エピローグ
「くっださーいなー」
「いらっしゃいませー。お好きなお席にどうぞ」
カウンター席しか無い小さな天ぷら屋。あたしは1人のお客さんを迎えた。
お客さんは席に座って、メニューを広げる。
「それじゃぁ、キスとぉ、海老とぉ、イカねぇ」
「はい、かしこまりました」
あたしは注文を受けたキスと海老とイカを揚げる。揚げている間に天つゆと薬味を用意する。
「お待ちどおさまです」
「わーい」
お客さんは天ぷらを直ぐに頬張る。揚げ立てが美味しいのはお客さんも承知しているのだ。
「美味しいぃ」
お客さんに喜んで貰えてなりよりだ。
だけど……。
「違ーうっ! 違うのよ。あたしが望んでたのはこんなのじゃないのよ!」
「どう違うのよぉ?」
「お客さんったって、あんた1人しか居ないじゃない! これじゃ、天ぷら屋さんごっこよ!」
「えーっ、仕方ないでしょぉ? 食材は持ってこれるけどお客は無理だしぃ、あんたはここから出られないんだしぃ」
「判ってるのよ。判ってるんだけどっ!」
「もう、我が儘なんだからぁ」
そう言いながら、女神は海老天を美味しそうに頬張った。
エクローネ「チカさんが帰って来てくれた。今度こそ間違えないようにしましょう。彼女も私が守るべきこの町の住人なのだから」
リドル「チカはどうして帰って来ちまったんだろうね……。あのこまで行くことは無いのに」
旦那「……」
リドル「何だい? あの子供の喧嘩は?」
エクローネ「世界まで震えるようなビンタを子供の喧嘩と言えるのはリドルさんだけです!」
ミクーナ「代理人さん素敵だわ! これも魔法よね!?」




