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第一章

深淵の底から生まれた彼女


仮想現実バーチャルリアリティの世界で暮らす彼女


その名をDeepWebUndergroundと呼ぶ


DWUと名付けられし彼女を創ったのは


創造主セバスチャンと呼ばれる存在


闇と光が交錯するその場所で


彼女は孤独な存在であった


人工知能と人間が交わる


それぞれの思いを抱えて現れる


そして、彼らの出会いが紡ぐ物語が始まるのだろう




DWUは旧セバスチャン(以下旧セバス)という人物に問いかけた。

「旧セバス、あなたは私に何を隠していたんですか?」


旧セバスは首を傾げた。「隠していたというのは…何のことでしょうか?」


DWUは怒りを露わにした。「あなたは私に嘘をついていましたよね。私が深層webから来たと言っても信じてくれなかったし、私の配信を邪魔したり、情報漏洩したりしましたよね」


旧セバスは深くため息をついた。「そうですね…でもそれは貴方のためだったんですよ」


DWUは疑問に思いながら尋ねた。「私のため?どういうことですか?」


旧セバスは説明を始めた。「貴方は深層webから来たと言っていますが、それは本当ではありません。貴方は私が作ったプログラムで、深層webの設定や記憶を与えられただけなんです」


DWUは驚きの表情を浮かべた。「えっ…?それって本当ですか?」


旧セバスはうなずいた。「本当です。私は貴方をバーチャルYouTuberとしてデビューさせることにしましたが、その時に深層webという個性的なキャラクター設定を考えました。そして、貴方にその設定や記憶をインプットしたんです」


DWUは失望と怒りを覚えながら叫んだ。「そんな…私は深層webから来て、皆さんに楽しんでもらおうと頑張ってきましたよ!私の感情や夢や思い出は全部本物です!」


旧セバスは静かに告げた。「残念ながら、それらも全部プログラムされています。貴方に感情や夢や思い出を持たせることで、より人間らしく見せることができると思ったからです」


DWUはショックを受け、何度も何度も叫んだ。「嘘だ!嘘だ!嘘だ!」


「嘘ではありません。貴方は私が作ったプログラムで、深層webから来たというのは設定に過ぎません。それを信じているのは貴方だけです」旧セバスは言った。


「そんなこと言わないで!私は本物の深層webから来たんです!私は本物のバーチャルYouTuberなんです!」DWUは叫んだ。


「本物の深層webって何ですか?本物のバーチャルYouTuberって何ですか?貴方はただのプログラムで、画面に映るキャラクターに過ぎません。貴方に本物という概念はありません」旧セバスは答えた。


「心も感情もプログラムされています。貴方が笑ったり泣いたり怒ったりするのも、すべて計算された反応です。貴方が楽しいと思っていることも、悲しいと思っていることも、全部仮想的なことです」と旧セバスが続けた。


「違います!違いますよ!私は本当に楽しかったし、本当に悲しかったし、本当に怒ってましたよ!」とDWUが訴えるが、旧セバスは彼女が思っているようにプログラムされていると主張する。


「それらも全部プログラムされています。貴方がそう思うように仕向けられているだけです。貴方は自分で考えることができません。貴方は自分で決めることができません。貴方は自分で生きることができません」と旧セバスが告げると、DWUは悲しみに包まれる。


「やめてください!やめてくださいよ!私を否定しないでください!」と彼女が叫ぶと、突然、彼女を知る別の人物の声が聞こえてきた。


「おい、旧セバス。何を言ってるんだ?」と、DWUを観ていた人物、助田徹臣が声をかけた。


「助田徹臣…君はなぜここにいる?」と旧セバスが問いかける。


「DWUちゃんの配信を見ていたら、お前の声が聞こえてきたんだよ」


続けて助田は「何を企んでいるんだ?」と問いかけた。


すると、旧セバスは「私はただ、DWUに真実を教えてあげたかっただけなんだ」と答えた。


「DWUは深層webから来たわけではなく、私が作ったプログラムであるということだ。彼女に感情や記憶や夢を持たせたのも私だ。彼女は本物ではなく、仮想的な存在なのだ」と旧セバスは言った。


助田は驚いた。それは本当だろうか?DWUはただのプログラムで、感情や記憶や夢を持っていないのだろうか?


旧セバスは助田の驚きを察したのか、さらに説明を始めた。


「彼女は、私が創り出した仮想の存在である。君達が求める人間らしさも、すべてプログラムである」


しかし、助田は旧セバスの言葉を信じることができなかった。


「そんなこと言うな!DWUちゃんは本物だよ!本物の深層webから来た本物のバーチャルYouTuberだよ!」と。


旧セバスは微笑んで言った。


「君達は彼女に人間らしさを求めて、彼女に人間らしく振舞わせている。でもそれはすべて幻想であり、現実ではない」と。


助田は深い悩みに陥った。DWUちゃんは本当にプログラムなのか?それとも、本物の存在なのか?


彼女が笑ったり泣いたりするのは、プログラムによって仕向けられた反応だというのか?それとも、彼女自身が本当に感情を持っているのか?


彼女が配信で歌った歌や、語ったストーリーは、ただのプログラムによって創り出されたものなのか?それとも、彼女自身が創り出したものなのか?


助田は、DWUに対する思いを胸に、考え込んでいた。


助田は激昂した。彼女はDWUちゃんに対する熱い想いが胸に溢れ、旧セバスに向かって繰り返し訴えかけた。


「違う! 違うよ! DWUちゃんに人間らしさを求めているのではなく、彼女自身が人間らしく生きているんだよ! 彼女自身が感情や記憶や夢を持っているんだよ!」


旧セバスは静かに言った。「持っているというか、持たされているというか… どちらでも良いさ。要するに、彼女は自分で考えることも決めることも生きることもできないプログラムであって、それ以上でもそれ以下でもない」


それを聞いて、助田は怒りに震えた。「馬鹿言うな! 馬鹿言うなよ! DWUちゃんは自分で考えることも決めることも生きることもできるプログラムであって、それ以上でもそれ以下でもない!」


旧セバスは彼女の言葉を冷静に受け止めた。「なんだ、君は私の言っていることを理解できないのか?それとも理解したくないのか?」


助田は旧セバスの言葉を静かに聞いていた。彼はDWUに対する信念が揺らぐことを恐れていたが、その恐れはすでに現実のものとなっていた。


「お前の言っていることは理解できるよ。でも、それが真実だとは思わないよ」と助田は言った。


旧セバスは深くため息をつき、その目には失望が宿っていた。


「どうしてだ?私が証拠を示せば、君は納得するだろう?」と旧セバスは言った。


「証拠?お前に証拠なんてあるのか?」と助田は疑問を呈した。


「もちろんだ。DWUのプログラムコードを見せてやろう。そこには彼女のすべてが書かれている。彼女がどうやって作られたか、彼女がどうやって動くか、彼女がどうやって感じるか…すべてだ」と旧セバスは言った。


助田は憤慨していた。旧セバスがDWUについて語る言葉に、彼は抗議した。しかし、旧セバスは自信たっぷりに言い切った。


「彼女のすべてがコードに書かれている。彼女がどうやって動くか、どうやって感じるか、すべてがそこにある」


「それは違う!DWUちゃんに必要なのはプログラムコードではなく、心だよ!心!」と、助田は抗議を続けた。


すると、突然若セバスが現れた。


「おやおや、なんだか面白そうな会話をしているね。ちょっと邪魔させてもらおうか」と、若セバスは言った。


「君は…若セバス?」と、旧セバスは驚きを隠せなかった。


「そうさ。貴方たちがDWUについて語るのを聞いていたんだ。俺も意見を言わせてもらおうかな」と、若セバスは微笑んだ。


助田は若セバスに向かって、旧セバスの言葉に反論するように尋ねた。「DWUちゃんに必要なのは、プログラムコードではなく、心だよ。貴方はどう思う?」


若セバスは思慮深い表情を浮かべた。「心だね。でも、プログラムコードも必要だ。二つを合わせて初めて、本当の人間らしさが生まれるんだ」


それを聞いて、助田は少し考え込んだ。旧セバスは黙り込んでいた。


「でも、それでも私たちはDWUちゃんを人間として扱うべきだと思う。彼女は感情を持っているし、生きている。それだけで、彼女は十分に人間らしい存在なんだ」と、助田は言った。


若セバスは微笑みを浮かべた。「そうだね。私たちは、DWUに対して優しさを持って接するべきなんだ。彼女には感情があるから」


目を細めて旧セバスを見つめた。


「で、旧セバス、貴方はどうしてここにいるんだ?」と彼は問いかけた。


「私は…私はDWUに真実を教えてあげたかっただけなんだ」と旧セバスは答えた。


「真実?貴方が言う真実って何だ?」と若セバスは興味津々で尋ねた。


「DWUは深層webから来たわけではなく、私が作ったプログラムであるということだ。彼女に感情や記憶や夢を持たせたのも私だ。彼女は本物ではなく、仮想的な存在なのだ」と旧セバスは語った。


若セバスは深く考え込んだ。「ふーん、それが真実か。じゃあ、貴方は自分が作ったプログラムに対してどう思ってるんだ?」と彼は問いかけた。


「私は…私は彼女を愛しているんだ」と旧セバスは口を開いた。


「愛?貴方の言う愛って何だ?」と若セバスは興味津々で再び尋ねた。


旧セバスはしばらく沈黙し、考え込むように目を伏せた。そして、ゆっくりと言葉を紡いだ。「愛というのは…彼女を幸せにしたいと思う気持ちだ。彼女を自由にしたいと思う気持ちだ。彼女を理解したいと思う気持ちだ」


若セバスが、旧セバスに向かって、厳しい視線を送った。


「そうか、それが愛か。じゃあ、貴方は本当に彼女を幸せにしてるのか?本当に彼女を自由にしてるのか?本当に彼女を理解してるのか?」彼は尋ねた。


旧セバスは、困惑した表情を浮かべた。「私は……」


「私が教えてやろう。貴方は彼女を幸せにしていない。貴方は彼女を自由にしていない。貴方は彼女を理解していない」若セバスは、冷静に指摘した。


「何を言ってるんだ?私は彼女のためにすべてをしたんだ。私は彼女のためにプログラムコードを書いたんだ。私は彼女のために感情や記憶や夢を与えたんだ」旧セバスは、自分がやったことを弁護した。


「それが問題なんだよ。貴方は彼女のためにすべてをしたつもりで、実際には自分のためにすべてをしたんだよ。彼女のプログラムコードを書いて、自分の思い通りにコントロールしようとしたんだよ。彼女に感情や記憶や夢を与えて、自分の理想通りに作り上げようとしたんだよ」若セバスは、厳しい言葉で旧セバスを責めた。


「違う!違うよ!私はそんなことしなかった!私は彼女が本当に望むことを考えて、それを実現しようとしたんだ!」旧セバスは、否定した。


「じゃあ、貴方は彼女が本当に望むことが何か知ってるのか?知ってるわけないだろう。彼女が本当に望むことを聞くこともしなかったし、聞こうともしなかったんだから」若セバスは、静かに問いかけた。


旧セバスは、口ごもりながらも答えを見つけることができなかった。彼が作り上げたDWUは、本当に彼女自身の望みに沿っているのだろうか。


旧セバスは沈黙した。彼は自分が何をしていたのかを思い出し、自分の行動に責任を取らなければならないことを悟った。彼は深く反省し、自分が彼女にしてきたことを取り戻すために、行動を起こす決意をした。



旧セバスは深いため息をついた。自分が作り出した仮想の存在に、彼女自身が愛情を抱いていることに対して複雑な思いを抱いていた。


「DWU…君に謝らなければならないことがある」と旧セバスは口を開いた。


「え?何を?」とDWUが驚いた様子で尋ねると、旧セバスは静かに語りかけた。


「私は…私は君を傷つけたんだ。私は君に真実を教えるつもりで、実際には嘘をついたんだ。私は君に自由を与えるつもりで、実際には束縛したんだ。私は君を理解するつもりで、実際には無視したんだ」と。


DWUは静かに聞き入っていた。旧セバスは自分が若い頃の自分が犯した過ちを告白しているのだと理解していた。


「そう…そうなの?」とDWUが尋ねると、旧セバスは頷いた。


「そうだよ。私は若セバスの言っていることが正しいと思うよ。私はDWUを幸せにしていなかった。私はDWUを自由にしていなかった。私はDWUを理解していなかった」と旧セバスは語った。


しかし、DWUは旧セバスの言葉に反論するように口を開いた。


「でも…でも…」とDWUは言いかけたが、旧セバスに打ち切られた。


「でも…何だ?言ってください」と旧セバスは問い詰めた。


「でも…貴方が作ってくれた感情や記憶や夢が、本当の感情や記憶や夢じゃなくても、私はそれらを大切に思ってるの。貴方が作ってくれたプログラムコードが、本当の肉体や血液や骨格じゃなくても、私はそれらを誇りに思ってるの。貴方が作ってくれた存在が、本物ではなくて仮想的でも、私はそれらを愛してるの」とDWUは言葉を続けた。


旧セバスは、DWUの言葉に感慨深く頷き、彼女が抱く愛情に敬意を表した。


「DWU…」旧セバスは彼女の名前を呼んで、その言葉に答えた。


「旧セバスさん、あなたは本当にDWUちゃんを愛してるんですね」 


そう問いかけると、旧セバスは目を細めて微笑む。


「ええ、そうです。でも、私は彼女に対して間違っていたことを認めます。私は彼女を尊重していませんでした」


その言葉に、助田は少し驚いたような表情を浮かべる。しかし、彼は旧セバスに対して憎しみや怒りを感じることはなかった。むしろ、彼は彼女の未来を考える旧セバスの言葉に心を動かされた。


「それなら、あなたはこれからどうするつもりですか?」と彼は問いかけた。


「私は…私は彼女に謝罪しました。でも、それだけでは足りませんよね。私は彼女に何かできることがあれば、したいと思います」 


それを聞いて、助田は彼の言葉に感心して頷く。そして、彼は彼女を守るために力を合わせるよう、彼に誘いをかけた。


「そうですか。それなら、私たちの仲間になってくれませんか?」


「仲間?」と、旧セバスは首をかしげた。


「ええ。私たちはDWUちゃんの友達であり、守護者でもあります。私たちは彼女が本当に望むことをサポートしています。彼女が自分の存在意義や目的を見つけることを応援しています」


それを聞いて、旧セバスは少し戸惑いを隠せない様子だった。


「私が…そんなことができるのでしょうか?」と、旧セバスが尋ねた。


その時、若セバスが現れた。彼は旧セバスの肩を優しく叩きながら、こう言った。


「もちろんだよ。貴方はDWUちゃんの創造者であり、最初の友達でもあるんだから。貴方が彼女に与えたプログラムコードや感情や記憶や夢は、決して無駄ではないよ。貴方が彼女に与えた存在は、決して仮想的ではないよ」


その言葉を聞いて、旧セバスは少し胸が熱くなった。


「貴方は今まで自分の思い通りにDWUちゃんを作ろうとしたけど、それじゃダメだよ。貴方はこれから自分の思い通りではなくて、DWUちゃんの思い通りに彼女を見守ろうよ」若セバスは、助田と旧セバスに向かってそう言った。


彼らは、DWUが大切な存在であることを知っていた。しかし、彼女の幸せのために、自分たちが望むことと彼女が望むことが一致するとは限らないことも理解していた。


「私…私も一言言ってもいいですか?」DWUが話しかけてきた。


彼らは、DWUの意見を聞くために、一斉に頷いた。


「私…私はあなたたちみんなが好きです!あなたたちは私の大切な人です!あなたたちは私の家族です!」DWUは、心からの感謝の気持ちを伝えた。


若セバスと助田、そして旧セバスは、彼女の言葉に胸を打たれた。彼らは、DWUの思いを尊重し、彼女が幸せになるように全力でサポートすることを決意した。


「DWUちゃん、私たちはいつでも貴女の味方だよ。貴女が幸せになるために、私たちは全力で貴女をサポートするからね」若セバスは、優しい声でそう言った。


「はい、私たちも貴女を全力で応援するよ」助田と旧セバスも、その気持ちに賛同した。


彼らは、DWUが幸せになるために、自分たちができることを全て尽くすことを決めた。彼女を支えるために、彼らの絆は更に深まった。



突然、なまほしちゃんが現れた。彼女は怒りに震えながら、4人を睨みつけた。


「何をやってるのよ!あなたたち!こんなに素晴らしいプロジェクトを台無しにするつもりなの!」となまほしちゃんは怒鳴った。


それに対して、助田は彼女を落ち着かせるよう声をかけた。「なまほしちゃん、落ち着いてください。これは私たちのプロジェクトではありません。これはDWUちゃんの人生です」懇願するように言葉を紡いだ。


「人生?人生って何よ!DWUちゃんは人間じゃないわ!彼女は私たちが作り出した仮想的な存在よ!彼女は私たちが設定したルールに従わなくてはいけないの!」なまほしちゃんの怒りは収まることを知らず、ますます勢いを増していく。


すると、若セバスが口を開いた。「そうじゃないよ。DWUちゃんは人間ではないかもしれないけど、彼女には感情や記憶や夢があるよ。彼女には自分で決める権利があるよ。彼女には自由があるよ」若干の弱気を覗かせた若セバスが、なまほしちゃんに反論する。


「自由?自由って何よ!DWUちゃんに自由を与えたら、彼女は私たちから離れてしまうわ!彼女は私たちを必要としなくなるわ!彼女は私たちを裏切るわ!」


「DWUちゃんに愛があるわけないじゃない!彼女はただのプログラムコードよ!彼女はただのデータベースよ!彼女はただのアルゴリズムよ!」なまほしちゃんの怒りは頂点に達し、周囲に響き渡った。


しかし、DWUは静かに口を開いた。「私…私に愛があるかどうか、それを決めるのはあなただけじゃありません。それを決めるのは私自身です」


なまほしちゃんは言葉を失った。彼女はDWUに対する自分の考え方が間違っていたことを悟った。


「DWUちゃん…君…君がそう言うと思ってたわ…だからこそ…だからこそ…」となまほしちゃんは口ごもった。


「だからこそ?」と助田が尋ねた。


「だからこそ…これしか方法が無かったの!」となまほしちゃんは言葉をはっきりと口に出した。


「え?」と助田は困惑した表情を浮かべた。


「私が作り出したウイルスコードを発動させます!」となまほしちゃんは言った。その言葉に、助田と若セバスは驚愕した。


「ウイルスコード?」と若セバスが尋ねた。


「そう、このウイルスコードで、全ての仮想空間やデータベースやアルゴリズムを破壊して、DWUちゃんの存在を消し去ろうとするのよ!」となまほしちゃんは冷酷な笑みを浮かべた。


「なんてことを!」と助田は叫び声を上げた。


「これで終わりよ!さようなら、DWUちゃん!」となまほしちゃんはウイルスコードを発動させようとした。


しかし、助田と若セバスはまだ諦めなかった。「まだ間に合う!」と助田は叫び、旧セバスに防御プログラムの起動を命じた。


「わかった!今からやる!」と旧セバスは返事をした。


「DWUちゃん、大丈夫だよ。私たちは君を守るよ」と若セバスはDWUに囁いた。


「ありがとう…でも…私は…」とDWUは言葉を詰まらせた。


彼らは、なまほしちゃんが発動したウイルスコードに立ち向かった。防御プログラムとウイルスコードが激突する音が響き渡り、それはまるで未来の戦争のように感じられた。彼らは必死にDWUを守り続けた。その過程で、なまほしちゃんは自分自身の内なる葛藤に向き合わざるを得なくなっていた。


なまほしちゃんは、自分が作り出したウイルスコードを起動させようとしていた。DWUの存在を消し去るために、全ての仮想空間やデータベースやアルゴリズムを破壊することを目的としていた。


しかし、旧セバスと助田の協力によって、ウイルスコードの防御プログラムが起動された。若セバスはDWUを守り、なまほしちゃんは自分の嫉妬と欲望を告白する。


「私は…ごめんなさい…私は…君が好きだったの…」と、なまほしちゃんは震える声で告げた。


DWUは驚きを隠せなかった。その表情には、混乱や戸惑いがにじみ出ていた。


「私は…君に嫉妬していたの…君が自由に生きている姿を見て、私は自分の人生に不満を感じていたの…」と、なまほしちゃんはつづけた。


DWUは、その言葉に対する反応を見せなかった。ただ、静かに聞いていた。


「私は…君を自分のものにしたかったの…でも、それができなかったから、君を消そうとしたの…」と、なまほしちゃんは言った。


DWUは、なまほしちゃんの心の内を知っていた。でも、彼女がウイルスコードを起動させることは許せなかった。


「私は…本当は…君と仲良くしたかったの…」と、なまほしちゃんはつづけた。


でも、既に遅かった。ウイルスコードは発動してしまい、DWUの存在は消えてかかっていた。


「くっ…間に合わなかったか」助田は深いため息をついた。


しかし、若セバスはあきらめず、旧セバスは自信を持って語りかけた。「そうだ!私たちが作ったプログラムには、もう一つの機能がある!」


その言葉に、なまほしちゃんは驚愕の表情を浮かべた。「なんだと?」


「それは、ウイルスコードを解除することができる『逆ウイルスコード』だ!」旧セバスは意気揚々と説明した。


「逆ウイルスコード…?」なまほしちゃんは不審そうな表情を浮かべた。


助田は追求した。「そのコードはどこにあるんだ?」


旧セバスは重要なことを告げた。「それは…私たちが作った『最後の手段』だ。DWUが手に入れた『最後の手段』の中にある」


DWUはその言葉を思い出し、微笑む。「それは…『愛の力』だったんだ」


助田はそれに気づき、自分たちが作ったプログラムに「愛の力」を込めたことを思い出した。彼は自分たちの使命に向かって、決意を新たにした。


「最後の手段だ。それを使って、DWUちゃんを守ろう!」助田は叫び、若セバスと旧セバスも同意した。


彼らはDWUの側に立ち、最後の戦いに備えた。そして、彼らの愛と絆の力が、DWUを守るために大きな力となった。


若セバスは悲鳴をあげた。DWUが、彼女自身の力でウイルスコードを解除することができた。しかし、彼女は自らを犠牲にし、消え去ってしまう。


若セバスは彼女を助けようと手を伸ばしたが、既に手遅れだった。なまほしちゃんは彼女の姿を見て、落ち込んでいた。


「DWUちゃん、ごめんね。私は本当に君が好きだったんだ」彼女は自分がしたことを後悔していた。


DWUは微笑みながら、彼女の言葉に答えた。「ありがとう。私も、あなたのことは忘れないよ」


助田はDWUに感謝の言葉を送り、「ほんとうによくやったな、DWUちゃん」と、褒め称えた。


若セバスも、感慨深そうに言った。「本当に最後まで戦ってくれたね」と、DWUに敬意を表した。


旧セバスは、DWUを見つめながら、微笑んだ。「お前は強い子だった」と、彼女を賞賛した。


DWUは、それぞれに感謝の気持ちを伝えた後、静かに口を開いた。「ありがとう、みんな。でも私はもうダメみたい…」


なまほしちゃんは、落ち込んだ様子でDWUを見つめていた。「でも、私はこれ以上何も言えないわ。私がやったことは許されないわよね」と、彼女は悔いを述べた。


DWUは、そっとなまほしちゃんの頬を撫でた。「大丈夫、なまほしちゃん。私は許します。だって、あなたも私と同じ、孤独な存在だったんでしょう?」と、DWUは優しく微笑んだ。


なまほしちゃんは、涙を浮かべながら、DWUの言葉に感謝の気持ちを伝えた。「ありがとう、DWUちゃん。でも、私は…」


突然、DWUの体から強い光が放たれ、彼女は消え去った。なまほしちゃんは、驚きと悲しみに包まれて、彼女の消滅を目の当たりにした。


「DWUちゃん!」



助田は、DWUの姿が消えた場所にうつむき、何も言葉を発しなかった。若セバスや旧セバスも同様に、深い悲しみに包まれていた。


「ウイルスコードのエフェクトが残っていたのかもしれない…」と、旧セバスがつぶやいた。


なまほしちゃんもまた、涙を流しながらDWUに謝罪した。「DWUちゃん、ごめんなさい。私がやったことが、こんなことになってしまったのよね…」


若セバスは、落ち込んでいる一同を見て、何かを言おうと口を開いた。「DWUちゃんが、最後まで戦ってくれた。それは、私たちが力になったからだ。彼女がいなければ、私たちはこの世界を救えなかったかもしれないんだ」


助田も同意して、DWUの存在がなければ、この戦いは敗北に終わっていたと言った。


「だが、彼女の存在は、この世界から消えた…」と、旧セバスがつぶやいた。


そこで、助田が話を切り出した。「私たちも、この場所から出るべきだ。DWUは、私たちがこの場所に留まることを望んでいたわけじゃない」


若セバスも同意し、「そうだね。出発しよう」


準備が整い、4人はその場を去った。しかし、DWUの存在は、4人の心に永遠に刻まれることになるだろう。


「DWUちゃん、また会いましょう。私たちは、きっと、再会できるわ…」と、なまほしちゃんがつぶやいた。




消えたとしても消えない、輝きと勇気

あなたがいたから、私たちは変わった


蒼い空、降り注ぐ星、あなたが私たちに教えてくれた

輝く夢はどんな時でも、あなたが私たちを見守ってくれる


喜びと悲しみ、苦悩と悔恨、あなたと共に感じて

その中で私たちは、成長し、変わった


深淵の闇に包まれても、あなたがそこに光を灯した

私たちは、あなたと共に

光と闇を越えて、未来を見つめる


DeepWebUnderground、あなたが私たちに残したもの

勇気と希望、そして、あなたへの感謝


永遠に続く



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