第一話 演歌命です!(3p)
残念ながら本気で実行に移せる勇気は無いので心の中で叫ぶしかない。
それにしても長いな高橋。
先生来るだろ、早く席戻れ。
と、言ってもまたまた非常に残念ながら俺の真後ろの席なんだけどね。
本当どうして俺ってこう悪運が強いんだろうか。
肩ががっくり項垂れる。
早く家に帰りたい。
帰って演歌を聴きたい、そしてもっとコブシを回せる練習がしたい。
想いに耽っていると先生が入って来て授業が始まった。
あれ程煩かった話し声もいつの間にか聞こえない。
自分も何気なく教科書に目を通し先生の話を聞いてる雰囲気だけ出していた。
時たま視線はちらほらと花里さんに送り乍。
その時後頭部に何か当たる感覚がした。
自ずと触ると小さい欠片が床に転がった。
其れが何か直ぐにわかった。
消しゴムだ。
消しゴムの欠片が転がっている。
直ぐ真後ろの奴(高橋)が当ててきたんだろう。
だからといってコレは決して虐めではない。
実はというと高橋とは中学校から一緒で、よく仲間同士消しゴムを当てて遊んでいた。
その一環で未だに消しゴム当ては続いている。
俺達のコミニュケーションみたいなものだ。
高橋の事は心の中ではとてつもなく苦手だけど。