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死亡ルートを回避せよ!  作者: 水無月 静琉
準備期間です。
18/40

18.あ、これ犯人だ

「ヒュ、ヒューリー殿~。私にも、私にもリアの無事を確認させてくれ~」


あ、父もいたんだね。

ごめんね、今まで気づいていなかった。


「お父様ー。心配掛けてごめんなさい。助けに来てくれてありがとう」

「リアー! 無事で本当に良かったよー」


私はヒューリーの腕から父の腕へと渡り、父にぎゅっと抱きついた。

父も私をぎゅっ。

うぐっ!

ち、父よ、ちょっとばかし力が強いよ!

しかし、これが心配を掛けた償いとならば、私は堪えてみせるよ!


《リアちゃん、無事~?》

「あ、ミリアー。無事だよ」

《良かったわ~。怪我もないみたいね~》

「うん。心配かけてごめんね」

《いいのよ~》


父にぎゅうぎゅうと抱きしめられていると、今までいなかったミリアが現れた。

そして私の無事を確認すると、父の腕の中にいる私の頭を撫でていた。

ミリアにも心配かけちゃったね。

でもね、ミリア……。


「ミリアー。それは誰ー?」


……なんか、拘束した知らない男を引き連れているんだよね。

しかも口元から足首まで、緑の蔦でぐるぐると巻かれている……。


《こいつ? こいつはね~、これを持っていたのよ~》

「あっ!」


ミリアが見せてくれたのは私の白のポシェットだった。

誘拐された時に私が身につけていたもの。


《リアちゃんの鞄を持っているなんて怪しいでしょう? だから捕まえてきたのよ~》


あ、よくよく見ると城で声をかけてきた男だ!


「お父様、お父様ー。その人、城でリアに声をかけてきた人。もう一人男の人と一緒にいて、首にビリッってされたー」

「何だとっ!? こいつか、リアを攫ったのはっ!!」


父が目をくわっと見開いて、ぐるぐる巻きの男を見た。

おう……。

父よ、凄い形相をしているぞ……。

しかも、心なしか……気温が下がっていないか?

そうか……氷の宰相の由来ってこれか……?

父のデレ具合を知らなかったら、怖いかもしれない……。


《あら~? じゃあ私、お手柄かしら~。それにしても莫迦よね~。リアちゃんの持ちものも目当てだったのね~。だけどリアちゃんの鞄はリアちゃんしか使えないのにね~》


私の鞄の中身か……確かに、高価なものがごろごろ。

いろんなものが入り過ぎてすっごいことになっているしね。

貴族邸の金庫や宝物庫くらいの価値があるのに、持ち主は子供では金庫や宝物庫より盗みやすそうだもんね。

しかし実際は、金庫や宝物庫のお宝を手に入れるより難解だったりするのだ。

だって、私の所有する魔法の鞄は使用者制限がかけられているんだもん。

対象者は私とヒューリーとミリアだけ。

それ以外は人間だろうが、精霊だろうが鞄に手を入れても何も取り出せないのだ。

父や三人の兄達でさえ、私の鞄からものを取り出すことができないのだ。


《それじゃー、リアちゃんのお父様。こいつよろしくねぇ~》


ミリアは犯人を父の足下に投げ捨てた。

今、ゴトンって結構大きな音が聞こえたんだけど……頭打ってないよね?

死んでないよね?

私が犯人のことをじっと見ていたら、父が思いっきりに犯人を踏みつけた。

「うぐっ」と声にならない悲鳴が聞こえたから、生きてるね。

それなら、よし!


安心したところで、邸の中から騎士が出てきた。

あ、見張り役の男が捕まっている。

どうやら騎士達は中にいた犯人を捕まえていたらしい。


「宰相様。屋敷内にいた者は全て捕獲しましたっ! しかし、手下と思われる者ばかりで、主犯と思われる者はいませんでした」

「うむ。誘拐実行犯、二人のうちの一人はこいつだ。コイツを締め上げてもう一人の実行犯と、他に繋がっている者がいないが吐かせるぞっ!」

「はっ!」

「それで、精霊除けはあったか?」

「はい、こちらに」


おお!

父がきちんと仕事をしているところは初めて見た。

ちゃんと上司っぽい態度だ。

私の前では八割方デレている父だが、こうしているとやっぱり格好いいなぁ~。


…………ん?

ところで父、今、精霊除けって言った?

何それー?





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