北太平洋海戦1
この日本軍は呂号を偵察、通商破壊用に大量生産しています
1942年2月19日 北太平洋
ダッチハーバーより出撃した米艦隊は南下しミッドウェー島を目指した。日本軍にバレないように細心の注意を払い、対潜、対空哨戒を共に厳重に行っていた
「まさか私がこのような艦隊を率いることになるとは夢にも思わなかったな」
この艦隊の司令官であるスプルーアンス少将はそれまでは巡洋艦艦隊を率いていて空母艦隊を率いたことはなかった
「後方の戦艦部隊はどうなっている?」
「いまいち旧式戦艦のため速度か出ずに距離が空いてく一方です。しかし、艦艇は向こうの方が多いため問題はないでしょう」
スプルーアンス艦隊の後方にはキンケイド少将率いる戦艦からなる艦隊がおり、スプルーアンス艦隊がミッドウェーの飛行場を無力化した後にこの艦隊が砲撃で日本軍を殲滅する作戦であった。
スプルーアンスにはいくつか不安事項があったが、もっとも大きかったのが艦隊の指揮経験の不足であった。今まで巡洋艦艦隊を率いたことはあったが、空母の指揮経験はなくこの職に就いたのも上司のハルゼー少将が戦死していたからであった。後方の艦隊を率いるキンケイド少将も同じであったが彼は砲撃の専門家であるため戦艦部隊の指揮に問題はないと見ていた
「なんとしてもミッドウェーを無力化しなければ我々の反撃は始まらない。この作戦に全てが掛かっているのだ…」
日本軍は北太平洋を南下する艦隊の動きを掴んでいなかった。しかし、米軍の暗号の解読も進んでおりダッチハーバーに艦隊を集めていることは把握していたため、黒龍級とそれを支援する諏訪級軽巡洋艦からなる第一、第二特務艦隊を派遣した
「情報が正しければ、この艦隊を撃破すれば米軍から空母は半年は消える。我々の勝利のためにはそれが最低条件だ」
「前原司令、哨戒中の呂28が敵艦隊を発見しました。戦艦4隻を含む大艦隊です」
「ダッチハーバーの艦隊は出港していたか!距離はいくつだ?」
「敵艦隊との距離1300㎞です。呂28は触接を続けるそうです」
「ミッドウェーの航空隊に偵察機を出させて空母を探せ必ずどこかに居るはずだ。我々は敵艦隊を攻撃する進路変更、目標敵艦隊。上の艦にも伝えろ」
黒龍級と同時運用するために建造された諏訪級は阿賀野級の船体を利用した防空巡洋艦で12,7㎝砲を6基持ち、対空、水上両方の高性能レーダーを搭載していた。この艦が黒龍級と同時運用されることになったのは黒龍級には潜望鏡が装備されておらず、浮上時の安全確保と共に航空機運用時の防空を担うことになっていた
「敵艦隊との距離900㎞、艦載機の攻撃範囲に入りました」
「全艦浮上、艦載機を各自発艦後、攻撃隊は上空で編隊を組め」
格納庫内で雷装と爆装を終えた99式艦攻が先に発艦し増槽を抱えた98式艦戦がそれに続いた。艦載機を発艦させた後の黒龍級は船体のバランスが偏るために潜水できないため浮上を続けなくてはならない弱点があった
「前原司令、ミッドウェー航空隊が敵空母発見、場所はミッドウェーから北800㎞のところです」
「となると我々は敵艦隊の間に居るというわけか…我々は敵敵戦艦部隊に集中する。敵空母はミッドウェーに任せろ、あそこには奮進機もある。やってくれるさ」
米軍戦艦部隊
この部隊の戦艦はニューメキシコ級3隻とコロラドの4隻だった。この中でコロラドは40,8㎝砲を装備してるため、日本軍の戦艦にとっては脅威だった。しかし、どの戦艦も最大で22ノットしか出せないため先行する空母部隊と距離を放されていたその時、突然日本軍機が来襲した
「何だと…スプルーアンスは異常なしと連絡してきたのに何故、日本軍機が現れるのだ!大至急スプルーアンスに航空支援を頼め」
「ダメです。ミッドウェーに攻撃隊を出したばかりで、第二次攻撃隊にはしばらく時間がかかるそうです」
「なんと言うことだ…仕方あるまい全艦対空戦用意、1機でも多く撃墜せよ」
米戦艦は副砲を持たず両用砲として12,7㎝砲を装備していたが、これは先見の明があったと言えるだろう。しかし、日本軍機のスピードは米軍の想定を遥かに越えており両用砲よりも機関砲の方が効果的だった。それでも撃墜される機体は少なく、次々と投下されていった
「左舷魚雷4本接近、頭上には急降下爆撃機です」
旗艦コロラドは既に魚雷2爆弾4を喰らい満身創痍だった
「ニューメキシコ級全滅、補助艦も殺られました」
「この戦艦部隊が航空機に壊滅させられると言うのか。残存する艦はハワイへ向かえ、コロラドも総員退艦せよ」
日本軍の猛攻の前に残存する米戦艦は全滅した。しかし、スプルーアンスが空母捜索のために出した偵察機により特務艦隊も発見されてしまった
「こんな近くに日本軍の空母が居ただと…どこから現れたんだ!」
「司令、ミッドウェー攻撃隊全滅しました。帰還機7しかいません」
「何だと…ミッドウェーで何があった?第二次攻撃隊は空母に向けろ、一隻でも多く沈めるんだ」
ヨークタウンとワスプより特務艦隊に向けて第二次攻撃隊が発艦した。ちょうどその頃、特務艦隊では攻撃隊の収容を終えたところだった。
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