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死亡ルートを回避せよ!  作者: 水無月 静琉
準備期間です。
20/40

20.お礼は大切です

父は騎士さん達と犯人を連れて城に帰ることとなった。

本来なら、私も一緒に城へ行って事情聴取ということになるのだが、疲れているだろうからと家に帰ることになった。


《あ、じゃあリアちゃんは私が預かるわ~》


ミリアは両手を広げた。

ちょうだい、とばかりに……。

私はものじゃないんだが……まあ、いいか。

しかし、ミリアの腕に渡る前に、父の腕からひょいと体が持ち上がられた。

あれ~?

今の流れだとミリアに抱きかかえられるものだと思っていたが、横からヒューリーが私を奪取。

私はヒューリーの腕の中にいた。


《ちょっと~。リアちゃんの独り占めはダメよ~》

《やだ》

《もぉ~。仕方がない子ねぇ~》


ヒューリーは絶対に私をミリアに渡そうとしなかった。

ここはミリアが大人な対応をして、ヒューリーに譲るようだ。

ごめんね、ミリア。

お家に帰ったら、一緒にお菓子でも作ろ……うか……?


「そうだ! 風の精霊さん、クッキーはお好きですか?」

《くっきー? 何だそれは》

「サクサクした甘い食べ物です」


お家でお菓子を作ると、強請ねだりに来る精霊さんもいたりするくらいなので、精霊さんは意外とお菓子が好きなんだと思う。


だから、お礼といってはなんですが、風の精霊さんにささやかながらクッキーを贈呈しようと思うのです!


《ぼくもー》

《たべるー》

《ちょーだい》

《わたしもー》

《くっきー》


おお?

何故か、下級と中級の精霊さんがいっぱい集まってきました。

小さな女の子と男の子、小鳥、マリモっぽい子。

いろんな姿をしていますが、全部、風の精霊さんですね。


《この邸に近づけないって、俺に教えてきた奴らだな》

「そうなんですか?」


おぉ!

それならこの子達も私の恩人ですね。


「はい、どーぞ」

《《《《《 !!! 》》》》》


今の私の手のひらサイズのクッキーを一枚ずつ、小さな精霊さん達に渡していきました。

ミリアと一緒に最近作った新作のハーブクッキーです。

小さなこの子達ですので、一枚でも両手に抱えるくらいの大きさです。

精霊さん達は嬉しそうにクッキーを食べ始めました。


「美味しい?」

《《《《《 おいしー 》》》》》


どうやらお口に合ったようです。

まあ、ミリアの太鼓判があったので問題ないとは思っていましたが、精霊の種類によって味覚が違うかもしれないでしょ?

でも、大丈夫のようでよかったです。

カリカリと大きいクッキーを小さな口で食べている姿はとっても可愛い!

あ、助けてくれた上級の風の精霊さんがちらちらと見ています。

クッキーが気になるんですよね?


「いかがですか?」


私は改めて、ハンカチのような布で包んであるクッキーを風の精霊さんに差し出しました。


《ふうん。まあ、貰ってやってもいいぜ》


台詞は悪態をつくような感じですが、目だけはやはりクッキーをちらちら見ています。

この風の精霊さんはもしかしてツンデレさんですかね?


「はい、貰ってください」


私はニッコリ微笑みながら、クッキーを手渡しました。


《っ!!》

「あれ?」


風の精霊さんはクッキーを受けると、忽然と姿を消してしまいました。


《あ、逃げた》

《照れたのね~。恥ずかしがり屋さんなんだから~》


わぁーお。

恥ずかしくなって逃げちゃったんですかー?

やっぱりあの風の精霊さんはツンデレさんですね~。





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