第二話 新たな人生
目が覚めると見知らぬ天井が広がっていて、ベッドに横たわっていた。
一体どれぐらい寝ていたのだろうか。
ふかふかのベッドからゆっくり体を起こすと隣に椅子に座った男が本を読んでいた。
「起きたか」
「お前3日も意識を取り戻さなかったんだぞ」
3日も意識を失っていたのか。
それにこの場所は一体どこなんだ。
スッ
俺が起きたことを確認するとその男は部屋を出ようとした。
いまいち状況が飲み込めず俺は咄嗟に、、、
「あの、、」
俺が声をかけるとその男はその場で止まり、顔を少しこちらに向けた。
「ここは一体どこなんですか?」
「俺の家だ」
なるほど、どうやら俺はこの人に助けられたみたいだ。
それにしてもこんな森の中でどうやって暮らしてんだろ。
「あの、助けてくれてありがとうございます」
「たまたま通りかかったらお前がいただけだ」
「それでも助けてくれたことには変わりません。ありがとうございます。」
「そうか、それより回復したのならさっさと出てけ」
「、、、、」
確かにこの場において俺はただのよそ者。
たまたま倒れてるところを見つけて拾っただけ。
意識が戻ったのなら出ていくべきだよな。
だけど、出たところでどうする。行くあてもなく右も左も分からないまま。
ましてや今まで暮らしていた世界とは全くの別世界。
途方に暮れて野垂れ死ぬのが目に見えている。
「出ていきたいのは山々なんですけど、行く宛てがなくて。」
「なんだ、家出でもしたか。」
「いや、さっきまでこことは全く違う世界にいたんですけど、目の前が急に光りだして気がつくとこの森にいました。」
「、、、、」
黙っちまった。まぁそりゃそうか、異世界から来ましたなんて信じるわけねぇもんな。
「なるほど、異世界からの来訪者か」
!?
いまなんて?....”異世界からの来訪者”?
まさか俺以外にもこの世界に来た奴がいるのか?
「来訪者って俺以外にもこの世界に来た人間がいるんですか?」
「いるもなにも、この世界には異世界人がしょっちゅう訪れるから今更一人二人増えたところで何も驚くことねぇわ」
「マジっすか、、、」
「大国なんかじゃぁ”勇者召喚”として大勢の異世界人を呼び出しているところなんてのも珍しくない」
「だが、中には元の世界に帰りたいってやつもいるから、そういうやつは元いた世界に帰してんだよ。」
「そうなんすね、、」
正直驚いた。まさか俺以外にも別世界から来てるやつが大勢いるなんてなんて、、、
じゃあ俺はその大勢の中の一人ってことか。
これからどうするか、帰る術は一応あるみたいだが、、、
「どうする?今ならまだ元いた世界に送り帰してやるが」
「いえ、それより俺にこの世界で生き抜く術を教えてください」
「そうか、わかった」
「普段は弟子なんてとらないのだが、今回ばかりはいいだろう」
「ありがとうございます」
「だが、俺の修行はそんな生易しくないぞ。覚悟して臨むんだな」
「はい」
こうして、俺の新たな世界での新たな人生が幕を開けた。