けるものだ!!』」
《確認しました。》
!?
この声は!
《原初技能 ”神之審判” が 神話技能 ”制裁神之力”への進化に成功しました。》
!?
《技能進化に伴い個体名”日野翔太”が原初人類から神話人類への覚醒進化に成功しました。》
《魔力値、気力値、種族値が大幅に上昇しました。》
《新規耐性技能 魔法攻撃耐性、物理攻撃無効、状態異常攻撃無効、精神攻撃無効、魂攻撃耐性、暗黒攻撃耐性、を獲得。》
《新規常時発動技能 神童覇気、痛覚無効、即時再生、冥王覇気、真偽の瞳、を獲得》
頭の中に色々な情報が流れ込んでくる。これが”神の領域”
ヤバそうな技能のオンパレードだ。
ガチャ、ガチャ、ガチャ
いいぜ、かかって来いよ!覚醒進化した技能の実験台にしてやるからよ!!