第十話 帰還
--大魔森林ネモウ--混沌の底大扉前
「ねぇガイアあなた、今弟子に最後の修行をやらせてるって言ったわよね?」
「あぁ」
「まさかとは思うけどその修行って、、、」
「混沌の底で1000年間過ごすことだ」
「はぁ~、あんたってホント、、、いやもういいわ」
「でもまぁ、あなたの弟子なんだしあの環境下で生きていくぐらいわ育てんでしょ」
「そのつもりだ」
ゴゴゴゴゴゴッ
「よう、いい面構えになったな」
「はい、おかげさまで」
--混沌の底--数時間前の第五層
グゥゥゥゥゥゥゥ!!
「お前を倒してさっさとこの辛気臭ぇ所からずらかりますか!」
グォォォォォォ!!
ボーーン!
シュッ
恐らくこいつが第五層のフロアボス、”放浪暗黒獣”
見た目はまんまデカくて黒いライオンだけど、鬣が黒い炎になってて尻尾に毒を吐くヘビそれに体全体がクリスタルで覆われてる。元いた世界のライオンとは違って随分と付属品が多いが、まぁこれくらいゴージャスじゃないとな、俺の相手なんざぁ勤まんねぇよ!!
こいつが仕掛けてくる攻撃は、さっき放った黒い炎。多分あの鬣から放たれてるな。あとはあのヘビの毒噴射。まだ使ってきてはないがやってくることは鑑定で確認済みだ。
だが、なにより厄介なのが体のクリスタルを飛ばしてくることだ。ただ飛ばしてくるだけならまだいい、飛ばした後に爆発するからすげぇめんどい。しかも飛ばすだけじゃなく地面からもクリスタル生やしてきて対応にすごい手間がかかる。もちろん生えてきたクリスタルも爆発する。
さて、どうしたものかね~、なんてこんなザコ相手にすらならんわ。
《原初技能 ”創造之禊” 》
第三層のフロアボスを倒したときに手に入れた原初技能、創造之禊 種族が魔獣に分類されている魔物の魂を強制的に消滅される。
一見強そうだが、技能の対象が魔物に限定されており、なおかつ種族が魔獣のみと絞られている。しかも対象の魔力値が自分の魔力値を上回った場合、技能効果は失敗に終わり、さらには自分の魔力値が半減して所有してる技能がランダムで一つ、しばらく使えなくなるデメリットつき。こういう場面でしか役にたたないなこれは。
バタンッ
シュゥゥゥゥゥ
よし、死んだな。
コロッ
ん?なんだこれ?
鑑定で見てみるか
【帰還石】
この石に魔力を流し込むことで一番最初の場所に戻る。
まさか、今の放浪暗黒獣を倒して出てきたのか?
第四層までのボスは倒しても何もドロップしなかったのに、、つまり五層以降のボスが倒したらアイテムをドロップするようになってるのか。師匠はこのことも見越してたりしてるのか、、、まさかな、さすがにそこまで見越してたらもはや神のレベルだわ、、ハハハ、、、
でも普通にありえそう、、、
とりあえず戻るか、なんだかんだで師匠の顔を見るのも1000年振りだし、、、まぁあっちじゃあたったの数時間しか経ってないけど、、
よし、帰還石使用
チュイーーーーーン
ピカーーーン
ふぅ、どうやら着いたみたいだな。この大扉を見るのも1000年振りだな、さてこの扉を開けてさっさとこんな気色悪い所とおさらばしよ!
ゴゴゴゴゴゴゴッ
「よう、いい面構えになったな」
「はい、おかげさまで」
久々に師匠の顔を見た、師匠からしたら数時間振りだろうけど俺からしたら1000年振りなんだよな~~、、、
でも不思議だこういう時は感動の再開とかで涙が溢れてくるもんだと思ったけど案外そうでもないな。まさか俺大事な感情の一つをあの中で失くしてきたとかではないよな、、、うぅ、考えないようにしよ。
つぅか、師匠の隣にいる女の人は誰だ?
赤髪ポニテのすげぇ美人な人だな~、ハッ!まさか師匠の恋人とか、、、いやまさかなこっちじゃあたったの数時間しか経ってないんだ、そんなのあり得ない。うん!
でも、豪華そうな鎧に腰には剣を携えてるところを見るとただ者じゃないオーラぷんぷんなんですけど。ほんとに誰この人
「あの、師匠」
「なんだ?」
「隣にいる方はどなたですか?」
「あ?あ~別に気にしなくていいぞ、お前がその中に入ってる間に迷子でここまで来ちゃったみたいでな、だから俺が家まで送り帰すところだったんだよ」
「へぇ~そうなんですね」
「ちょっと!ガイア、誤解を生むような言い方はやめて!」
「それとあなたも何納得してるのよ」
「あ〜違ったんですか?」
ん?今この人師匠に向かって「ガイア」って言った?
ガイアって確か七星王の1人で、神殺しの罪で全ての種族から拒絶されたって言われてる人だよな、、、
それが師匠なのか?
「おい、翔太こんなところで立ち話をする気はねぇ、一旦家に帰るぞ」
「え?あ〜はい」