第二十四話 隊長格の責任
--アダブ廃教会--バルカンサイド
あの幹部を倒した後、広場の奥の通路に入り少し進んだところで私達は休息を取った。
思いのほかダメージが大きい。これは回復するまで少し時間かかるな、、、
グラグラグラグラグラグラ
「な、なんですか?この揺れは」
「あの野郎、限度ってものを知らねぇのか」
ドタドタドタドタ
「いたぞ~!侵入者だ~~!!」
「直ちに排除しろ!」ガチャッ
シャキンッ
「ひぃぃぃ!組織の団員達が集まってきちゃいましたよ!」
「まだ全快ではないがこの程度の人数ならなんとか」
キランッ
!?
なんだ今の光は、、
ピカーーーーーーーーーーーーン
うっ!眩しくて目を開けてられん。これでは敵の位置が、、、
「よう、見ねぇうちに随分ボロボロになったな」
「ガイア様!?」
「え?え?何?」
「翔太を回収して帰るぞ」
「あ、はい」
雑兵とはいえ数百人近くいた組織の構成員を一瞬で蒸発させるとは、、改めて実感するな。どれだけ足掻いても決して超えることのできない圧倒的な実力の差
立ち向かうことすら烏滸がましい、完成された存在。
これが神人と言われる所以か。
「あと友達を連れてきてやったぞ」
「はい?」
「各員、散らばった残党を1匹残らず捕らえろ!」
「「「は!!」」」
「あら、少し見ない間に間抜け面に磨きがかかってるじゃないグリウォーク。」
「は?なんでお前がここにいるんだよ、”リスタル”」
「ちょっと命の恩人に対してなにその態度」「もっとあたしに感謝すべきじゃない?」
【空の精鋭二番隊副隊長”リスタル、マージック”】
あの黒いワイシャツとズボンを身に纏った黒髪の人、多分ショウタさんが師匠って言ってた人だ。
隣の青髪ポニーテールの女性は誰だろう。バルカンさんと同じ鎧を着てるから多分空の精鋭の騎士様なのだろうけど、なんだろうなんかモヤモヤするな。
「それと、そこのあなた」
「え、え!わ、わ、私?!」
「えぇ、そうよ。あなたに話しかけているの」
「な、なんでしょう」
「あなたにも色々聞きたいことがあるから我々と一緒に来てもらうわ」
「え?」
--翔太サイド--
ふぅ、疲れた〜、、、
こいつまじで硬すぎるし魔法効かねぇし、マジ苦労したわ〜、、、
さてと、一段落ついたし早くバルカンと合流しないとな。
《か〜ごめ、か〜ご〜め〜》
《籠の中の鳥は〜》
《い〜つ、い〜つ、出やる》
なんだ?この声?!
《夜明けの晩に》
《鶴と亀が滑った》
《うしろの正面、だぁ〜れ?》
ザシュッ!
、、っ!?ゴフッ!!
なんだ!?後ろから何かに刺された感覚、、、
傷口が、、ない!?
ゴフッ!!
まずい、吐血が止まらない!早く何とかしなければ、、、、これ、以上は、、意識が、、、
バタッ
そこから先は記憶がなく次に目が覚めた時には俺はベッドに横たわっていた。しかもかなりデカいベッドで王族とか貴族が使うようなものだった。
起き上がると見慣れない部屋にいて、すぐ横に白髪のメイドらしき人が椅子に座っていた。
俺が起き上がったことを確認するとメイドは俺を部屋の扉の方まで案内した。
恐る恐る扉を開けその先に立っていたのは、、、
「やっと起きやがったか」
「あ、師匠、、おはようございます、、、」
「修行をもっとキツくする必要があるようだな。ついてこい」
「、、、え?」
今とんでもなく恐ろしい言葉が聞こえたんだけど、、
これ以上厳しくされたら死んじゃうよ?俺
などと考えながら師匠のあとをついて行くと『会議室』と書かれた扉の前まで来た
「ここは?」
「いいから入れ」
そう言われ扉を開けた。
するとその先には巨大な円卓が中央にあり、その周りを囲むように複数人の空の精鋭とウィリアムさんがいた。
「よし、これで全員揃ったね!」「空いてる手前の席に座ってくれ」
俺と師匠はウィリアムさんの言われるがままに席に着席した。いったい何が始まるのだろうか
「今回君ら空の精鋭の隊長全員、そしてガイアとショウタ君に出席してもらった理由は一つ」
「空の精鋭の軍事法第12条を"反故"にしたグリウォーク、バルカンの処遇についてだ。」
軍事法の反故?!
あいつ一体何をやらかしたんだ?
「なるほど、つまり軍法会議という訳ですか。一番隊の副隊長ともあろう人が軍事法を反故するなんて、ただ責任を取るだけじゃ済まされませんよ」
【空の精鋭、"五番隊副隊長マウレック、ウィンター"】
「軍事法を反故した隊員は称号剥奪及び除隊命令が下される。確かいたよな100年ほど前に同じことをして除隊になった隊長格が」
【空の精鋭、”五番隊隊長ロイアン、ダックマン”】
「今回の一件、グリウォーク先輩には何か考えがあっての行動だと僕は思いますがね」
【空の精鋭、"四番隊副隊長モリウス、シュテルツキン”】
「一通り報告書には目を通したが、今回の事案は天界法をも犯しかねない重大事態。”堕天の烙印”を押されないだけでまだマシだと思った方がいい」
【空の精鋭、”四番隊隊長ヨルガン、デビロ”】
「....ほんと、男ってバカばっか...」
【空の精鋭、”三番隊副隊長ラビンス、レバロ”】
「まぁとりあえずグリウォーク君の今後の処遇を決めないと、私ら隊長格の立つ瀬がないからね」
【空の精鋭、”三番隊隊長セシル、クインテプル”】
「そのために今回のような場が設けられているんでしょグリウォークのためにも、あたし達のためにもね」
【空の精鋭、”二番隊副隊長リスタル、マージック”】
「そもそも団長、この事件を引き起こしたのはあなたの息子なんですから親であるあなたも責任を取るべきなんじゃないんですか?除隊させるなら親子揃って除隊させるのが筋ってもんでしょうよ」
【空の精鋭、”二番隊隊長ゲルウェン、ドゥレアス”】
「あぁ、もちろんそのことも視野に入れて話を進めるつもりだ。息子の責任は親である俺の責任でもある、いかなる処罰も受け入れるつもりだ。」
【空の精鋭、”一番隊隊長兼総団長ダナウォーク、バルカン”】
ここにいる空の精鋭全員が隊長格!?
どうりでバルカンと同等もしくわそれ以上の魔力量を持つ奴しかいないわけだ。さっきいた部屋とは比べ物にならないほどの圧迫感、、、
これが隊長格か、改めて見るとやっぱあいつってすげぇ肩書持ってたんだな。
「それじゃあ始めようか」