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死亡ルートを回避せよ!  作者: 水無月 静琉
準備期間です。
38/40

38.黒い男の人が来ました

「……こんばんは?」

「……」


夜中にふと起きると、黒ずくめの男の人が枕元にいました。


「えっと……ご用件はなんでしょうか?」

「……」


正直、私が契約した精霊達の目をかいくぐり、ここまで来る人がいるとは思わなかった。

なので、瞬きの回数が多くなるのは仕方がないだろう。


《リア、わざとここまで通したのであって、そいつの実力ではないからな》

《そうよ、リアちゃん。私達がリアちゃんを危険な目に遭わせるわけないでしょう》

《何で追い出したら駄目なんだよ》

「とりあえず、行動は起こさないでくださいね。変な動きをするのでしたら、すぐに拘束しますからね」


精霊達がわざとこの男の人をここまで案内したようだ。


「で? どういうことなのかな?」

《その男、妙なんだよな~》

「妙?」

《邸に入る前、ウロウロとしていたんだ》

「中の様子を窺っていたんじゃないの?」

《いや、そういう感じじゃなくて、入ろうとしては止めて……みたいなことを繰り返していた》

「んん? ん~、迷っていた?」

《ああ、うん、そんな感じ》


ヒューリーの言い分に、私はもう一度黒ずくめの男の人を見る。

それはもう観察するようにまじまじと。

だが、口元が全体的に布で覆われているため、顔全体がよくわからない。


「ねぇ、ちょっとそのマスク取ってくれない?」

《俺がやる》

「ありがとう、ルーク」


ルークがマスクを外してくれたので、改めてまじまじと観察する。

男の人は黒髪で赤い目で、思った以上に若い人だった。

大きくなったルークくらいの少年と青年の間っていう感じだ。

そして、何よりイケメンだ。


「ん~?」


……どこかで見たことがある顔である。

赤い目って特徴的だから、会っていたら忘れないはずだ?


「あっ!」


あ、この人攻略対象者の一人だ!

暗殺者の青年!

まだ少年っぽさが残っているが、間違いない!

夢で見ただけで、直接会ったことはなかったから、思い出すのに時間がかかったよ。


「って、暗殺者!?」

「っ!」


そう、暗殺者だ。

確か名前は……ブラッド。

生まれてすぐに親に裏組織に売られたのだ。

血のような赤い目だったからという理由でね。


「ん~? 血の色?」

「っ!」

「血の色って言うよりは、夕焼け色じゃないかな?」

「っ!」

「あ、キラキラしているからルビーっぽいかも!」

「っ!」


赤い目を眺めて正直に思ったことを口に出すと、ブラッドがビクッと震える。

あれ、怯えている?


《リアちゃんは本当に可愛いわね~》

《いやいや、暢気過ぎじゃないか? だって、暗殺者ってことは、リアのことを殺しに来たってことだろう?》

《リアを殺す? ルーク、何を言っているの? 僕が傍にいて、そんなこと許すわけがないだろう?》

《いや、そういうことじゃなく、驚くとか、怯えるとか……リアが何かしらの反応を示すところだろう? それがないのが不思議でさ~》

「危険がなければ驚くことも、怯える必要もないということではないですか?」


ブラッドが枕元にいたのに気づいた時、びっくりしたよ?

ただ、みんなも一緒にいて、ブラッドが変な動きをしないように常に警戒しているからね。

ああ、ブラッドが怯えているのは、精霊達に見張られているからかな?


「ねぇ、みんな、ブラッドは何もする気はなさそうだし、怯えているから警戒を解いてあげて?」

《《《「……」》》》


ヒューリー、ミリア、ルーク、ジルベールが黙り込んでしまった。

何でだろう?


《あの男が反応しているのはリアの言葉にだよね?》

《だよな~。間違っても俺達の存在のせいじゃないよな~》

「そうですね」

《ふふふ、これがリアちゃんの可愛いところじゃない》


何だろう?

四人で内緒話を始めてしまって、仲間外れにされているよ~。




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― 新着の感想 ―
[一言] 名乗ってないのに名前あてられたのもビビった要因だと思う・・・。
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