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第四章

 猫同士とはいえ、ニャンしか言えない我々に正確な意思疎通などできない。しかし、メイは採血を嫌がって暴れているので、何が言いたいかの予測が容易である。

 大人しく採血を受けたものの、結果がでるまで数日隔離される羽目になった。これでは状況がさっぱり分からない。


 2、3日経ち、お母さんが迎えに来てくれた。もちろん結果は陰性。捜査は、ふりだしに戻ることとなった。

 警察も、何らかの手が加わり野良猫を家に連れ込むか、感染するように仕向けたのではないかと思っている。しかし、1つの毛も残さず連れ込めるだろうか?私に気づかないように他の猫を運ぶことはできるだろうか?感染している猫をたまたま見つけられるだろうか?


 その時、由美たちが階段でしていた会話を思い出した。

1回目で上手くいって良かったね……そう言っていたのだ。汚い野良猫を無理やり連れてきて、お婆ちゃんに擦り付ける。何回か続ければ、感染するかもしれない。布団の毛は洗濯と掃除で何とかするとしても、無理やり擦り付ければ、暴れられるのではないか。手段までは分からない。


 家に着くと、まだ警察が家で話を聞いていた。

「今回検査の結果、家で飼われている猫からは感染症は見つかりませんでした。人から人への感染は未だ確認されていないことや、皆さんの中にも感染している人は居ないことからから、外部の野良猫が被害者と接触したと考えられます。しかし、被害者は寝たきりで自由が利かない。野良猫が勝手に部屋に入ってきた形跡もないですし、他の猫の毛も見つかりませんでした。意図的に誰かが猫を連れ込んだ可能性はありますが、検証は難しい」


 全員が何も言えなかった。ここにいる全員が、家族を疑っていたからだろう。無理やり野良猫を連れてくるような面倒なことを、他人の家に侵入してからする意味がない。人を殺したいなら、薬を飲ませるなり首を絞めるなり、手段は多くある。そしてお婆ちゃんを恨むのは子供たちだけであり、親も子も、真相を公にする必要を感じなかった。


「1つだけ殺人である可能性を裏付けるものを発見しました。被害者の顔に微量のマタタビを発見しました。野良猫が擦りつくように、誰かが付けた可能性があります。皆さんは、真相を明らかにするつもりがないようですが、こちらとしては今後も調査致しますので」


 そう言い残して、去って行った。

 家の中は、親戚全員がそろっていたが誰も口火を切ることが出来ない様子だった。

 私は、警察の話を聞いて少し思い当たる節があった。



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