夏至の出来事 ゾンビまで現れた
いつから能力が使えたか、覚えていない。
小さいころから自然に使えていた。俺にとって鎧の能力はあって当たり前だった。
ただ、周りの友人や家族達が同じことが出来ないと、気付いていた。
今俺の身に着けている鎧は俺の能力で生み出したものである。
月光機関で分析した結果「何より硬く、身体能力も向上させる。」という能力らしい。
「素手で戦うスタイルという非常にシンプルで、だからこそ強いものだ。1体1の戦闘能力に大きく特化している。これで中~遠距離の攻撃手段か、もう少し頭が良ければ、お前にもチームを任せられるんだが・・・」
さつきさんがため息をつきながらこんなことを言っていたと思う。
月光機関で所属して、様々な敵と戦った。
一点特化な能力でやっかいな攻撃をしてきた相手がいた。周囲を火で焼き尽くすような被害を出す能力をもつ相手がいた。
そんな能力であるのだが、「ナイフが刺さった。」このことは俺を動揺させた。
「人は見かけによらないとは、いったモンだな?えぇと、マッドハッターさん?あんた相当に攻撃に特化しているな。」
マッドハッターは笑いながら言う。
「そんな、コトは、ないのデスヨぉ?あなたが弱クなっタのですヨぅ。」
今度は棒のような腕で殴り掛かってくる。
「そんな攻撃!・・・うっ?!」
防ぐだけで体中に痛みが走る。
「だから言ったでショウ?アナタの能力はあと2つしかないと。」
「しカシ、あなたの能力を奪ったハずなの二、能力ハ私にナにモもたらさない。失敗なノか、アナタの能力が芽生えてナカッタか」
「あぁ、頑丈にハ、ナッたのですかね?アマリにもアナタが弱いカラ気付きませんデシタ。」
「殴り飛ばサセてあげたカラ、アナタ、じぶんの方が強イと思ったのデスねぇ?かわいぃでスねぇ。」
竜光は話を聞きながら、状況を打破するすべを考えていた。
「パチン」
マッドハッターが指を鳴らすと近くにある墓地から無数のゾンビが現れてきた。
「君は美味しソぉウですよネぇ、状況はモウわかったようデスね?」
マッドハッターはこれまで以上に笑顔となり告げる。
ゾンビがどんどんと向かってくる。
大人、子供、男、女、年齢も性別も何でもありのようだ。
どこまでもゾンビが続く。
目の前まで来たところで、ゾンビが俺の周りを囲むように止まる。
竜光は刺された個所を抑えながら、気付く。
合図を待っているのだと。
よく躾のされた犬のように、「待て」のじょうたいなのだと。
「ハハハ・・・」
乾いた笑いが自分の喉から自然と出ていた。




