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夏至の出来事 2人の少女

まずい事になった、かな?

見られたらまずいものがある、というか見られても説明のしようがないものがあるということも理解している。

特に自分自身、人に説明できるか?といわれたら非常に説明はしずらい。



竜光は目の前の少女達を見る。



一人は金髪で意志の強さが見える凛とした雰囲気。

160cmくらいか?全体的に細身のモデルみたいな雰囲気である。

服装は花柄のワンピースで茶色のブーツをはいている。

綺麗だけど、少しとっつきにくそうでこわいな・・・



もう一人は青髪で服装に少し特徴があった。ゴスロリってやつか。

全身が黒を基調としたファッションで、至る所にチェーンがついていて、シルクハットを被っている。

顔は可愛い系で、庇護欲をそそられるタイプってやつか?



二人とも美少女といえるだろう。

しかし、今はそんな二人に睨まれている

もしかしてあの剣幕、これは相当にまずいのか?




「・・・それじゃ!!!」

竜光は逃げた。全力で走り出した。


バラ園の横を通り過ぎ、入り口を出ようとした時

目の前の街頭の下に青髪がいた。ゆらりと俺の方に踏み出してきた。

どう見てもゆっくりとした動きだが、なんで前にいるんだ?追い越されもしてなかった筈なのに。




「なんでここに来れたのかな?今はマッドティーパーティーが使用中よ?」


狂ったお茶会?不思議な国のアリス?



「普通の子に見えるけど、能力者って訳ね?」

ニヤッと獲物を狙うような、サディスティックな笑顔を浮かべる。



能力者ってことは、陽光か月光か。どっちかの関係者の可能性があるが・・・この笑い方絶対サドな人だよ。あんまりアブノーマルは嫌なんだけど、中々の美少女、これはいい出逢いに

どう?遊んでいかない?



「えっ?!」




「あなた能力者でしょ?どう、遊んでいかない?」

先程の獲物を狙うような顔が嘘のように、晴れやかな笑顔を浮かべる青髪。


「あそぶ?!!遊ぶって、、、?」


「さっき見てたでしょ?大きなチェス。あれを私と遊ぶの。」


「あぁ、そういう、、、」


「私あのゲームが好きでねぇ。でも、能力者しか出来ないゲームだから、中々遊べないんだぁ。」

「ねぇ、遊んでくれる?」


怪しい相手に終始ペースを握られっぱなしで、あの大きなチェスに興味があるのも事実。

そして、自分の実力にもある程度の実績と自信がある上に、怪しい相手や怪しい状況にも慣れてしまっている竜光の答えは決まっていた。


「あー、まず盗み見ていた事を謝るよ。君たちがあまりに面白そうでさ、つい、見ていてしまったんだ。すまない。」

「それで、良ければ、一緒にゲームさせてもらっていいかい?」


表情が大人びてはいるがおそらく中学生くらいであろう、と思い。余計な波風を立てず、非常に興味のあるゲームもさせてもらえるよう

出来る限り言葉を選び答えた。


「うふふふふぅ、いいよぉー」


どうやら正解だったようだ。とろける様に笑った青髪は、「こっち」と君の手を引き、大きなチェスのあった広場へ連れて行く。


そういえば、さっき君と一緒にいた金髪の女の子はどこに?と尋ねると、帰ったんじゃないかな。気まぐれだし、いつも忙しそうなんだ。という青髪の彼女。


その広場は夜なのに赤紫色にボヤッと光り、不思議と暗くない。

広場全体を埋めるような大きなチェスは両端に見下ろすような高さの台があり、そこでプレイヤーはコマを操るらしい事を推測する。

ただ、その場所にはチェス盤はあっても駒はない。不思議に思いつも、竜光は青髪の彼女に声をかける。



「いやー、近くで見ると中々の迫力だな。」



「早速やろう」


どこか、また雰囲気の変わった青髪の彼女が急かすように云う。


「そこのハシゴを使って、台の上に、そこにテーブルと椅子があるから、座って待つ」


「え、あぁ、わかった。」


コロコロと気分が変わって、いくらなんでも気分屋すぎないか?中学生ってこんなモンだったっけ?


「早く!!」

「ごめん、ごめん、急ぐから!」


竜光はまた気分屋な青髪の彼女に怒鳴られないように、急いでハシゴを登る。


カン、カン、カン、カン、カン、カン、カン

カン、カン、カン、カン、カン


カン、と梯子を登りきった。


随分と長いハシゴだったな。

地面は不思議と明るかったのに、ここからは外は何も見えないな。



その場所からは青髪の娘がいるであろう台が見えなかった。そして、それだけの高さの筈が、本来であれば見えるであろう夜景も、みなと橋も、それどころか今登ってきたばかりの梯子すら見えなかった。



そんな暗闇の中に古いが立派な机と椅子が置いてあった。


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