第十二話 冒険者ギルド
無事、レブーン王国に入国できて、次は冒険者ギルドで冒険者登録。何故だろう今まで森の中でただ出てくる魔物を倒したり師匠の即死魔法を受け止めたり、意味のわからないところに1000年いたりと常に生と死の狭間を彷徨うことが日常だったからこういう平和的な1日はすげぇ幸せに感じる、、、
にしてもさっき入場門にいたいけすかねぇ大男、身なり的に冒険者っぽかったけどまさかな、、、
「着いたぞ、ここが冒険者ギルドだ」
「デカ!?どっかのお城並にデケェぞ、この建物が冒険者ギルド?王族の城じゃなくて?」
「いいから入るぞ」
ギギギギッ
扉デケェのになんかガタがきてる音だな、、
でもこの先に入ったら俺はもう冒険者!冒険者って響きだけでめっちゃワクワクするんだけど!!
「おい!なんでこれが納品不可なんだよおかしいだろうが!!」
ん?なんかすごく嫌な予感がするのだけど、この声はさっき入場門で聞いた声と、、いやたまたま似てるだけだ気のせい気のせい。うん!
「申し訳ございません。こちらの品物は今回の依頼の対象外でして納品を受け付けるこはできかねます。」「お手数お掛けしますがもう一度依頼を受け直して頂きませんと、、」
「ふざけんな!!こちとら死ぬ思いしてやっと手に入れたんだぞ!それなのに納品できないってどういうこったー!!」
案の定門にいたやつだよ〜、、、
うわぁーしかも受付のお姉さんにイチャモンつけてるし。いるわ〜自分が優位に立ったと勘違いして怒鳴り散らすキモイやつ。
「大人しく兄貴の言うこと聞いた方が身のためですぞ」
「この方はかの有名な"豪拳"の2つ名もつゴールド級冒険者"ドーベル、オリアン様なのですから」
「なんでもいいけど早くしてくれるかな?僕この後予定あるんだけど」
「おい、サーレてめぇ、今回お前なんもしてねぇだろうが!よくそんな口が聞けたな」
「後ろから襲ってきた魔物を倒してあげたの誰だっけ?」
「あれはあえて背を向けてたんだ!魔物を誘導するためにな」
「いや、明らかに気づいてなかったよね。それを都合よく解釈するだなんてどんだけおめでたい頭してんだよ」
「てめぇ、、黙って聞いてりゃあ好き放題言いやがって!」
おいおい、今度は仲間同士で争ってるぞ大丈夫かあれ
あんなんでよくパーティ組もうと思ったな。てか、あいつの2つ名何?豪拳?なにその中学生が考えたような異名、絶妙にダサ、、、
「おい、翔太早く登録済ませんぞ」
「あっ、はい」
「いらっしゃいませ、今日はどのようなご要件で」
「2人冒険者登録をしたいんだが」
「かしこまりました、それではこちらの登録書にお名前とご自身が使用する魔法の属性をご記入ください」
「技能を所持していましたら、所持してる技能もご記入ください。また、気法を扱われるのであればこちらの項目に丸をお願いします」
「あぁ分かった」
へぇ〜登録書記入するだけで冒険者になれちゃうんだ。なんかもっと冒険者になるための試験みたいなのがあるのかと思ってた。
うわ!同意の欄に『ダンジョンや討伐依頼などで本人またはパーティメンバーが死亡した際、ギルド側は一切責任をとりません』だって、、、
つまりこれが嫌なら冒険者になるなってことか。
「これで頼む」
「かしこまりました、それでは2人分承りますね」
「すいません師匠、代筆してもらって」
「構わん、それよりあまり面倒ごとを増やすなよ」
「何のことですか?」
「さっき入場門のところで変な野郎に絡まれてただろ」
「あれはあっちが一方的に」
「どうであれこれからウィンガーの所に行くんだから、なるべくいざこざは避けろ」
「、、、はい」
「おいおい、どこかで見たと思ったら門にいた田舎もんじゃねぇか!」
ゲッ、、よりによって今この状況で一番目をつけられたくない奴に見つかるとは、、、
マジで運ねぇ~、、
「おいおい、まさか冒険者になるつもりかよ、やめとけって」
「お前みたいなやつが真っ先に死ぬんだからよ!」
「そうだ、兄貴の言うことは正しい考え直せ」
「俺は先行ってるぞ」
「ちょ、、師匠」
「第一まず冒険者ってのが何かを教えてやる」
「よっ!待ってました!」
「まず、冒険者ってのはな」
「悪い、俺急いでるからじゃあな」
「おい、まぁ少しぐらい聞いてけって、それでな」
「マジで急いでるからお前なんかの話なんざ聞いてられるか!」
「は?今お前俺に向かってなんつった?聞いてられるか?俺に向かって?」
「いい度胸じゃねぇか!この俺様に向かってその口の利き方、教育してやるよ田舎もんが」
「えぇ、兄貴あの田舎もんに誰に歯向かったか教えてやりましょう」
ハァ~マジでめんどくさい、、んな時間ねぇっつうの!
どうすっかなこの状況、、、、
「おいおい、またドーベルのやつ新人にからんでんぞ」
「あいつ運ねぇなあのドーベルに目つけられるなんて」
あぁ、本当に運がねぇよこんなめんどい奴の相手をしなきゃなんて、、、
「覚悟しろよ、この俺様に歯向かうとどうなるかを体に刻み込んでやるよ!」
「はいはい、じゃあどうなるのか見ものだな」
「この状況でまだ減らず口を叩けるのだけは認めてやろう、だかなこの世には力の差ってもんがあんだよ!」
「死ね!!」
あぁ~その意見だけはお前に同意するよ、、圧倒的な力の差はもう充分なほどに味わってる。
今からそれをお前に思い知らしてやるよ。
《”冥王覇気”》
ゴゴゴゴッ
「!?」
バタッ
「え?兄貴?!兄貴!!」
「これは、完全に気を失ってますね」
「おい、いまあいつ何した?」
「俺には何もしてないように見えたぞ」
あぁ、確かに今彼は指一本すら動かしてなかった。ドーベルが一方的に殴り掛かろうとしただけ、、、
だが倒れたのはドーベルの方、あの一瞬彼からとてつもないプレッシャーを感じた。一瞬過ぎて具体的には感じ取ることはできたなかった、けどあのプレッシャーは人間を超えた者のそれ。ミスリル級冒険者の”ゼクスト”や”タケマル”、かつて光の勇者と謳われた”ダイキ”、七星王の竜人君主ハーリー=バリントン、大賢者ディメス=メアリー。この者達が共通してあのプレッシャーを放っていた。つまり彼はすでにあの猛者達と同じ領域に立っている存在。一体何者なんだ、、、