オウムのローリー。
「おい、レッド戦闘準備だ。」
「グルルル」
「鏡野さんも、身を守る術は?」
「私は通り抜ける事ができます。えーっと、すごく逃げる事が上手だと思ってください。」
「いざという時はその能力で自分の判断で避けるんだ。レッド守り切れないかもしれない。」
鶴見と少女の問答続く。
「ミズキちゃんは、人間をどうするの?」
「うーん、マイさんは可愛いからなぁ。ペットにしてあげる!あっちの男の人彼氏?彼氏もペットにしてあげるよ!!」
鶴見は少女の言葉を聞いても声さえ揺らがず、問い掛ける。
「人間はミズキちゃんじゃなかったらどうすることが多いの?」
「うーん、まずペットでしょ、食べたり、千切って遊んだり、でも子供はペットにする子が多いよ!大人は調べたりするっ言ってる。」
「獅子ケ谷、もういいかな?」
「あぁ。もういいよ。ありがとう。」
こっちに近付いてきた鶴見は俺に抱きついて来た。
体は汗だらけで夏だというのに冷えきっていて、震えている。
「マイさんどうしたの?」
「鶴見、鏡野と一緒に少し離れていてくれ。」
「うん。ごめん、危なくなったら助けるから。」
最後にギュッと強く抱きしめ、鏡野へ鶴見を預ける。
二人がホールの最後列に行ったことを確認して、俺は少女に問い掛ける。
「ミズキちゃんだっけ?」
「そうだよ!彼氏さんはお名前は?」
「・・・レオンって知ってるか?」
「わかんない。それが名前?」
「いや、違うよ。俺の名前は獅子ケ谷 竜光。」
「よろしくね、りゅうこうさん!」
「もう少し聞いていいかな?」
「うん、いいよ。」
「マッドハッターって知ってるか?」
「うん!マッドハッターさんは私達魔族の偉い人だよ!」
やはり、魔族。
「今どこにいるか分かるか?」
「え、うーん。マッドハッターさんは研究でもっと海の方に行くって言ってたよ。」
横浜?
「なんか、赤の女王の新しいゲームを試すんだって!」
・・・ビッグチェス。
「もしかして、今朝から急に力が強くなったのもマッドハッターさんのお陰かな?新しいゲームできっといっぱい魂回収できたんだと思う!」
・・・目に浮かぶ青髪の少女とゾンビ達。
そうだ。
鏡野はあそこにいた金髪の子と瓜二つ。そして、レオンの時に出会ったパックと瓜二つじゃないか・・・・!!
鶴見は無事か?!
思わず二人の方を見るがキョトンとした顔の鏡野と、疲れた顔の鶴見。
「レッド、鶴見に付いていてくれ。」
何も言わず、鶴見の近くの席に止まるレッド。
「ミズキって本名か?」
俺は《花鳥風月》を手にしながら問う。
「やだなぁ。そんなわけ無いじゃん。人間じゃあるまいし。」
「本当の名前は?」
「ペットにするしね。教えてあげるよ。私の名前は《ローリー》だよ。」
ローリーと名乗った少女の体に緑色の羽根が生え、黄色い嘴、というか、あの姿は・・・オウム?
「オウムの《ローリー》?」
「そうよ!私はオウムの能力を持っている!あなた、マイさんの彼氏なのに、武器なんて持って野蛮よ!力づくで言うことを聞かせてあげる!!」
「最後に一つだけ。青の宝玉はどこに?」
「クゥー?これよ・・・同化!」
「残念だったわね!これで、宝玉を狙うことはできな」
「《威風堂々》!!!」
俺の体を中心に大気が渦巻いている。
「もう聞きたいこともある程度聞いた。お前はもう用なしだ。」
「クゥー!その程度で!」
カキン
荒れ狂っていた大気は落ち着いている。
何も無かったように。
「おい、鶴見大丈夫か?」
舞台を降りようとする俺を魔族が止める。
「ま、待て!」
ボト。
舞台上で何かが落ちる音がする。
「まままっま待て!これはなんだ?貴様はなんだ!」
上半身になりつつも喋るオウムのローリー。
オウムって本当にお喋りなんだな。
俺は舞台を振り返り言う。
「俺は・・・正義の味方だよ。移籍はしたけどな。これでも正規の正義の味方だ。」
オウムは呆けた顔をした後に勢い良く飛び立った。
バサバサバサッ
「ふざけるなァぁ!」
鋭い爪で俺を切り裂きに来るが
「遅い。花鳥風月の・・・《月》」
俺は力を込めて目の前の存在を切り裂く。
原宿で放った様に。
ゴゴゴと何かに飲まれていくように消えるオウムのローリー。
肉片すら残らず、消えていった。
「制御は・・・上手くいったようだな。」
失敗したらホームごと消えていてもおかしくなかった。
だが、原宿から渋谷までの短い間に成長を実感していた。
坂道で放った一撃で制御を試したというのもある。
「鶴見の心を傷付けやがって・・・欠片さえ許さねぇ。」
こうして渋公での戦闘は幕を閉じた。




