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桎梏のカルマ  作者: 軟骨
7/15

ハロルド・フィンリーという少女(その5)

 



 ケイリーに頼れるとはいえ

自分でもこの世界のことについて調べないと

怪しまれて、偽物扱いされてそのまま処刑台にとか

使えない公爵令嬢として、田舎に左遷とか


 あり得なくない気がする



 「ケイリー、お父様、お母様はいつ頃お見えになるの?」


 お嬢様言葉と言って良いのか分からないが、板についてきた気がする


 「確か、先程セントラルを出たと知らせを受けたので、お昼には此方にいらっしゃるかと」


 お昼か、この世界でも数字、時間の概念は日本と一緒らしい



 見慣れた数字が刻まれ、カチカチと音を立てながら

時間を知らせる時計にはなんだが懐かしさを覚える


 今は7時、12時としたら5時間施の余裕がある

これなら出来るだろう



「ケイリー、調べものがあるから書庫に籠るわ

紙と何か書けるものを持ってきて

あと、別の仕事してて良いから、何かあったら呼ぶわ」



 その言葉に目を丸くするケイリー

まさか、紙もないの?いや、書庫には沢山の本があったから紙はあるはず

また変なことを言ってしまったのだろうかという心配をよそに



 ケイリーは満面の笑みで

 「お嬢様は何時も魔法学、歴史学の講師が来られると逃げ出してばかり、かと思いきや剣術、馬術等の外に出る学び事は率先して行う、脳筋お嬢様だとばかり

私はお嬢様が成長なされてとても嬉しいです」



 さらりと間に悪口が入っていたがフィンリーが運動神経が良いということが分かりプレッシャーを感じる

勉強はそこそこ出来たけど、小中校と体育の成績は思うようじゃなかった、いずれは剣術、馬術とやらもやらされるのであろう、頭が痛くなるのを感じた





 紙とインク、ペンを片腕に抱え、書庫の扉を開くと日光が床を照らし、ぽかぽかと暖かさを感じる

綺麗に掃除されているようで本には埃は被っていなかった


 畳3枚分程度の細長い書庫には一通りの本が並んでいた



 6m程はありそうな本棚には梯子が立て掛けられていた

それを頼りに一冊一冊取り出す


 床に20冊程置くと適当な場所に座り読み進める


 此方の文字は脳内にスッと入ってきて理解できた


 そういえば、日本ではひらがなとカタカナ以外に文字ってあったかしら、思い出そうとすると再び頭が霞がかる


 やめよう、また倒れても心配かけるし



 そう、徐々に前世の記憶が思い出せなくなって来ているのだ

上手く輪廻転生出来なかった代償なのかは私には分からないが



 どれくらいの時間がたったのだろう

コンコンコンと控えめなノックに


 「ケイリー、もう少し待って

あと、10ページ程で終わるから」と


 集中力は切らしたくないため視線は本へ向けたまま答えると



 ガチャリと後ろの扉が開き

振り向こうとした時には、脇に手が差し込まれ身体がふわりと中に浮き、両膝の下にも腕が通ればお姫様抱っこのような形になる



 ふわりと仄かに香る薔薇の匂いの方へ恐る恐る視線を向けると


 フィンリーと同じ口元下の左に黒子があり

プラチナブロンド、蜂蜜みたいな色の瞳


 目元に皺がうっすら見えるが、40代前半だろうか

海外の俳優と言っても疑われないであろうイケメンが優しげに微笑んだ



 「ただいま、私のリトルレディ」




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