第七話 生存本能
混沌の底に入って一体どれぐらいが経っただろうか、時間の流れがまるで分らん。
体感的には18時間ってところかな。それにしてもこんだけ歩いて魔物一匹見つかりやしない。案外大したことなかったりしてな!ハハハ....
にしても妙だなさっきから周りの景色が同じように続いている気が、、、ハッ!
しまった、俺としたことがこんな単純な罠にまんまと引っ掛かるなんて、この場に師匠がいたら完全に殺されてるな俺。
そんなことよりどうやら同じ景色繰り返しで見せられているみたいだな。脳に直接魔力を流し込んでるみたいだが、それは対象者の魔力が術者の魔力を上回った場合無力と化す。
それに、、、
「そこか」
シャキーーーーーーーン
「その幻術は魔力を多く放出するから自分の位置を相手にバラすデメリットがある」
「もっと幻術を理解しろハゲ!ってもう死んでるか、、」
にしても今の魔物エルフにそっくりだな。
《古代技能 ”鑑定” 》
なるほど今の魔物はアンデットエルフっていうのか。魔法を得意とし中でも特に幻術に長けていると、相手に繰り返し同じ景色を見せたり、相手のトラウマを引き起こしそれを再現、はぁ?!仮想空間に閉じ込めるとこもあるのかよ、、、しかも頭を潰さないと何度でも蘇るとかキッショ、、、、
まぁ、師匠の幻術に比べればあんなの子供騙しにもならんわ。最初見事に引っ掛かったんだけど、、、、
でも、あの人は魔法攻撃と物理攻撃のバリエーションがほぼ無限にある。二年間一緒に修行して師匠から引き出せた攻撃はたったの8種類。
しかも全体の力の十分の一、、いや百分の一も出してない。もしかしたらそれ以上かも、、、、
てことは師匠が俺をこんな気持ち悪い場所に放り込んだのも自分の力もっと引き出させるため、、、、
だとしてもやりすぎだろ1000年は。
ドスッドスッ
お?次が来たか、せいぜい俺の経験値になってくれよ。
--大魔森林ネモウ--最深部付近
スチャッ
「ふぅ、大体片付いたわね」
「さすがにここまで来ると魔物の脅威が段違いだわ」
「ほとんどの魔物が厄災級や天災級のレベルばかり、、、さすがわ大魔森林の最深部といったところかしら」
「さて、そろそろ着くと思うんだけど」
--五時間前--天空城パルテン
「はぁ!?大魔森林最深部の調査ですって~~!?」
「あんた正気?ミスリル級冒険者でもパーティを組んでやっと入れるかどうかなのよ」
「だから、君に頼んだんじゃんか、それに君なら”あいつ”の説得にも応じてくれると思ったからだよ」
「仮にアタシが最深部に入ったとして肝心の彼がアタシ達の要求を呑んでくれるとは限らないわよ」
「その点は大丈夫さぁ、なんせ”世界国連評議会”の決定事項だからいくらあいつでもそう易々と断ることはできない」
「それに、こっちには秘密兵器があるからね」
「はぁ、何企んでるかは知らないけどもし彼を怒らせるようなことがあればいくらあなたでもただじゃ済まないわよ」
「その辺りはアリシリア、君の技量次第だ。それこそあいつの機嫌を損ねてしまったら僕はおろかこの城ましてや僕が統治する国が消滅しかねないからね。」
「それほど今回の案件は重要だってことさ!お互いの命運がかかってるからね」
「あなたがアタシを選んだ理由がよく分かったわ。」
「いいわ、その調査依頼受けてあげる」
--現在--ネモウ最深部付近
よし、後はこの道をまっすぐ進めばたどり着く。でも快く引き受けてくれるかしら。
あの人妙にプライドたかいから断られる可能性も視野に入れとかなくちゃ。
あ、もう見えて、、、
シャン
「それ以上足を踏み入れれば貴様の頭と胴体が泣き別れになるぞ」
アタシに気配を悟らせず真後ろをとった、、、なんてのはいつものことね。
「久々なのに随分な挨拶じゃない。ガイア」