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騎士候補生たちの日常

朝、培養液から出た私は体を乾燥させるための風圧乾燥機へと向かった。




途中で出会ったのは私と同じく黒髪黒目のレオン。細身だが引き締まった筋肉のついた肉体。

その中でも平均的な兵士を凌駕していると噂される「才能あふれる」存在だ。

日常的に「私は騎士になるべくして生まれた。」などと言っている。



同じ養成所の中でも同じ戦士育成コースに通う学友でもある。



《だが、騎士になるのはこの私だ。》



私達は別段喋る事はない。友人ではないし、私達は同じ騎士を目指すもので競争者だからだ。

仲良くなった所で、狭き門である、ブラックサン王立騎士団の正騎士の席を奪い合うだけだ。




「なーに、やってるの?」



そう声をかけてきながらコンッと背中をノックしてきた

彼女はパック。



ロングで金色の髪、透き通るような碧眼。落ち着いていて、綺麗な人だと思う。

たしか、使える者の少ない、特殊な魔法を使うはずだ。

性格は温和に思われがちだが、たまに子供のように見える振る舞いをすることで、男子生徒からの人気は非常に高い。




「それで、なにをやっていたのー?仲間同士で、いがみ合ってどうするのよー?」


苦笑しながら、彼女は言う。




「別にいがみ合ってなどいない。なぁ?」


「あぁ、いつも道理だ。」



そう言いながら、肩をぶつけ合う我々は中の良さを彼女にアピールしている。


段々と強くなっていっているのも、仲の良さのアピールのためだ。




「・・・牽制しあわないのー!!」



仲間ではないが、別に嫌い合っているわけではない。



ただ、私も相手もライバルだと思っている。

仲良くは出来ない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




その後、結局話しているうちに体を乾燥し終えた我々は、3人連れ立って学習場に向かう。

そこにいた少女にパックは話しかける。



「アカリ!早かったのね!」



「えぇ、次の育成試験をクリアするために準備をしてたのよ。」



彼女はアカリ。

我が養成所が誇る才女だ。


ゆるく巻かれた白髪に赤目、童顔で非常に可愛い容姿で、外見と中身が優れているが不思議と妬まれない。

ただ、ウサギのようだと口に出すと、酷い目に合うから注意が必要だ。



「あんた、今何を考えてた?」

「・・・いや、なにも」



「おはよう、レオン。」

「おはよう、アカリ。」

そしてこの才能溢れる少女は、才能溢れるレオンに夢中なのだ。



「レオン、あのね、これ作ってきたんだけど・・・」

そういって、顔を赤らめながらアカリはラッピングされた袋包みを手渡す。



「クッキーか!!ありがとう!どうやって準備した・・・かは聞かない方がいいな?うん。」



我々は訓練か休息かに時間を使うことが義務付けられているため、彼女が手にしている焼き菓子を用意する時間なんて無いはずなのだが・・・




「これは、教官殿を操って」


「いや、いい!みなまで言うな!!誰が聞いてるか分かったもんじゃないんだからな!」



アカリはエスパータイプの能力者で過去に類を見ないほどの非常に強力な力を持っている。

知らないうちに告白した記憶さえ忘れている生徒も多いとか・・・。



そして、同じく才能の塊とされているレオンも彼女の前だと形無しだ。

早くくっついてしまえばいい。周囲の人間みんなが思っている。


私も早くくっついて、女で身を亡ぼせばいいと思っている。



「さ、授業を始めるぞ〜」

ビクッ


雑談の最中だったが、そそくさと席に着く。



今日の教官は暗殺術のニンジャ殿か。

あの気配の無さ。今日もニンジャ殿はスマートだ。



いつ来た?いつ来た?と周りが小声で話し合ってるが、そんな事を話していると



「授業の開始時刻にだよ。」「うわぁ!」



ほら、見たことか。ニンジャ殿は特殊な武術の技術を持っており、気がつくと近くにいる。

養成所の規則を守らない生徒を嗜んでいるという噂もある。有能な人間の多い教

官陣の中でも逆らえない教官の一人だ。




「今日は、大サソリの毒を武器に安全に塗り付ける授業を実技で行う。それでは、」

「教官殿!」




「・・・」




授業中は我々は授けて頂く立場であり、何一つ口を出してはいけない。以前、質問を口にした生徒がいたがその生徒はそれ以来見ていない。


戦士を目指す我々の時間は有限で、1秒たりとも無駄には出来ない。

そのため、規律を乱すものは排除される。


それが、ニンジャ殿の授業のルール。

教官殿によっては異なるが、ニンジャ殿は特に厳しい。




私は、一体、何を考えているんだ!と憤慨したあとに

誰が?と横を見ると立ち上がる姿。




「お願い致します、教官殿。何卒、歴史をお教え頂けないでしょうか!」



それは、すぐ近くの席に座ったレオンが発していた。

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