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繰り返しの人生で勝ち組になるんだい!  作者: 宇野零
弱くてニューゲーム
35/35

ドードーとの交戦

「何を言っているんだ・・・?」



「だから、私たちは宇宙や地下、海底や別の世界から来たわけでも無くて、あなた達と同じ様に地上で生きて、両親がいて、学校に通って、卒業したら仕事をするの。」



「そんな・・・ことが・・・・・?」



「あなた達は私達に気付かないのよね。別に隠れてる訳じゃないのよ?〈普通〉に私達も街を歩いてるし、店で買い物をしている。あなた達と一緒の道を歩いてすれ違っている。」



「でも、私達に気付くヒトはいない。」



「いえ、たまにいるかな。遠くを見ているという風に言われる人。そういう人は私達を見ているの。気づいていないうちは何もしないけどね。」


「気付いたらどうなるっていうんだ?」


「私達の側に来るの。ヒトでありながら、ヒトに気付いてもらえない可哀想な存在になるの。だから、私達はそんなヒト達を救ってあげるのよ?」



「ペットにして、もてあそぶんだろうが・・・!」



「やん、知ってたの?言ってよ。でもね、救いになる事は本当よ。だって放っておいたら歪んでいっちゃうから。」



「歪む?」



「まずは心が歪む。孤独でおかしくなっちゃうのよ。次に形が歪む。最後に存在が歪む。」



「獅子ケ谷!敵の言うことを聞きすぎ!」


「そうですよ!目の前のこのヒトは、おかしいです!」



「あら?あらあらあら?あなた達は迷子じゃないの?今この場所は《マッドティーパーティー》の貸し切りよ?どうやって入ったのかしら・・・・まぁ、いいわ。全員、ちょっと手伝ってくれない?」



「手伝えだって?何を手伝えっていうんだ?!」



「今度赤の女王の晩餐会なのよ。だから、用意をしなきゃ。」



ドードーは歌うように調子外れに喋る。


「皮をーはいで、身を削いで、熱湯に潜らせて、肉を野菜と~あえる!抜き取ーった、魂は、あまーいあまーーいフルーツ!」


「集え、集え、赤の女王の晩餐会ーに。どうなの?どうよ。並べ、並べ、美味しいケーキな女の子。並べ、並べ、美味しいジュースの男の子。」


「ふふふ!ねぇ、ピアノは弾けないの?ピアノが弾けたら一緒に歌いましょうよ!!」




呆気に取られていた俺達はドードーがピアノに指を落とした時に空気が変わったことに気付いた。




「二人共!気を付けろ!」


目の前のドードーと名乗った魔族が纏う雰囲気は尋常じゃない。

周囲には赤黒い空気が漂い、視界が覆われていく。



「獅子ケ谷・・・!」



すぐ後ろにいる二人の姿すら隠れそうになる。






くそ、こうなれば!先手必勝だ!!



「《威風堂々》!!」



俺は《花鳥風月》を手にし、ありったけの力を込めて斬りかかる!



「いくぞっ!!《花鳥風月》の・・・・月!!」



グググと周囲を呑み込むように景色が捻れる。

赤黒い空気が俺の放った技に飲まれていく。



「ドードーどこに行った?!」



俺が放った《月》は赤黒い空気を祓う事に成功しても、敵対していたドードーを飲み込めてはいない。

視界は回復したが、俺達以外周囲には何も無くその事がかえって違和感を感じる。



カツン



カツン



足音が鳴り響く。



どこだ?!



「二人共。円形になるんだ。」



「ワタシに言った?」



?!



振り向くとドードーがいた。

急いで壁を背にするように飛び退き警戒する。



「鶴見、どこだ?!」


「ワタシを呼んだ?」



?!!


後ろからまたドードーの声。



「私の事を誤解しないでほしいの。」


「なんなんだ!くっ!!」



たまらず斬り付ける。



「硬い・・・?!」



「あははは!騙された、騙された!」



いつの間にか手にしていたトンファーで殴打を受ける。

勢いをつけた武器は俺の腹部に当たり、向かいの壁まで吹き飛ばされた。


「ぐはっ!」



くそ・・・本当に魔族ってやつは相性が悪い。

このままじゃ、ジリ貧だ。


その時、聞き慣れた声が聞こえた。



「生・・・命・・・力!!」



ボッカーン!!

俺のすぐ横の壁が大きな音と共に吹っ飛んで行った。



「わーーー?!」


ドードーに直撃したようだ。




「獅子ケ谷!ちょっとあんた何やってんのよ!」


「鶴見・・・どうして。」


「バカね。私は委員長よ!悪者を放ってはおけないわよ!べ、別に、あんたの為じゃ無いんだからね!!」




「それに、世のため、人の為、科学技術の発達のため、大人しくご協力頂けないかしら?痛くしないし、すぐ終わるから!その身体、ちょっと貸してくれないかな?」

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