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第二十話 見えない罠

--ピレウス冒険者ギルド--入口前


「なぁ、バルカンなんで冒険者ギルドに寄るんだよ?」

「情報収集だ」

「今更?そっちで手に入れた情報だけで充分でしょ」

「これだからアホと一緒に行動するのは嫌なんだ」

「お前毎回一言余計なんだよ!」


ガチャッ

ウィーン


ジーーーッ


え、なに?入った瞬間やたら見られるんだけど、俺なんかしたか?いや何もしてないよ


「おい、突っ立てねぇで早く来い」

「あ、おい!」



「おい、アレが”例の”ミスリル級冒険者だよな」

「あぁ~2人いた内の一人だ」

「もう一人は測定石を破壊したって噂だぜ」

「はぁ?!そんなことあり得んのかよ?!」

「さぁな、一部ではコネでランクを上げてもらったなんて噂もあるみたいだ」

「マジかよ、じゃあ測定石を破壊したってのもデマってことかよ」


うわ〜、、早速広まってるよ

しかも、中には信じてない人もいるみたいだし、、、よっぽど凄いことなんだって改めて実感するな。

そういえば、昨日の新聞に映ってた慎太郎と小早川、元気そうで良かったわ

まぁ、慎太郎とは幼稚園から一緒だし小早川も中学からの仲だから俺が心配しなくても大丈夫だろ


「おい、周りの意見なんかに呑まれんなよ」

「はぁ?俺がそういう風に見えんのかよ」

「釘をさしておきたかっただけだ」

「愚問だな、第一今この場で俺より強いやつなんているわけ」


「おや、昨夜宿のロビーにいた」


ゲッ!この声はもしかして、、、

てか見なくても一瞬で誰か見当がついてしまうあたり怖ぇんだよな、、

一応確認してみるか


クルッ


「おぉ〜やはり君でしたか、えーっと確か名前は」

「翔太です」苦笑

「そうでした!あなたが新たにミスリル級冒険者になられたショウタ君でしたね」

「申し遅れました私はレインボーペガサスリーダー、ミスリル級冒険者の"ゼクスト"です。パーティメンバーからはマスターと呼ばれています。以後お見知り置きを」

「えぇ、こちらこそ」


「俺は先に案内窓口に行ってるぞ」

「っておい!」



あの野郎!俺を置き去りにしやがった!

てかこの人慣れねぇんだよな、、、なんて言うか隙がねぇって言うか、言葉は丁寧なのに圧倒的な格の違いを思い知らされている気分だ。

多分、今この人と戦ったら間違えなく瞬殺される。俺が


「よ///よう昨日ぶりだな///」

「ん?あ〜っどうも!ヴィーナスさんでしたっけ?」

「あぁ、さ//、昨夜はなんて言うか勘違いして悪かったな///」

「いえ、こっちも上手く説明しなかったのも悪いし、お互い様ですよ」

「あぁ//そうだな///」


ん?なんでこの人こんなによそよそしんだ?

昨日は全然こんなじゃなかったのに



「おい!見ろよレインボーペガサスだぞ!!」

「なんでここにいるんだよ」

「確か今遠征途中じゃなかったか?」

「てか1番前にいる子供、あれが先駆者ゼクストか?!」

「危険度EX越えの、滅龍めつりゅうアルキオンをたった一人で討伐したまさに生きる伝説の冒険者!!」

「俺生で見るの初めてやわ!」


え?この人そんなに凄い人なの?

めっちゃ強いとは聞いてたけど、想像の5倍は凄かったわ。てか滅龍?なんだそれ、、、

聞く限りヤバそうなのは確かなんだけどそれより危険度EX!?

確か大国を一瞬で更地にできる厄災みてぇな奴だよなそれ!良かった〜!昨日変に喧嘩売らなくて、、、

師匠以外に殺されるのは勘弁だわ!


「おいおい、七年ぶりにミスリル級の冒険者が誕生したと思ったら何だこりゃ~」

「田舎から出てきた芋男じゃねぇか!」


なにこの三流を絵に描いたような奴、、、

毛先が白い銀髪で色白の男、それに赤い瞳に歯に牙生えてね?

大学生ぐらい見た目で顔立ちは偉く整ってるから余計ムカつくな。身長は俺より少し大き180cm前後ってとこか

てか完全に俺のこと舐めてるな。

何?俺この世界じゃ他人に舐められるようにできてんの?ねぇ


「ちょっとキャンス何勝手に間に入ってんだよ!」

「お前が惚れた男がいるっつうからどんな奴かと思えばこれか?」

「何か悪いかよ」

「いや、ただ判定だけでミスリルになったやつだから信用ならねぇってだけだわ」

「当然もう1人のやつもな」



「は?おい、それは師匠のことを言っているのか?」

「師匠?なんだよもう1人のミスリル級冒険者ってお前の師匠なのかよ!」フッ

「どうりで田舎くせぇと思ったわ!まぁ、お前ごときの師匠なんてたかが知れてるけどな!」


プッツン


--冒険者案内窓口--


「おっと、これはまずい」

「お客様?どうかされましたでしょうか?」

「いや、大したことじゃない」

「いつものことだ」


--ギルド中央広場--


「あ?なんだ?怒ったか?田舎者って言われて」

「ねぇあんたいい加減にしなよ!」

「なんだよ、ちょっとおちょくっただけじゃねぇか」


「おい、俺のことならなんて言われようが構わねぇが」

「師匠のことをバカにするやつは誰であろうと絶対に許さん!!」

「少し煽られただけでそんなに熱くなるか普通」

「灰にならないように構えろよ」

「は?何言って」

《超級火炎魔法 ”灰燼龍(かいじんりゅう)”》


ボーーーーーーーーッ


「ハハハッ、面白れぇ煽って怒らせたかいがあったぜ!お前の力量がミスリル級にふさわしいか俺が見極めてやるよ!」


シュイーーーーーーーーーーン


《超級大地魔法 ”C(カラット)バスター”》


「ハッ!分子レベルで粉々にするこの魔法をどう対処する田舎者!!」

「くだらねぇな、まとめて灰にしてやる」




「おいおい!誰か止めねぇとやべぇことになるぞ!」

「しかも1人はあの"白銀のキャンサー"じゃねぇか!」

「とにかく巻き込まれたらひとたまりもねぇ!逃げるぞ!」




ギロンッ



ッ!?

息ができない!?それに体も一切動かせない!

何がどうなって、、


「そこまでです!お2人とも」

「ここがどこだか分かっていますか?」


ゼクストさん?!

そうか、じゃあこれが流星の瞳の権能か

昨日のは一瞬すぎて分からなかったけど、こうしてちゃんと受けるとこうも、、、まずい、、そろそろ、、意識が、、、、


「すまない、うちの連れが迷惑をかけた」「バ、、ルカ、ン」


「いえ、先に仕掛けたうちのメンバーに非がありますので」

「心遣い感謝する。後そろそろ、その権能を解除してくれるか?」

「おっと!これは大変失礼しました」


ハァハァ

「助かった」

「たわけ!やっすい挑発にのりおって」

「けどよ、あの野郎が」「知るか!説教は外に出てからたっぷりしてやるから覚悟しとけ!」



「少し頭を冷やしなさい、キャンスさん」

「ハァハァ、、、すいません、マスター」

「ったく調子に乗りすぎだ!」



そして少し離れた場所に金髪で琥珀色の瞳をした謎の少女が翔太とバルカンの一連のやり取りを見ていた。2人がギルドを出たタイミングで2人の後を追うようにその少女も急いでギルドの外へ向かった。

ガチャッと扉を開け辺りを見渡すと2人が話しているのを見つけ、すぐに2人の元へ駆け寄った。



「あ、あのすいません!」

「ん?」

「あ?」

「先程、ギルドで揉めていた方ですよね?」

「あぁ〜このアホのことか」

「おい、お前いい加減名前で言え!」


「さっきのお相手誰だかご存知ですか?」

「私は知っているがこのマヌケが把握してるかどうかは怪しいな」

「なぁ、喧嘩ならよろこんで買うぞ?」

「確かに貴様とはまだ正々堂々戦ったことなかったな」


「あの〜、私喋っていいですか?」

「ん?あぁ〜ごめんごめん、それでさっきの銀髪男は誰なの?」

「はい、あの人はレインボーペガサスの左翼、"白銀のキャンサー"です」

「知らねぇな〜、バルカンお前知ってっか?」


「当たり前だ、むしろ把握していない貴様に呆れるわ」

「知らねぇもんは仕方ねぇだろ!」

「なら私が特別に教えてやろう。光栄に思えよ」

「お前ほんと俺にだけ上からだよな」


「それと小娘、貴様の名を聞いてなかったな」

「あ、私ですか?」

「確かに、君の名前まだ聞いてなかったね」


「私は、、"オルター"と申します」

「一応冒険者やってます。アイアンですけど、、」

「分かった、それじゃあ移動しつつキャンサーについて説明してやる」




--王城--イラリアの自室


「話って、あなたのような人と話すことなんかありません!」

「まぁ、そんな身構えんなって」

「今すぐ警備兵を呼びます」

「それは不可能だ」


「いいえ、可能です、このスイッチを押せばこの部屋に30名の兵が押し寄せてきます」スッ

「ならやってみるといい」

「えぇ、言われずとも」


カチッ


シーーン


「あれ?なぜ誰も来ないのです?」カチッカチッ

「何度やろうと無駄だ」

「何故?!」

「今この部屋は別次元の空間と入れ替えてある。だから何度押そうが叫ぼうが誰もこの部屋の存在を認知できない」

「そんな、、、」


「そういうことだ、分かったならっ「えぇ、覚悟はできています!私の体を好きにするといいですわ!!」

「は?何言ってんのお前?」

「それでは王家の秘宝を在りかを教えましょうか?」

「いやだから、俺の話を「これでも満足いただけないと。なら次は「いいから俺の話を聞け」

「っ!?は、はい!」


「いいか?俺がここに来たのは他でもない、お前の妹についてだ」

「ペカリオのことを?」

「あぁ」




--アダブ廃協会に向かう道中--


レインボーペガサスの左翼、"白銀のキャンサー"

本名:キャンサー、エーファイブ

文字通り先駆者ゼクストの左腕であり、パーティメンバーの中じゃあNo.3の実力の猛者だ。

奴が扱う大地魔法は他とは比べ物にならない規模を有しており、さらに奴は変異魔力を持つ特異体質で魔法の性質を自由自在に変化させられる数少ない逸材。


「だからさっき、あいつの周りをダイヤモンドがクルクル回ってたんだ」

「ちなみにさっきのはキャンサーさんが編み出した超級大地魔法"C(カラット)バスター"ですね」

「編み出す?」


「一般的に初級魔法から上級魔法までは魔導書や人から教わって身につくものだが」

「超級魔法からは使用者自身が1から魔法を編み出して使うのが殆どだ」


「しかも先程ショウタさんが使った魔法は半世紀前に七星王ハーリー、バリントン様が編み出した超級火炎魔法"灰燼龍"ですね!」

「魔力値が高くても火炎魔法の適性がかなり高くないと扱えないんですよ!」

「その分威力は桁外れで、大型の魔物を一瞬で灰にすることだってできるんですから!!」

「おう、そ、そんなに凄いものなんだ」

「えぇ!ほんっっっとうに凄い魔法なんです!」


なにこの子、、、いきなり流暢に話し始めるわ早口になるわで、オタク感半端ないんだけど、、

よっぽど魔法が大好きなんだな。

てかあの魔法そんな凄かったんかい、今朝バルカンが俺にぶっ放したのを見よう見真似でやっただけなんだけどな


「魔法好きなんだね」

「はい!私魔法が世界で1番大好きなんです!」

「いいね、それだけ好きになれるものがあるってことはとても素晴らしいことだよ」

「ですけど先月、私魔法学校を退学になってしまって」

「それって、、」


「おい、着いたぞ」

「お!ここが例の廃教会か」

「あぁ」

「ここってかなり昔に閉鎖された教会ですよね」

「なぜこのような場所に?」


「オルターちゃん君はもう帰りなさい」

「え?」

「ここから先は私とこいつの二人だけで行く」

「貴様とはこれで最後だ、ここまで来てくれたことに感謝する」

「行くぞ」「あぁ」


ダメ!ここでショウタさんたちとお別れしちゃったらもう二度とチャンスは訪れないかもしれない!!

ここで変わるんだ、この人たちについてって私は強くなるんだ!

『落ちこぼれが』『この、学園の面汚し!』『とっとと失せろ!』

もう二度とあんなことを言われないためにもここで引き下がっちゃだめだ!


「私も行きます!」


「貴様自分で何を言っているのか分かっているのか?」

「えぇ!」

「ここから先は命の保証がないんだぞ」

「ですが、ここで引き下がったら弱いままなんです!」キリッ


「、、、そうか、なら好きにしろ」

「おい!いいのかよ」

「足手まといになるようなら見捨てるだけだ」

「俺もあまり仕事に私情は挟みたくねぇが、悪いが今回ばかりは命のやり取りがあるからな」

「ならどうす」


「俺が面倒を見る、危険と感じたらすぐにこの子だけでも外へ逃がす。それで文句ねぇだろ」

「我々の作戦に支障がなければ何も問題ない」

「よし!決まりだな」

「なら私は」


「あぁ、俺が責任をもって君を守る」

「ありがとうございます、私も足を引っぱらないように頑張ります」

「話はまとまったな入るぞ」

「あぁ」「はい!」



キキキキッ


扉の音からしていかにも廃教会って感じだな。

中も所々腐敗してていつ崩れてもおかしくないレベルの雰囲気だな、床も埃まみれで歩くだけで埃が舞うから少し呼吸がしにくいな。

さてと確かこの奥の部屋が奴らのアジトと繋がってるんだっけ?


カチッ

ん?ドアノブが動ない錆びついてんのか?グッ!


「待てショウタ!それ以上触るな!」

「え?」


シューーガチャンッ!


は?、クッソ!!はめられた!いきなり俺とバルカンの間に壁が出てきた

つまり最初っから俺とバルカンを別々にすることが目的だったのか!

しかもバルカンの所にはオルターちゃんがいる、早速自分で言ったことができてねぇじゃねぇか!!

だがここでいつまでも考えたって仕方ない。とりあえずこの扉の奥に進もう。


ガチャッ

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