第六話 混沌の底
師匠と出会ってもう二年がたった。相変わらず地獄の修行の毎日だけど魔法も技能もだいぶ上達した。もうこの世界で充分生きていけるぐらいの力はつけたんじゃねぇかな
で、今何してるかって言うと、師匠に連れられてある場所に向かっている。その場所が何なのかどこにあるのかは何も言われてない。ただ「ついてこい」の一言だけだった。まぁ師匠らしいっちゃらしいか。
「着いたぞ」
「ここっすか?」
たどり着いたのは崖の絶壁に掘られたデケェ洞窟。ここで新しいことでもやんのかな?
「来い」
「え?、、あ〜はい」
師匠に連れられ洞窟の中をしばらく歩いていると巨大な鉄の扉があるところまで来た。なんでこんなところに扉があるのかは分からないけどここで一体何をするつもりなんだ?
「今から翔太、お前にはこの中に入ってもらう。1人でだ」
「え?、、いやまずここどこなんです?」
「ここは通称"カオスボトム"と言われるところだ」
カオスボトム、直訳すると"混沌の底"あきらかにヤバいのは確定。
そんなとこに俺一人で行けって?一生帰ってこれなくなる未来しか見えんわ!
まず、どういうとこなのかもよく分からねぇのにいきなり入れだなんて死ねって言ってるようなもんじゃねぇか。
「まず、ここはどういったところなんスか?」
「混沌の底の中じゃこことの時間の流れが違う。分かりやすく言うと現世での1分は混沌の底では1年だ」
「え、、、」
なにその何とかの部屋みたいな設定。そんなわけも分からないところにぶち込まれるの俺。今まで師匠の無茶ぶりを何度も味わってきて慣れたつもりでいたがさすがにこれは予想の斜め上のさらに右斜め上にいったな~やべぇ、、、
「まさか、そんなヤバい所に一年過ごせなんて言わないですよね?」
「なに言ってんだお前は、一年なんて短い期間でどう過ごすんだよ。」
「え、、、、」
「お前はこの中で1000年過ごしてもらう。」
「、、、、、、、」
聞き間違えかな、、今死刑宣告されたように思えたんだけどそれは俺の勘違いかな?1000年?この人は何をおっしゃって、、、
「もたもたしてねぇでさっさと入れ」
ドスッ
「え、、あ、」
こうして俺は混沌の底に1000年閉じ込められるという事実死刑執行が下された。
だが、ただ死を待つほど俺は甘くねぇ、やるからには全力で足掻いて生き残ってやる!!
--天空城パルテン--
ここはあの天空の支配者であり七星王の1人、ウィリアム、ウィンガーが自ら作り出した空に浮かぶ城
この城は世界各地から観測可能で、上を見上げれば必ずこの天空城が視界に映る。
そしてその城の中をコツコツと足音をたてながら城の大扉の前まで来た者がいる。
"ゴゴゴッ"と重い音を響かせながらその者は大扉を開けた。その先にいたものとは、、、
「ウィンガー様、お客様をお連れしました」
「あ〜ご苦労、通していいよ〜」
「はっ!」
「やぁやぁ、こうして会うのは何年ぶりかな、、」
「いきなり呼び出しておいて一体どいう了見だよウィリアム」
「いや、なに大したことじゃないさぁ〜ただ久々に顔が見たくなってね」
「それに、その物騒な格好は相変わらず変わってなさそうで安心したよ、 "アリシリア"」
「まったく、、、アタシを呼び出したのも何か訳があるんでしょ?」
ニヤ
「なんでそう思う?」
「じゃなきゃあんたが意味もなくアタシを呼び出すわけないでしょ」
「まぁ確かにそうだ」
「そんで、一体何を企んでいるの?」
「あぁ早速だが剣聖の君に折り入って頼みがある」
「何よ急に改まって」
「大魔森林"ネモウ"の最深部の調査を依頼したい」