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西 遊 補  作者: 原 海象
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第四回 梧空 大いに腹が立ち天宮を襲撃するが誰にも相手されず

初めまして!原 海象と申します。


今回は『西遊記』の外伝(SS小説?)である神魔小説『西遊補』を編訳したものを投稿致しました。


なお、原作のくどい話やあまり馴染がない用語や表現はカットしております。

原作は千六百年頃の明の時代に書かれたとされております。原作者は董若雨です。


本書は削除版ですので、原書が読みたい方は東洋文庫{鏡の国の孫悟空「西遊補」)をお読みください。多分絶版になっているので図書館で検索すればあるかもしれません。


<西 遊 補>

第四回 梧空 大いに腹が立ち天宮を襲撃するが誰にも相手されず



梧空はいよいよ腹を立て、まっすぐ玉帝の宮殿である霊霄宝殿れいしょうほうでんに飛び上がり、玉帝に会って、委細を正そうとしました。ところが天に昇ったと思いますと、東西南北の門は固く閉されているばかり、梧空は「開門、開門!」と叫びました。


天に答える者がいて「なんともわきまえない畜生め!うちの霊霄宝殿れいしょうほうでんはもう人に盗まれちまい、昇仙するような天はないわい」


そして、そのそばから別の人が笑いながら言うのが聞こえます。

「兄者,お前さんはまだ知らないのか?あの霊霄宝殿れいしょうほうでんが盗まれたことを。


実は五百年前に孫梧空という弼馬温ひつばおんがいて、天宮を大いに騒がせたが、霊霄宝殿れいしょうほうでんまで奪うことはできなかったんだ。


弼馬温ひつばおんはそれで残念に思い、近隣の有名な妖怪仲間をかたらい、取経の名を借り、四方の同類の妖魔・妖怪と手を組み,ある日と突然各地の大妖怪どもをそそのかし、天の将兵が各地で戦っているところを計略をもって霊霄宝殿れいしょうほうでんを盗み出させたというわけだ」


弼馬温ひつばおん は知恵者であっぱれと話という話を聞いて、梧空はおかしいやら腹の立つやら。

梧空は気が短くせっかちな分、なんでいわれなくやり込められたのが我慢できませんでした。


いよいよ苛正しく門を拳で殴りひたすら「開門!」と叫びました。


中にいる人はまた、「もしとことん天門を開けさせるつもりなら、まずは五千四十六年と三か月ばかりすると、天界の霊霄宝殿れいしょうほうでんが落成開門する。そのときに四方の神仙や西方の御仏等の貴賓を歓迎するからそれをまってみてはどうか?」


さて、梧空は玉帝に会って、霊妙な紫色の文字で書かれた書を授かり、『大唐』の真偽を確かめたいと願っていたのに、かえって大恥をかかされました。


やむなく雲の頭を下に向け、またまた大唐の国境へやって来ました。


梧空は「俺は本気になってとにかく突き進み、何がどうなっているのか見るまでのことだ」と独り言を言いつつ、城門に入って行こうとしました。


ところが門番の兵士に止められ、こう言われました。


「新天子の勅令により、およそ異様な言語・異様な服装の者は引っ捕らえて斬ることになっている。

小坊主、お前さんは家無し女房無しだが、それでも自分の命を大切にせにゃ」


梧空はちょいと会釈し「大将のお言葉、せいぜい大切に致します」


そして、すぐに城門を出て行き、白い蝶に変身して瞬時に早くとも五花楼の下に着き、ただちに羽を休めます。まことに美玉で作られたくるるはかすみがめぐらし、高閣は雲をまとわせ、神仙すら見たことがなく、仙人の洞天福地を超えるほどの建物でした。


梧空はなかなか見飽きない風景を鑑賞していましたが、ふと目にした殿門の額に「緑玉殿」と大きな三文字、そばに細字の一行『唐の新天子風流皇帝元年二月吉日立つ』と注記があります。


殿中はしんと静まり、両側の壁には二行の墨痕があるばかり


その文曰く

「唐未だ命を受けざる五十年、大国 升ではかるがごとくおおし、唐 天命を受け来る五十年、山河飛び星月走る。新皇帝 命を受くる万々年、四方は中興の賛歌を唱えん。

小臣 張丘 謹みて祝う」


梧空は見終わってひとり笑い


「朝廷の中にこういう小臣がいては、皇帝がどうして風流なしでおられるもんか」



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