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夏至の出来事

今日も、、、、暑い。


みーんみんみんと蝉の無く中、補習に向かう俺はもうすでに家に帰りたい。


夏休みのいい天気のこんな日になんで補習なんか。

いい天気だから、補習は止めてプールに行こう!と先生が提案してくれて


誰かが、そうだ!そうだ!と立ち上がり


先生!先生!!とみんな大好きな佐藤先生に抱き付き、おいおい暑苦しいぞお前らははは



って



「耳元で何囁いてるんですか、さつきさん!」


「佐藤先生な?」


「洗脳しないでください!」


「洗脳だなんて心外な。君の心を読んであげただけだよ。」




この人の心を読む女性は俺のクラスの担任のさつきさん。

さつきさんの見かけは通勤の時に白衣な上にポケットに常に煙草を入れているくせに、受け持っている科目は体育教師。


見た目も含め、言動も変でどう考えても癖しかないこの先生だが、生徒に大人気だ。



その要因のひとつには彼女の持つ伝説にある。

まだ猫を被っていた新任の時の話らしい。


夏祭りの見回りのときに女生徒に絡んだ地域の不良を相手取り、ちぎっては投げ、ちぎっては投げの大立ち回りをして、その不良を束ねていたヤクザをちぎっては投げ、ちぎっては投げ、気付いたら周りには死屍累々となり組を一つ潰したという。



当然、あまりにも腕っぷしに頼った解決方法に問題にはなったが、猫を被っていたこともあり当時の学校側、生徒と保護者達、しまいには噂を聞きつけた卒業生までが擁護に入りなんとかなったらしい。

というか、うちのような特殊な学校には彼女のような存在が必要だ!と校長が熱く語り、給料も大幅に上がったという噂も・・・




それからまだ五年しかたっていないものの、学校の伝説として語り草になっている。

ただ、校長を初めとしたは先生たちの中には「あの頃は、可愛かったのにあんなにふてぶてしく」と嘆いてる人もいるとか。





「さつきさんは、本当は夏希さんだから夏は好きなんでしょ?」


「佐藤先生な? ちなみに夏は嫌いだ。」


「名前負け、かぁ・・・」


「(イラッ)」


俺の耳にはイラッと確かに聞こえた。

そして殴り飛ばされる俺の頭。

さよなら補習に向けて勉強してきた真面目な知識たち。

さよなら単位。



「さっさと起きろ、獅子ヶ谷」

「ちなみにお前はお前が思っているより勉強をしていなかったから、失う知識などない。お前が行った、勉強とやらはぎりぎり赤点を免れるように教師陣が一致団結してカリキュラムを作ってやったんだ。感謝しろ。特に私に。」

「お前というやつは、テストとなると全く駄目なんだ?!実技だとほぼ満点なのに、なぜテストと合わせて割ると、50点台を抜けられないんだお前は?!」

「お前の獅子ヶ谷 竜光なんて名前も十分名前負けじゃないか!獅子か龍かどっちなんだ!」



そうやって俺の首根っこを掴みながら引き摺るさつきさん。


そんなさつきさんだがほかの生徒たちと同じように俺ももちろん好きだ。

伝説などなくとも、誰にでも分け隔てなく、差別しない。言動は上から目線だが、同じ立場に立って話そうとしてくれる姿勢がいい。一緒にいて、安心する。



ただ、絶対に過剰なスキンシップのせいで点数が下がっているという自信はある。


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