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番外編短編目録  作者: 参星
クリスマスイベント企画~2018
1/11

夢幻の塔 − 1(クリスマスソングを聞くと虚無になる)

総勢14人もの作家が参加するイベントに、今回は「レベル1からやり直してこい!?」よりシキミ、ジークが参戦!

本日から間隔を開けて順次更新されます。

それでは皆様、Happy Xmas!!!

楽しんで!

 


「今日は"夢幻の塔"というダンジョンに行こうと思うんですが」

「喜んで!」


 どうでしょうと依頼書を差し出され、シキミは一も二もなく頷いた。

 もとより養っていただいている身。強制などされないが拒否権などは無い──と、彼女は勝手に思っている。


 トレーニングのつもりなのか、上から数えたほうが断然に早いランクA冒険者であるジークはいつも優しい依頼を取ってくる。

 無理難題を吹っかけられなければ、シキミとてそれはもう喜んで首を縦に振るわけで。


「どんな依頼なんですか?」

「名前の通り塔の形をしているダンジョンなんですが……最上階に行って、そこにしかない"夢幻の鐘"を一つ取ってきてほしいと」

「……ははぁ、鐘、ですか。持って来られますかね」

「鐘とは言っても小さい物ですから、そう心配しなくても大丈夫です」


 結婚式に使いたいんだそうですよ、と言われてシキミは思わず立ちくらむ。なるほど、これが幸せのちからか。


 てっきり何かの素材になるものばかりだと思っていたが、ドロップアイテムにはそうした使い方もあるらしい。


 幸運を運ぶのだと言われているそれは、確かに晴れの舞台には相応しく。

 ダンジョン産であるが故に、滅多なことでは壊れないという鐘に二人の仲をかけているのだと聞けば、どの世界でもそういうのは変わらないんだ、と小さな親和性に思わず頬が緩んだ。



 ──と、いう事があって、私は意気揚々とダンジョンに足を踏み入れたわけだが。


 思っていたのと少し違う景色が、そこには広がっていた。


 いつも通り、ダンジョンの入り口である魔法陣の刻まれた門を通り抜ければ、直後耳を打つ軽妙な音楽。

 聞き覚えがあるそれは、可愛らしい子供の声でジングルベル、ジングルベルと口ずさむ。


 思わず見上げれば、青い空を背景に「Merry Xmas!2018」と楽しげな書体が垂れ幕の上で踊っていた。


「は……????」


 いや、ちょっとこの世界に慣れていないのでお伺いしたいんですが、ダンジョンって基本的にこんなに浮かれているものですか?


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