第十四話 七星王ウィリアム=ウィンガー
--天空城パルテン--玉座の間
「よう、よくもやってくれたなクソガキ」
「やぁ、久しぶりガイア」
この人が七星王の一人、天空の帝王ウィリアム=ウィンガー。
見た目はホント白髪の美少年って感じだ、、でも背中に白い翼が生えてる。それにこのプレッシャー、混沌の底の魔物がかすむレベルで凄まじい。これが七星王、師匠とはまた違った絶対的王者の貫禄。
「話はアリシリアから聞いた。で、俺への本命の要件はなんだ」
「あぁだけどその前に、君がショウタ君か、ガイアの弟子の」
「え?あ〜、はい」
ニヤ
ッ!?
ビュオーーーーーーーーン!
うわ!!
なんだこの人!?いきなり攻撃してきた!!
しかもなんつう威力だよ!
あと一歩避けるのが遅れてたらただじゃ済まなかったぞ!!
「へぇ〜、いい身のこなしだ。これならガイアが気に入るのも無理はない」
「いきなり何するんですか!!」
「おい、遊んでねぇでさっさと話せ」
「あぁ、ごめんごめん、つい興味本位でね」
「なんなんだよマジで...」
「それで本題だけどガイア、君にやってもらいたい本当の要件は、中央大陸の辺境の地にある小国"フランドル国"そこの上流貴族グレムリン伯爵の抹殺だ」
「なぜ?まず俺はそのグレムリンとやらと面識がない、なぜ殺す必要がある」
「実はペカリオ王女の調査を進めると同時に周辺小国の調査も行っていたんだ」
「そしたらフランドル国から妙な気配をかんじてね、本格的に調査したら、これまたびっくりなことが発覚したのよ」
「それは?」
「それは、フランドル国グレムリン伯爵から"憎悪の創造神"の気配を感知したんだ」
「それは本当か?」
「あの、なんです?その憎悪の創造神って」
「それはねぇ、80年前ガイアが神殺しで大魔森林ネモウに追放処分になった、その元凶だ」
「80年前って師匠達が破滅の大地を封印した時っすよね」
「あぁ、神殺しの事件はその後の出来事なんだよ」
破滅の大地の封印を成功させ、世界中に平和が訪れた。各国ではそれぞれ祭りや宴が開かれた中、1人だけ不穏な気配を感じ取っていた。
その日は何事もなく過ぎたが、破滅の大地の封印から半年が過ぎたころある神が天から舞い降りた。人々はその神にひれ伏し崇拝した。しかし、その神は破滅の大地を封印されたことに怒り、この世界のすべての生命体を絶滅させようとした。だが、それを知ったガイアは絶滅を阻止するためにその神を殺した。
おかげですべての生命体は絶滅の危機から逃れたが、神を殺したガイアを世界国連評議会が全種族に害を及ぼす存在と判断し、今後一切他の七星王への接触禁止と大魔森林ネモウ最深部への永久追放を言い渡した。
「何ですかそれ!助けてもらっておいて恩を仇で返すなんて」
「仕方ないさ、殆どの種族がこの世界を作り出した創造神を崇拝してるからね。それが例え全種族を滅ぼす神であっても」
「それで、なんでそのグレムリンとかいうやつから憎悪の創造神の気配を感じたんだ。あの時俺はやつを完全に殺した。」
「恐らく完全に消滅する前にほんの僅かな自分の意識をグレムリン伯爵に憑依させたんだと思う。ガイアにですら気づくことが難しいほどにね。」
「師匠にすら気づかせないとかそいつどんだけっすか!?」
「俺はどんな違和感でも絶対に見逃さない。ほんの僅かな空気や魔素の揺らぎですら感知できる」
「ガイアの気配察知や魔力感知に引っ掛からないほど微々たるものだってことは僕らには到底無理だね」
「でも、憑依したのって80年前っすよね。そのグレムリン伯爵って人がまだ生きてたとしてももう80過ぎのおじいちゃんじゃないですか」
「老人と思い侮ってはダメだ、グレムリン家は代々人類の中では珍しい変異魔力を持つ貴族なんだ」
「なんすか?その変異魔力って?」
「主に魔族特有の魔力だ。だいたいの人間が通常魔力である中そいつの家系だけ変異魔力を持って生まれたってことだろ」
「あぁ、だから通常魔力より何十倍も魔力値が高く、魔法の腕前は宮廷魔導師とタメ張るぐらいだ」
「だが、言うなれば実力がそれぐらいであれば俺らには及ばなかったのだろう」
「そうだ」
「え?どういうことです?」
「つまり、憎悪の創造神がグレムリン伯爵に憑依したことで元々高い魔力のポテンシャルがさらに跳ね上がったんだ」
「少なくとも七星王に近い実力はあると考えた方がいい」
「マジっすか...」
「今回の黒の十字架団の件もグレムリン伯爵こと憎悪の創造神が裏で糸を引いてると僕は考えてる」
「まぁ、十中八九そうだろうな」
「だからガイア、僕は君を選んだんだ」
「それにあの日倒し損ね、自分をあんな所に追いやった邪神に引導を渡してこい」
「そのつもりだ」
「俺はどんな時でも師匠の弟子っすからどこまででもついて行きますよ」
「良い弟子を持ったな」
「小うるさいだけだぞ」
「酷くないですか?泣きますよ?」
「仲が良くて結構、あ〜それと忘れるところだった」
「君たち2人の中に僕の部下を一緒に行かせるよ」
「必要ない、俺ら2人で充分だ」
「まぁまぁ、そう言わず僕の1番信頼できる部下なんだ」
「入っておいで」
ガチャ
カツカツ
ん?
うわ、すげぇ身長たけぇ~~!
2mはあるぞこれ
しかも赤髪のイケメンとか、これだけでもう人生勝ち組じゃねぇか!!
「さぁ自己紹介して」
「はっ」
「はじめまして、私は空の精鋭一番隊副隊長の”グリウォーク、バルカン”です」
「というわけで、二人とも仲良くしてやってくれ」
「よろしくお願いします」
なんかめっちゃ堅物そう~
冗談とか通じるのかこれ....
「まぁ、彼は少し堅物だけど打ち解けたら話しやすいタイプだから」
「足手まといじゃなきゃなんでもいい」
「なら、よかった!彼の実力は僕が保証するよ」
「空の精鋭の中でもトップの実力を誇るから安心してくれ」
「陛下」
「ん?どうした?」
「今回の任務はガイア様のサポートと伺っていたのですが」
「うん、そうだよだがらガイアがいるじゃないか」
「私には関係ない部外者もいるように見えます」
部外者って俺のことかよ...
まぁ、元々は師匠宛に来てたものだし仕方ないっちゃ仕方ないけど
「そこの茶髪の君」
「ん?あぁ、俺?」
「君は今回の任務に関係ないから帰ってもらえるかな」
「は?」
「いや、バルカン今回彼もこの任務に同行させる」
「なぜですか陛下!当初の予定では私とガイア様のみのはず!!」
「それに魔力値も大して高くないような人間が」
「いやこれは僕の決定だ、なにか不満でもあるかい?」
「いえ、ありません」
チラ
今こっちを見たな
しかも完全に不満ありげの目だったわ
安心しろ、たった今俺もお前のことが嫌いになったよ
「じゃあ、そういうことだからよろしくね~」
「おい、赤髪の小僧出発は明日の昼だ遅れるなよ」
「かしこまりましたガイア様」
「よろしく、俺翔太ってんだ」
フンッ
カツカツカツ
はぁ?あの野郎いま鼻で笑って行きやがった
師匠やウィリアムさんの時と全然態度ちげぇじゃねぇか!
ふざけんなよ
--中央大陸--どこかの地下洞窟(黒の十字架団本部)
「今回はかなりの上物だな!」
「まさかスクベラ王国の第二王女様を今回の闇オークションに出すとはな」
「まぁあそこの家系は特殊眼が多い、しかも今回の王女も特殊眼とのことだ」
「確かに特殊眼の持ち主は何かしらの能力を眼に秘めていることが殆どだしな」
「だから、高く売れんだろうが!しかも眼だけじゃなくて体も最高じゃねぇか!味見しちゃおうかな~」
「おい、何を無駄話をしている、さっさと次の商品を運び出せ」
「あ!申し訳ありませんジェラルド様」
「すぐに取り掛かります」
【黒の十字架団、クロスウォリアー№3 ”吸血のジェラルド”】
資格の勉強で少し投稿をお休みします。
この小説を楽しみにしてくれてる人には他の小説でも読んでてください。
気が向いたらまた投稿します。あくまでも趣味なんで(・∀・)ニヤニヤ