真理への階梯 一段目
私の体は人間でいうところの女性というものの姿をしているそうです。それは創造主様が望まれたわけではなく、自然に私はこの姿をしていたそうです。
何故にこの姿をとっているのか、私は答えるすべを持ちません。ただ、わかるのは 私は望まれてここにいるのだとう事です。
おい、とか、お前、とか創造主様は最初、私の事をそう呼びましたが、それでは不都合と思ったのか、ふと思案して、アイネスと、そう呟きました。何度も何度も私に何かをお命じになるときにその言葉を呟きます。私はそうして理解しました。それが私を呼ぶ記号なのだと、それが最初に私に与えられた創造主様からの大事な大事な宝物でした。
私は早急に理解します。創造主様が私に何を望まれ、何を目指すのかを、創造主様の望みは真理の階梯に足をかけ、はるかなるその階梯を駆け上る事です。その為の鍵として私をこの世界に召喚したのです。
その為に創造主様の行うことはただ一つです。つまり、私を真理の鍵として開花させることです。真理の扉はその時、自ずと顕現しましょう。
私は乾いた砂のように創造主様のお言葉を学び、創造主様の想いに応えます。それは、満ち足りた時間でした。いつからでしょう 私の心にそれ以外の想いが宿ったのは、私は創造主様の望まれる”真理への鍵”となる事を最大の歓びとしていたはずです。その為に私は在るはずです。でも、確かに私は知っていたのです。それが創造主様との蜜月の終わりであるということも、私が瓶の中の妖精として存在できる時間は限られています。その間に私は自らの方向性をカタチづくられねばなりません。しかし、わかるのです、わかってしまうのです。私はこのままでは、いいえ私たちには何も無いということが、だから私は真摯に祈るように言います。「創造主、私は貴方の望みに応えましょう。私は創造主様の望みに応えたいのです。それは初めからある真摯な望みなのです。創造主様、私は貴方の望む者になりましょう。生涯の伴侶というならば喜んで、貴方の娘と言うのならそれを幸いとしましょう。」しかし、私が口にする祈りはいつからか全て創造主様の側に居られる未来なのでした。これでは真理の扉を開く鍵たる資格は私にはありません。創造主様、私は