夏至の出来事 チェスの結果
試合開始から随分と経ち、竜光は気付いた。
これ、チェスじゃねぇ、、、、
マッドハッターの駒が俺の駒をいくつか取った時に「ふふふふ・・・進化!」って言い出した時におかしいとは思ったんだ。
現在、空中にもう2枚チェス盤が浮かんでいる。もれなくその盤上はマッドハッターの駒でいっぱいだ。
マッドハッターの陣営の「進化」をした駒は、「動物使い」の能力を使い、援軍を呼んでその時に1枚増えて、その後さらに援軍を呼ばれ、もう1枚更に増えた。
友人の鶴見のチェスのしごきにより、それなりに強くなっていた竜光はチェスの強者と試合が出来ることも期待していた。そんな竜光の心中は少し凹み気味であった。
序盤までは普通のチェスだったんだけどな・・・チェックをかけたらかけたで何故か相手のクイーンである包丁の刺さった猫が進化して、包丁も猫も3倍に。
さらにナイトである馬が究極進化してペガサスになった時には、うちの陣の騎士達がソワソワしているように見えた。
まぁ、包丁は刺さってるし、血まみれなのは変わらなかったが!!
「チェックメイト!!」
マッドハッターの声が響く。
そして参ったな。俺は心の中で思う。
あとポーンの何も持たない騎士と、キングしか残っていない。
全く、王様なら予備の剣くらい渡してやれよ!あんな包丁の刺さったオドロオドロしいキャラクターと素手で戦えってのか!!
まぁ、素手で戦う鎧の戦士というのは、なんというか、感情移入出来る理由の1つではあるけれど・・・
しかし、盤面いっぱいに敵しかいないというのも、かえって面白いな。
援軍で来た、あの笛吹のネズミが他の盤面に存在した全キャラをこの最初の盤上に呼び寄せたんだっけ?
それとも鞭を持った猛獣使いらしき、黒豹のせいか?
とりあえず、俺が取れる行動は1つだ。
「参りました。」




