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繰り返しの人生で勝ち組になるんだい!  作者: 宇野零
弱くてニューゲーム
23/35

サツキさん

「聞いているのか!獅子ケ谷!!」



「はい!すいません!」




ここは・・・?




「本当にどうした?急に無言になって・・・体調が悪いなら、今日は休むか?」



サツキさん・・・?

俺は、戻ってきたのか・・・?

俺が獅子ケ谷竜光だとして、今は、一体いつなんだ?




「おい、聞いているのか?くそ、こうなったら・・・」




スパーンっと教科書で殴られた。



「痛いですよ!何するんですか!サツキさん!!」



「私は悪くない。私を無視するお前が悪い。文句があるなら、次は角だ。」



「・・・!すいませんでした。」


「いい。可愛い生徒にこれ位で目くじらを立てる訳が無いだろう?」


教科書で殴ったくせに。





「サツキさん、今日はいつですか?」


「今日は6月21日。哀れにも中間テストに赤点の獅子ケ谷の為に、陽光学園の優秀な教師陣が特別補修を行い、今日はその確認の為のテストの日だ。」




「鶴見は、来ていますか?」



「あぁ、鶴見は今日各クラスの委員長を集めた会議があるから生徒会室にいるんじゃないか?」


「そうですか。」





あの日だ。


獅子ケ谷竜光としての最後の日。

今日の夜深くに、俺は捕らえられる。


どうする?!勝てるのか?!あのイカれ野郎。

マッドハッターと名乗るあの男に。




「なんか、雰囲気が違うな。仕事中みたいだぞ?獅子ケ谷。」



「?!」



「お前を育てたのは誰だ?少ー年。」



「サツキさんです。」

出会った頃の口調で、戯けるサツキさん。



「そうだろーう?お姉さんはなんでもお見通しだぞー?」



「はい。そうですね・・・。」

そういう人だった。この口調のサツキさんは陽光学園の教師ではない。

月光機関の能力開発責任者の顔だ。



「では、ホウレンソウをせよ。」


「でも、なんと言えばいいか・・・」


「構わん。私が判断する。」





「悪いようにはせんよ。他ならぬお前の為だからな。」


ニコッと笑いながらそんなこと言われたら・・・





俺は号泣してしまった。

目の前のサツキさんは慌てている。





12歳、陽光学園に通う前の事だ。




「眼付きと性根が腐っているのに、笑顔で隠すのが、非常にお上手だな?少ー年?」




路地裏でたむろしていた俺は急に声をかけてきた白衣の女性を恐れた。

別に悪さをしていた訳ではない。


ただ居場所が無くて、自分の力も異常だと悟っていたし、自分に仲間はいない。と思っていた。




「何のことですか?僕らが邪魔なら、向こうの道歩けばいいじゃないですか。」



「違う違う。お前は「なんだぁ?このアマ何か用かぁ?」と言いたいんだろう?」



「いつの時代ですか?僕らは別にチンピラではありません。仲間同士、仲良くお話しているだけです。」



「はは、仲間ねぇ。なんとも思っていないくせに仲間なんてよく言えたもんだ。」



「知った顔で!」




「知らないさ。ただ、お前は体温も血圧も視線も、それ以外の部分も何一つとして変動していない。」


「当てずっぽうじゃないか!」


「違うよ、少ー年。『能力』さ。言っている意味は分かるな?」


「そんな・・・まさか・・・」




言っている意味は分かった。

この人は『仲間』なのだと。



「おい、竜!」

「こんな変な女の言う事を聞くなよ!」

「お前の仲間は俺らだろ!」

「逃げるな!おい!」




その女性は僕の周りの人達に言う。



「まやかしにも程があるぞ!この化け物ども!!」



「ちょっと待ってくれ!アンタが『仲間』なのは分かった!でも、こいつらは!」




こいつらは俺と一緒にいてくれた仲間だと、言おうとしたが、気付いた。

俺はこいつらの記憶が何も無い。

誰だこいつらは?



「お前達は・・・・誰だ?」



気付きやがったか・・・というと

僕の周りにいた少年達はバリバリと人間の皮を破って、その中に詰まっていた何かが集まった。


ミノタウルス。

牛の頭に人間の体の化物。




それが僕の目の前にいる。





「騙されたのだ。少年は恐らくこの化け物のかけた罠に掛かったんだ。」


「こいつらは・・・?」


「化け物、妖怪、モンスター。扱う業者により呼び方は変わるが本質は同じ物だ。我々は『獣魔』と呼ぶ。」




「『獣魔』・・・僕に仲間はいなかったんですね。」




「いる。ここにいるじゃないか?少ー年?良かったなぁ、こんなに綺麗なお姉さんが仲間だぞ?」



「綺麗って自分で言うか!」




「はは、言うさ。事実とは変化のしようがないから事実というのだ口にして何の問題が?隠す必要など何もない。」


!?この人・・・僕の事が・・・?


「みんな同じなんだよ少年。能力を持った人間はみんな孤独なのだ。だから、その心に漬け込むような獣魔は許せないのだよ!!」




「解してくれる!『見通す』!」



そう言いながら、白衣の女性は長いメスのような刃物を持ち、化け物に向き合う。



「喰らえ!!」



ミノタウルスのような化け物、獣魔を切り裂いていく。

周囲には獣魔の赤い血が飛び散っている。



「止めだ!!・・・ふん、他愛の無い。」





勝負は着いたとこちらに帰ってくる女性。


そのの後ろでは・・・獣魔の切れ端から煙が集まり・・・?

頭に大きな穴が空き、脳が見えた状態の大きな牛の頭口を開け、この女性を噛みつけようと・・・!



「危ない!・・・『着装』!!」




俺は今まで、人前で使ったことの無かった『鎧の能力』を使った。


「うわあああああ!」


俺が繰り出したパンチは獣魔に当たる前に

獣魔の牙が女性に・・・!




「ありがとう、少ー年。」


そう言うと女性は手にした刃物を一振りした。


獣魔の赤い血が僕らを染める。





「お陰で助かったよ。ありがとう、少ー年。」



言いながら彼女は俺の頭を撫でる。



「気付いていたのか?」



俺は子供扱いが嫌で、手を振り払う。



「あぁ、私の能力は認知出来るのだよ。動きも気配もな。」



全て『お見通し』さ。と笑う女性。





「しかし、君はなかなかの物を持っているな。目を付けられた理由はソレか。」


「ソレ?」


「獣魔は能力者を率先して襲う。一般人は遊びで襲う。能力者襲うのは理由は解析中だ。」




「少年は、その力を正義に使う気はないか?」


「え・・・?正義に?」


「そうだ、正義の味方になろうじゃないか。」


「え、でも俺なんかが・・・」




バシン!とチョップをされた。

頭を抱える僕に女性は




「己を卑下するな!間違っていないなら、堂々としろ!それが仲間の条件だ!」


「・・・はい!」




その時に俺はサツキさん救われた。

俺の小さな世界の救世主だ。


俺はそれまで泣いた事は無かったし

その後も泣いた事は無かった


そのサツキさんの前で俺は17にもなって泣いている。

声も出して、餌付いて、号泣している。





「おいおい、鍛え直しか?少ー年?」






苦笑したサツキさんは俺の頭に手を置き


いや、辞書の角を起きチョップをしてきた。



痛いというか死ぬ。止めて下さいマジで。




「己を卑下するな!」



「お前は何か間違えたのか?いや、間違えてなどいない!!私が保証してやる!!」


「だから、堂々としろ!獅子ケ谷!!」




「はい・・・はい!・・・はい!」


俺はそんな涙が止まらなくなるような諭し方をされて、涙が止まるほど心は死んでない。泣きながら何度も返事をしてしまう。



サツキさんと初めてあった時に俺の心は生まれたのだ。

そして過去に戻ってきた俺は、荒んで、急いで、ボロボロだった

俺の心をまた生き返らせてもらった。




「本当に何があったんだ?獅子ケ谷。」


若干引きながらも、今サツキさんは俺の頭を撫でてくれている。

長身の彼女は成長した俺の頭を今でも撫でれるくらいに大きい。



子供だったあの時に、ありがとうと言いながら優しく頭を撫でてくれた俺の救世主は。

馬鹿みたいに泣いている俺の頭を泣き止むまで撫でてくれた。

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