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繰り返しの人生で勝ち組になるんだい!  作者: 宇野零
弱くてニューゲーム
29/35

鏡の国の戦闘

「あーーーーぁああーーーーー」



この音は、間違い無くトロールだ。

忘れない。この野太い声。醜悪な姿。



切り捨ててやる・・・!!



「鶴見、隠れてろ。」

鶴見を二度と危ない目に合わせてたまるか!!


「え、わたしがいくよー。」



サッと駆け出し、音の方へ向かう鶴見。



「《生・命・力》!!」



その後、ボゴッ!!っという大きい音と「うへー、獣魔だったかー。血塗れになっちゃったー。」という呑気な声が聞こえる。



「あれ?」



俺は鶴見の方へ急いで向かう。



「や、血塗れになっちゃったー。」


と苦笑する鶴見がいた。


今日は血塗れにならないと思って、可愛いおべべだったのになー。なんて言っている。



「無事でよかった。鶴見。」



「まぁね。でも、能力を失う前の噂に聞いてた鎧の戦士なら私より軽くやれてたと思うよ。」



「そうなのか?」


「うん。今の獅子ケ谷でも気を付ければ3回切れば倒せるかな?強い方って言っても、攻撃系の能力を持ってれば倒せない程じゃないよ。不安にさせちゃった?ごめんよ!」



その何でも無いような言葉

鶴見が強いのか?

それとも・・・トロールが弱いだけか。



「さてと、そろそろ戻ろっか!私も準備運動出来たし!」



俺のトラウマの化物を事無く片付けた鶴見と共に待合所に戻る。


そこにいたのは金髪の美少女。ウェーブがかった髪で、身長150cm無いくらいの小柄で胸が強調される体にフィットした服を着ている。



「あなた方が、先輩ですか?」



「えぇ、そうよ。私は鶴見。こっちが獅子ケ谷。あなたは名前は?」



「私は鏡野です。今日からこちら《光》でお世話になる事になりました。先輩方、よろしくお願いします。」




鏡野さんか。ハーフみたいな顔立ちだけど、この顔どっかで見たような・・・?



「獅子ケ谷先輩、これからよろしくお願いします。」


「あぁ、宜しく。」



俺達は原宿駅前まで歩いてきた。

鶴見はロングカーディガンを羽織り、血塗れの制服を隠している。



「何か変な感じがするけど、何にも起きていないように見える。」


俺の感想だ。

現にいつも道理人で一杯で、ハイセンスなファッションに見を包んだ人がいっぱいで、そこかしらに行列が出来ている。



「私も、変な感じがする。けど、なんか変な臭いがするような・・・?」


鶴見は臭いの事を言うけど、俺にはいつも道理の人の臭いで溢れかえる原宿に思える。



「いえ、これは、相当ですよ・・・?こっちの世界にまでこんなに溢れかえるなんて、信じられない。」


鏡野さんが冷や汗をかきながら言う。



「お二人がいて良かった。私は戦う力を持っていないんです。能力で閉じ込めて、自分だけ逃げ帰るを繰り返していたんですがこれだけの量だと、向こうから帰ることは出来ないでしょうから。」



「鏡野さんの能力は別世界に行く能力なのか?」



「はい。その前にお二人ともすぐに戦う準備は出来ていますか?」



「少しだけ、時間が欲しいかな?手にプロテクターを付けなきゃだから。獅子ケ谷もレッドちゃんを喚ばなきゃでしょ?」



「そうだな。まぁ、力を込めて名前を呼べばすぐだから大丈夫だけどな。」



「では、悪いんですが、移動をしながら準備して頂けますか?」



僕達は表参道沿いを下っていく。



「・・・よし、私は大丈夫。」


鶴見はカーディガン脱ぎ捨て、手に金属の板の付いたリボンを巻いた。



「《レッド》」


まるで今までそこにいたかの様に赤い龍が現れる。

急に龍が現れた事にも周りが気付くことはない。

そういうものなのか?





俺達は表参道と明治通りが交差する十字路に来た。

とんでもない人の量だ。




「では、行きます。光に包まれたらすぐに能力を使ってください。・・・《合わせ鏡》」




俺達は強い光に包まれた。





強い光はやがて止み

目が慣れてくると原宿があった。





ボロボロの建物で、ミノタウロスやトロール、ゴーレム、サイクロプスなどのモンスターでいっぱいの壊滅した原宿が現れた。




これが別の世界ってやつか・・・




近くにいた魔物の集団がキッと俺たちの方を向いた!



「《威風堂々》!!」

「《生・命・力》!!」


俺の腰に黒い刀が現れる。

黒い刀に力を流すと、白と黒の刀になる。


俺は刀を抜き取り、構える。



鶴見は両手のプロテクターを身に着けた部分に圧迫感を感じたと思ったら、目の前まで近付いていたミノタウロスに殴りかかった!



バゴッ!!


ミノタウロスは煙となり消えていく。

これが魔物か。



「獅子ケ谷!」


「おう!」


俺達は交差点の真ん中に陣取り三人で背中合わせになる。

レッドは鏡野さんのサポートだ。



「ちょっと行ってくるわね。」


鶴見が向いた方からバゴン!ドカッ!バキッ!っと破裂音が聞こえてくる。

あいつとは殴り合いの喧嘩は死んでもしないと心に決めた。



「さて、じゃあレッド、暫く鏡野さんを任せた。」


「グルルルル」


あれ?猛獣みたいな声を返された。

戦闘時だから?


しかし、俺は目の前の化物から目を離せない。

一番量もいる。交差点近くの商業施設方からわんさか出てくる。



「・・・よし。」



俺は体の中に渦巻いている力を込めて《花鳥風月》振りかぶる。

思う能力は・・・・・



「ぶった斬れ《花鳥風月》!!」



とにかく強く周囲を切り裂く位の勢いで!!

まずは力押しだ!!


ぶぁさああああと周囲を切り裂く音が包み



「・・・よし!こっちはいい感じ・・・よっと!獅子ケ谷、そっちは?!」



「・・・やり過ぎたかも知れない。」



「獅子先輩、どうしたんですか?!龍ちゃん!ほら、あっちもです!」



「獅子ケ谷、あんた戦闘なんてやり過ぎくらいが丁度いいのよ!」



「そうです!鶴先輩の言う通りですよ!龍ちゃん!ブレス!!・・・本当に吐けるんですね。こっちは大体片付けました!」


鏡野さんが俺も知らないレッドの技で化物を倒し終えたようだ。



「私も・・・はぁぁぁぁ!天臥!!」


鶴見はドゴゴゴゴッと格闘戦で起こり得ないような音を出す何かをしたようだ。

もう一度言う。鶴見と殴り合いの喧嘩は死んでもしない。



「獅子ケ谷、静かだけど大丈夫・・・なの?」


「何があったんですか、獅子先輩?」


二人は俺の方を向いて言う。



「えーっとな、力を込めて、切り裂いた・・・?」



近くにあった建物も含めて、切り裂いた結果


「アンタの担当の方、欠片も残ってないじゃない・・・。」



瓦礫を作るどころか、周囲の建物全てを巻き込み消え去った。


いや、俺は見てたんだけど、砂のように吹き飛んでいったというか・・・




俺の力ってなんなの?

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