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番外編短編目録  作者: 参星
性転換ダンジョン
9/11

ざ・ちぇんじ!─1

一緒に騒いでくださったきりしまさんに捧げます!


※ざ・ちぇんじ!と銘打ってはいますがとりかへばやではないです!!!


※性転換の要素を含みます。



 それは、なんの変哲もないダンジョンだった。


 エレノアの出した魔法の光に照らされて、通路の岩肌が(あら)わになる。

 デコボコとした岩壁に、薄っすらと水が染み出していれば、つやつやとした表面が蛙のようで気持ちが悪い。


 ブーツの足裏が地面を叩く、小石を蹴っ飛ばしたのか、カラカラという音が小さく反響して遠くへ消えた。


 四人が広がっても、無理なく歩ける程度には広い通路。道幅が広いうえ、天井も高い。見上げても、光の外に広がる闇には果てが無いと思える程だ。

 まるで空でも広がっているような気分で、洞窟によくある圧迫感は無かった。


 ジメジメしないのは広いからかなァ──と、気を抜いて歩いていたからだろうか。足先が地面の(へこ)みに引っかかり、シキミの軸はぐらりと揺らいだ。


 完全に身体のコントロールを失ったシキミの腕は、防御本能のまま壁へと向かう。


「ッおい嬢ちゃん! その壁はマズ──!」

「ほぎゃ!?」


 テオドールの制止も間に合わず、手をついた先。しっかりとこの身を支えるとばかり思っていた岩壁が、ゆっくりと沈みこんだ。


 途端、"ふしゅう"という音と共に、どこからか漏れ出した白い煙が、シキミたちの視界を(おお)う。


「エッ…………っげほ、うぇ……!」


 否応なく器官に入り込む粒子に、嘔吐(えづ)くように咳き込んでは、また咳き込む。

 どうやらそれは、シキミだけではないようで。

 苦し気な呼吸音が洞窟内の空気を暫し揺らした。



 ──で。まぁ、そんなことがあったわけでございまして。

 だからまぁ、コレは……罠の作動、だと思うのだけれど。


 なんだか視界が高いような──気がするのだけれど!!



 何かが漏れ出す音は消え、徐々に煙は消えてゆく。

 濛々と立ち込めた白の先、共に歩んできたはずの、頼れる仲間の姿は──すっかり変わり果てていた。



「おや、これは……」

「ヴブヘッ……だァァ……! んだコレ!?」

「あ〜。はい。うん」


 胸元に美しい山を築き上げた「女」二人と、骨格がしっかりとし、嫌味のない美しい逆三角形を作り上げた「男」が一人。


 で、視界を高くした己が一人。


 ──至急、思考の放棄を許可願いたく。




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