8.五歳になりました
突然ですが、私、ヴィクトリアは五歳になりました。
せっせと薬草を育て、資金稼ぎに勤しんでいましたが、最近、私は薬作りに嵌っております。
ヒューリーは植物に詳しいだけじゃなく、薬についても博識でした。
いろんな薬の作り方を知っているんです。
薬の作り方まで知ってるなんて、ヒューリーは凄い!
そんな訳で、自分で育てた薬草を使って、いろんな薬作りに挑戦しています。
特に解毒系の薬は一通り作って、保管しておこうと思っています。
ほら、解毒薬があればもしもの時に安心でしょ?
温室の片隅に父が作ってくれた調合スペース。
「ヒュー、これであってる?」
《大丈夫だよ、リア》
「次はこれね。こんな感じ?」
《そうそう。次、その薬草を鍋に入れて》
「はーい」
今、私は疲労が取れる飲み物を制作中です!
最近、父が少し疲れ気味なのが気になりまして。
ヒューリーに相談したら、そういう薬もあるという事で試しに作っています。
《うん、もう大丈夫。火を止めるよ》
「はーい」
本来ならば五歳の私が火を使ったり、刃物を使ったりするのは危ないので止められるところですが、そこはほら、ヒューリーがいますからね。
ヒューリーと一緒の時だけ、という約束で許可が出ました。
まあ、ヒューリーが一緒でなくても、温室自体が私の許可がないと入れないことになっていますので、人目がないことを良いことにやりたい放題は可能ですけどね。
勝手に私の温室に入って、精霊の怒りを買う真似をする者はうちの使用人にはいないので。
私が内緒で何をやろうが、目撃者は出ないという事です!
とは言っても、約束は破りませんけどね。
むしろヒューリーは常に一緒にいるので、約束を破る方が難しいです。
《よし、瓶に詰めれば完成だよ》
「やったー。出来たー」
さてと、出来ましたよ、疲労回復ドリンクが!
数種類の薬草を煮込んで作ったので、出来上がったものは渋い緑色をしています。
青汁のようです。
正直、とっても苦そうな見た目です。
これを父にあげようと思うのですが、初めて自分で作ったものなのでちゃんと自分で試飲しないとね。
「……んぐ」
そう思って恐る恐る飲んでみると、なんと青リンゴ味!
とっても不思議でした。
でも、美味しいかったです!
「ヒュー、これ美味しいねー」
《そう? リアが気に入ってくれたのなら良かった》
「でも、疲れが取れたかどうかはわからない……」
《僕がちゃんと付いていたし、リアが作ったんだから大丈夫だよ》
残念ながら、疲労が取れたかどうかはわかりませんでした。
私、疲れてないみたいです。
でも、ヒューリーが太鼓判を押してくれるので大丈夫でしょう。
《じゃあ、リア。忘れないうちにもう一度作ってみようか》
「うん!」
そうだね。
作り方を覚えるためにも、もう一度通しで作ってみるのも大事だよね。