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死亡ルートを回避せよ!  作者: 水無月 静琉
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6.格ってなんでしょう

「おとーしゃま、リア、ミリアとなかよくなったのー」

《あら? リアちゃんのお父様? 私は光の精霊のミリアよ。これからお世話になるからよろしくねぇ~♪》

「ミリア殿、リアの事をよろしくお願いします」

《勿論よ~》


父とミリアの関係も良好そうだ。

良かった良かった。

うちに出入りするようになるなら、やっぱり家族とは仲良くしてもらいたいしね。


あっ、そういえば謁見の途中だった。

そんな事を思い出して周りを見てみれば、みんな呆然としていました。

もしかして精霊契約の現場を見たからですか?

精霊契約は珍しいって言っていたし、初めて見る人も多かったのでしょう。

父もヒューリーと契約した時は、ちょっとの間呆然としていた。

今回は二回目だったので免疫が出来ていたのでしょう、ミリアとは普通に挨拶をしましたしね。


「エルントス、用件は済んだな? もう、帰ってもいいだろう」

「…………あ、ああ」


呆然としている王様は父の言葉に生返事を返しています。

今、了承しましたよね?

父は許可されたと解釈して、私を抱き上げて歩き出しました。

ミリアはそのままの姿で付いてきますが、ヒューリーは小さな姿に戻って私の肩に座っています。


「あっ! ヴィクターちょっと待て!」


あっ、王様が我に返った。

でも、ちょっと遅かったですね。

父は呼び止める声を無視して、歩き続けています。

だが、私達の行く手を阻む者がまだいた。

扉の横に控えていた兵士さんが通せんぼするんです。


「どいてくれないか?」

「で、ですが、陛下が……」

「ん? その陛下に退室の許可は貰ったが?」


立ち塞がった兵士が父に睨まれて、ビクリッとしていました。

いやいや、兵士が非戦闘職の父に怯えるって、どんだけ父の事が怖いんですか!?

さらに父の言い分が正しいので、兵士さんはたじたじです。

私も早く帰りたいので父の味方です。

父に睨まれて萎縮しようが、怯えようが、父を宥める事はしませんよ。


「ヴィクター! 説明していけー!」


王様が叫んでいます。

説明?

王様は何の事を言っているのでしょうか?


「はぁ……」


父よ、溜め息が盛大すぎるぞ……。


「説明も何も、見ていた通りですよ」


???


「高位精霊とは聞いていないぞっ!」

「私も知りませんでしたよ。ヒューリー殿は最初、謁見の間に現れた時と同じ姿をしていたのですから」


あれ?

これってヒューリーの話しなの?


「とーしゃまー。ヒューがどうちたの?」

「ん? 精霊の格についての話しだよ」

「かくー?」


かく、ね……。

かく、カク、……書く?

んな訳ないよなぁ……。


「地位。簡単に言えば強さの事だよ」


おお、格か!


「精霊は強さが明確に別れていてね。さらにそれが見た目ですぐに判断出来るんだ」

「しょーなんだー」

「下級精霊は動植物の姿、中級精霊は手の平サイズの小人の姿、上級精霊は人と変わらぬ姿をしているんだ」


ほうほう、……ん?

ということは、ヒューリーやミリアは上級精霊って事か?


「ヒューリー殿はリアの肩に座れる位の大きさで現れただろう? だから私は中級精霊だと思っていたんだ。だから書類もその様に提出した」


確かにそうだね。

姿形で位を決めていたのなら、ヒューリーの事は中級精霊だと思うわ。

だけど実際は上級精霊だった。

それで王様は、それを説明すれと言っているのか…。

それなら父の言うとおり、全部見てたじゃんねぇ~。

それ以上に何を説明すれと言うんだ!


「ねぇ、ヒュー、ミリア。せーれーさんがちからをかくしていたら、みわけはちゅくー?」

《ん? 普通の人には無理じゃないかな》

《そうねぇ~。自分の位より上に偽る事は出来ないから、私達のような上級精霊が力を押さえて中級、下級と偽る事になるわ~。そうなると区別は付かないと思うわ~》

「しょうなんだ~。だって、とーしゃま」


精霊が力を隠せば、人間には見分けが付かない、と。

父は全く悪くないね。


「うむ。これで問題が解決したな」

「うん! にーしゃまたちがまっちぇるから、はやくかえろー」

「そうだな。ほら、お前ら! そこをさっさと退け」


ヒューリーとミリアのお陰で、王子達と婚約をすることなく、無事に謁見が終わる事が出来た。

これで、王子との婚約破棄からの国外追放や幽閉、暗殺などに巻き込まれる確率が大幅に減ったよね!

よしよし、順調だ!

父よ、帰ったら今日はパーティをしよう!





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