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第一話 演歌命です!
〜♪
ウォークマンから崇拝する歌声が聴こえてくる。
声のひとつひとつが心に染みる。
力強い歌声。
胸の芯が熱く、
涙が出そうになる。
嗚呼、やっぱり最高だな 北島 次郎さんの唄は。
屋上は誰も来ないからゆっくり聴けて幸せだ。
〜♪
キーンコーンカーンコーン。
……………。
ーーーー、ちっ。
もう昼休み終了の合図か。
晴れてる屋上で北島さんの演歌を聴きながらごろごろするのが至福の一時だというのに。
もう教室に行かなきゃいけないのか。
嫌だな。
行きたくないな。
さぼりたい。
さぼりたい。
でも行かなきゃいけない。
腰が重い。
はぁ、。
手のひらサイズのウォークマンをポケットに押し込むと溜息をつき乍僕は鉛をつけた様な重い足取りで階段を下り、ゆっくりと教室へと向かった。