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繰り返しの人生で勝ち組になるんだい!  作者: 宇野零
弱くてニューゲーム
28/35

初めての戦いと刀の能力

入り口へと向かう俺達を双子の巫女さんが案内してくれた。



「行かれるんですね。」

「行かれるんですね。」


喋る内容も一緒って凄いな。


「えぇ、お世話になりました。サツキさんはどこに?」



「お嬢様は街を守りに行きました。」

「お嬢様はサンプルを取りに行きました。」



言葉は違うけど内容は一緒なんだろうか・・・?



「では、ボク達も街へ出掛けます。色々とお世話になりました。」




「しばしお待ちを。鶴見様、客人が起きました。」

「しばしお待ちを。鶴見様、客人が目覚めました。」



「客人てウチの制服着た、あの子ですか?」


「左様でございます。」

「左様でございます。」


「じゃあ、そうですね。連れて行きます。地上側の出口にある待合室まで連れて来てください。」


「畏まりました。」

「畏まりました。」




「お待たせ!行こう、獅子ケ谷!」




俺達は運動場横の建物から出ていき、ここに来るときに降りてきた階段まで歩いてきた。




「それで結局鶴見はどんな能力なんだ?!」



階段を少しづつ進んでいく。



「生命力を感知する能力よ。」


「・・・なんだって?」


「だから、生命力を感知する能力だって!」



聞き方が悪かったんだろうか。

言ってる意味が良く分からない。



「そっか・・・・」


「なんか諦めてない?!そのままその通りだって!レーダーみたく周囲の人の場所が分かるの!」



レーダーの能力って言えばいいのに!

どうやって戦うって言うんだ?



「相手の動きを察知して、攻撃するのよ!」


「それ、サツキさんの能力と何が違うんだ?」


「違うわよ!お師匠と確かにスタイルは同じだけど、私は自分の生命力を操作する事で肉体を強化出来るし、お師匠の様に眼で視なくても、相手の気配を感じることが出来るんだから!!」



「肉体の強化も出来るのか。それは凄いな!」



過去に自分自身の能力のアドバンテージでもあった、肉体の強化はシンプルだが、凄まじく有能な能力だった。

銃弾でも跳ね返せて、極寒の地や火山地帯でも不自由なく過ごせるというのは、生命としてかなりの利点といえる。



「獅子ケ谷と違って、表面上は変わらないけどね。」


「俺も今は刀の《花鳥風月》が能力だからなぁ。見た目はもう変わらないだろ。」


「刀を持った高校生って良いよね!」


「刀を持った女子高生だと絵になるのは認めるが、刀を持った男子校生は犯罪の香りがするのは何でなんだろうな・・・」



「使わない時は消しておけば?」



「そうだよな?!消せるよな?!これからの学校生活が不安でしょうがなかったんだ!その辺歩いてても捕まりそうな能力だし!」



「え、何その反応。、、、まさか消せないの?」





「・・・・うん。」




「そ、そっか!でもほら!竹刀袋に入れればおかしくないんじゃないかな?!きっと!」




能力開発のエキスパートよ・・・フォローするよりも解決策を求む!




「あとで、お師匠と相談してみるよー。」




長かった階段も登り終えた。


待合所は普通の待合所で、帯刀して行くには不安だったが、幸い誰も居なかった。



「起きた客人を待つのか?」


「うん、そう。昨日夜遅くまで検査をしていたから、単純に寝ていただけどね。彼女の能力があれば一般人への被害が随分減るはず!」



「どんな能力なんだ?」


「空間を操作する能力よ。結界なのか、別の空間を作るのかまでは分かってないんだけど、対象を閉じ込めることが出来るの。」



実際目で見ないとピンとは来ないな。

前の時間軸で彼女を助けた時も、彼女の事をちゃんと見ていた訳でも無いし、あまりよく覚えていない。

どんな人だったか。



「それより、今は獅子ケ谷の事よ。よく常時発動出来るね?目覚めたばかりの能力だし。そもそもその刀、どんな能力なんだろうね?」




「え?俺の能力って刀を生み出す能力なんじゃないのか?」




「うーん、多分違うんじゃないかな?それにしては感じる力が強すぎる。それにその刀から火が出ても、水が出ても対価に払った水晶としてはおかしくは無いんだけど・・・・ねぇ、じゃあ試してみようよ!」



「え?試すって・・?」



周りには今座っている机と椅子、自販機くらいしかない。

色気も情緒も無い待合室だ。



まさか、森林伐採?



「大丈夫、えーっとほらあそこ。」



ん?と指差す方を見てみると

森の中に背の高い人がいる。


下半身が馬だが。



「大丈夫敵だから。」


「いや、それ大丈夫じゃないんじゃ?!こんな近くまで敵が来てるんだろ?」


「私達の中に結界を作れる人とかいないのよ。幻惑の術を使える人も。」


「今までどうしてたんだ?」



「私が排除してたかな。この場所には都会の悪い物を集めて浄化するという撒き餌としての役割もあるし、これが普通だよ。」



「まぁ、いいけどな。ケンタウロスには俺の糧となってもらう。」



俺は刀を構える。


相手は気付いていない。能力は変化したが、以前も肉体系の能力だったのだ。身のこなしには自信がある。


刀が届く位置に来た。

それでもケンタウロスは気付いていない。



「・・・ッ!」


声を発さずに、刀を抜刀、切り捨て、納刀する。



ケンタウロスは・・・



「ちゃんと傷はついてるけど、真っ二つにはならないのか。」


ケンタウロスは体に大きく傷を付け、倒れ込んでいる。



「獅子ケ谷、止め。」


「あぁ。」



俺は刀を倒れたケンタウロスに突き刺す。



ボフっという音と共に煙となり消えていく。


「やっぱり獣魔じゃないんだな。」


「うん。便宜上、魔物って呼んでいるよ。」



今までの化物と何が違うのか。

不思議だ。



「獅子ケ谷の刀さ。」


「うん?」


「獅子ケ谷の刀、まだ目覚めてないかも。」



「そうなのか?」


素人の剣術で切れ味としては悪くない気がしたけど・・・

やっぱり剣術習ったほうがいいのかな?剣道か。


「今、獅子ケ谷が手にしているのは、刀だけど、能力の塊なのよ。だから、剣術なんて必要なくて、能力を高めれば強くなる筈なんだ。それでも、今は力の流れを殆ど感じなかった。」



「どうすれば、いいんだ?」



「なんでもいいんだよ。燃える刀よ!と言っても出来るだろうし、癒やしの刀をとかでも大丈夫な筈。イメージして、外に発するの!それだけで良いんだから!」



「能力をイメージ、か。」


どんな能力が良いんだろう。



「それに、今獅子ケ谷はキーワード言ってなかったし能力がセーブされたのかも。」



「そうは言っても、口に出したら気づかれるじゃないか。」



「気づかれるでしょうね。でもいいじゃない。私も獅子ケ谷も、騙し討ちを出来るタイプじゃないんだよ。堂々といきましょう!!」



「参ったな・・・分かったよ。次はそうする。」


変なとこはサツキさんの譲りなんだろうか。

そこが、嫌いじゃないけどな。



「あれ?なんか大きい反応が来ちゃったかも・・・」



「マジか。クソ、どっちだ?」





「アーーー。」





いつか遠い未来で聞いたような、野太い声が遠くで聞こえた。

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