能力開発と女性の声
「わかった?」
「分からない。」
説明が感覚的過ぎて訳が分からない。
「もー、獅子ケ谷は頭固いんだから!」
「すいませんね。もう一回、今度は言葉を多めに宜しく。」
「だからねー、身体の中の熱い魂をこうグワッと外に投げ出すんだよ!!」
「もう少し、詳細に・・・・!」
「えーっと、だからね。強い思いとかを考えたりするでしょ?それを自分の思う形にするんだよ!!」
「ちょっと分かった気がする。」
「想像するんじゃない!!!感じるんだぁぁ!!」
「分からなくなった気がする。」
「えー?伝統あるフォースの教えなのに・・・」
今、鶴見に教わっているのは、能力の発現の為の方法だ。
朝、さつきさんと話した俺達は体力測定をして、能力が何なのかを教わっていた。能力とは魂の力との事だ。火を生み出す能力?飛ぶことの出来る能力、サイコキネシスまで、それは趣味志向に反映されるという。
「ただ、剣や銃なんかの武器や目に見える形を作れる人はあまりいないんだけどね。」
鶴見は言う。サバゲマニアなら銃を作れるか?と言ったら違うらしい。何に対して意義を感じているかが重要らしく、モデルガンを撃つことなのか、仲間と協力しあう事なのか、場の雰囲気か、一体何なのか。
剣の見た目がすごく好きな人がいたとしよう。その人は能力で剣を作れる可能性は非常に高い。けど、突き詰めていくと、剣の見た目の何が好きなのかで変わってくる。
金属の美しさに惹かれてるとしたら金属操作能力になるし、殺傷力に惹かれてたら刺すや切るに特化した能力に。
ようは、形を取ることよりも、形を取らないことで得られる恩恵が高く、本能的に能力者は能力で形を繰り出す事を避けているとか。
「つまり鎧の能力を持っていた俺は少数派で、目的に対して不必要な手段を取っていた?」
「それは、違うんじゃないかな?獅子ケ谷は身体能力を上げつつ身を守る為に鎧だったんじゃないかな?さっきの身体測定の結果ね。良かったんだけど、とんでもなく良い訳じゃないの。」
「お師匠に聞いていたのは、抜群の運動能力の野生児って聞いていたんだけど。」
「能力で日常的に運動能力を上げていたってことか?」
「恐らくは。」
「つまり今の俺は」
勉強も運動も出来ない・・・・・
気持ちが重くなってきた・・・・
「でも、ほら、能力の素養はある筈よ!早速やってみましょう!」
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で、今やっている訳だが。
俺は今能力が発現しやすくなるスーツを身に纏い
部屋の中央で能力を使おうとしている。
そして、場所も変わり、俺がいるのは壁一面水晶体に覆われた空間だ。
赤、青、黃、緑、紫、無色
この部屋は決して狭い部屋じゃない。
教室一個分位の広さがある。
その中に中央に空間があり、そこへ至る道があり
周囲は水晶で溢れている。
鶴見は強化ガラス越しの隣の部屋で指示をしてくれている。
「もう一回やってみるよ。」
鎧を作り出したあの感覚。
右手から身体を力が入っていく・・・・
・・・・・・・・何も起こらない。
「獅子ケ谷、まさか前の能力を使う要領でとか思ってないよね?」
思っていました。
「獅子ケ谷がどんな体験をしたのかわからないけどね。失ったものは手に入らないの。だから、この能力を手に入れる事は失ったものを取り戻すんじゃなく、新しい力を手にして先に進むことと考えたほうがいい。
厳しいことを言うようだけど、今からを考えて。」
その後マイクが切れておらず失恋でもしたのかしら?と言っていた。
俺は周りを守る為にどんな力が必要だ?
あのチェス戦では?
知識?相手の思想を読む力?
マッドハッター戦では?
強い心?能力があれば万全だった?
捕えられてからは?
誰かに意志を飛ばせれば?拘束されても使える力があれば?
自分の思うがまま動いて、サポートをしてくれる存在がいればなぁ。
でも、きっと能力に特化したのが複数体は必要だし
あくまでサポートだから俺自身も攻撃手段が必要なんだけど
「うん、わかるわかる。」
そうだなあ、刀とかいいかなぁ?
「なんで刀?」
あの時、俺の鎧の力が剣の形になったけど、あれは刀なような気がするんだよ。
「刀じゃ折れるんじゃない?」
折れないようにすればいい。
「拘束された時には?」
ほら、使い魔的なやつで何とかする。
「無理矢理ね。でも、私は貴方の鎧姿に愛着があるんだけどなぁ。」
鶴見、お前俺の鎧の姿知ってたのか?
「鶴見?って、あの子?」
鶴見の方を見ると、まるで時が止まったようだった。
「まるでじゃなく、時が止まっているのよ。」
どうやって?というか君は誰?
不思議と嫌な気持ちはしなかった。
「まだ、秘密よ。」
だって、まだ、私の事忘れてるでしょう?
「願い事が決まったら教えてね。」
願い事?あれ、どっかで誰かがそんな事を言っていたような・・・?




