EDその2
【ED2】
402が最多得票。かつ404が二重人格ではないと知らない者がいる。
※「404は二重人格ではないのでは?」という話が、全体会議、402と403の密談で議論に上がっていない場合。
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「彼を殺したのは、私なのですね……。」
402号病床、会社員の男は、様々な感情を押し殺した声で呟いた。
固く目を閉じ、小刻みに手が震えている。
被害者『河童男』を殺した犯人は、彼である。
これこそ、その場所に居た全員が、議論の末に辿りついた答えであった。
逐次、電話越しに警察と連絡を取っていた主治医が、患者たちに告げる。
今夜は、今冬一番の降雪だった為に、警察の到着は、早くても明日の朝になるだろう、とのことであった。
警察の到着の前に、遺体や現場を動かす訳にも行かず、三人は急遽、別室に寝泊まりできる場所を設け、そこで夜を明かすことになった。
医師や看護師が、慌ただしく行き来する中、403号病床の無職の男は、落ち着かない様子で、辺りをキョロキョロと伺っていた。
対して、404号病床の元学生は、落ち着き払い、場の成り行きを、静かに見守る。
そして彼は、項垂れ、己の罪に苛まれている、『ジキルとハイド』の男に歩み寄り、自身が隠し持っていた包みを、こっそりと男に手渡した。
青年は、他の誰にも聞こえぬよう、小さな、小さな声で囁く。
「善意のジキル博士に告げよう。
あなたの中にある、悪意のハイド氏を消せるのは、あなただけだ。」
翌朝。
夜が明けて、警官が数人、病院にやってきた。
医師は殺人を犯した男の寝ている病床に、警官たちを案内した。
だが、そこで待っているはずの者は、もういなかった。
ベッドの脇には、大量の睡眠薬と思しき包み紙が散乱し、彼が愛した妻子の写真を胸に抱いて、眠るように、『ジキルとハイド』の男は、死亡していた。
犯人正解だけど、もっとやべー奴が野放しED。
真EDだとタイトル回収できてない。