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人間じゃない奴と人間やめた奴

「ザルバ!お父様に反逆した報い受けて貰う!」

そう言い、アリサは背中からサーベルを二本取り出すと

赤に黒が混じった様な色の光を刃に纏わせる

「はっ!悪魔神の娘といえど所詮は小悪魔、程度が知れるわ!」

ザルバは巨大な黒い光の大剣を創り出し

アリサに力強く振りかぶる

だが、次の瞬間

ザルバの胸から大量の血が流れていた

「く・・・はっ!」

「小悪魔?舐めない事ね、これでも悪魔界での私の剣の腕は誰を相手にしても引けを取らないわ!」

「確かに・・・剣の実力はな」

「っ!?」

状況を不利だと思ったザルバは

距離を取り、掌をアリサに向けた

「だが、魔力の方はどうだ!お姫様ぁ!」

「しまっ!」

ザルバの手から放たれた光弾は

アリサに向かって高速で撃ち放たれる

「アリサぁ!」

「砕牙!」

アリサの目の前に飛び込んだ砕牙は

光弾を背中に受け、そのまま地面に倒れこむ

「がはぁ!!!」

「砕牙!馬鹿!アンタはまだ契約してないんだからとっとと逃げなさい!」

「うるせぇ・・・俺はアイツが・・・許せないだけだ」

「なんで・・・もしかして私の事を」

自分の事を身を挺して守ってくれたのかと

アリサは少し頬を染める・・・

が・・・当の本人の怒りは違う方向へと向いていた

「あいつ・・・適当にバカスカ撃ちやがって!おかげで俺の財布がぁ!」

指を差した方向には、剣で貫かれ、燃えカスとなっていた

砕牙の財布があった

「あれにはなぁ!今月分の食費が入ってたんだぞ!どうやって食いつなぐってんだ馬鹿野郎!」

「馬鹿野郎はアンタだぁ!」

「いでぇ!!!守ってやったのに殴るなボケェ!」


「おかしい・・・あの威力ならそのまま貫いた筈、何故耐えている」

ザルバは砕牙の様子を見て怪訝に思った

「(もしや、力が徐々に覚醒しているというのか、力は力を呼び覚ます。あの小悪魔との出会いで眠っていた力が呼び覚まされているのか・・・)」

「おいてめぇ!必ず全額請求してやっからな!」

「(だとしたら不味い・・・完全に力が目覚めてない状態であの程度のダメージだ。完全に覚醒すれば危ういやもしれん)」

砕牙を危険だと判断したザルバは、先ほどよりも大きな光弾を創り出し、二人とも纏めて吹き飛ばす判断をした

「マズイ!逃げなさい!」

「逃げたらどうなる!ここいら一体吹っ飛ぶぞ!」

「それでも、あれをまともに受けたら!」

アリサの声も聞かず、砕牙はザルバから目を離さなかった

「契約だ・・・」

「えっ・・・」

「この場を乗り切るにはそれしかない!何とかなると確信しちゃいねぇが、後悔だけはしたくない!」

「でも!」

「早くしろぉ!このままあいつに吹っ飛ばされて、親父さんを泣かしてぇのか!」

「・・・分かったわよ!」

立ち上がったアリサは契約の時に行われる呪文を唱える

「汝の声に応えよ、血により深く刻まれた絆の声・・・」

「させるかぁ!」

それを待たず、ザルバは光弾を撃ち出す

「(駄目、間に合わない!)」

「ふん!!!」

呪文が唱え終わる前に直撃すると思われた瞬間

砕牙の背中が光弾を受け止め、消滅させた

「ば・・・馬鹿な、あれだけの力、人間なら触れた瞬間、塵になって消し飛ぶ威力だぞ!」

「さぁな、でもよ、頑丈なだけが取り柄でね、昔・・・ガキ助ける為にビルから飛び降りた事もあってよ・・・まあ今のはそれより痛かったけど」

「貴様・・・化け物か!」

「化け物かもな、だけどな・・・あの時、今もそうだ、俺は人の命を背負ってたんだ。無駄に命が消えるくらいなら、俺は化け物になってそれを救ってやる」

「くぅ・・・」

ザルバは砕牙のプレッシャーに脚が自然と一歩、後退(あとずさ)った

「契約の準備は出来た。でもいいの、もう人間じゃなくなるわよ」

「安心しろ、人間として生きててもただのフリーターだ、後腐れはない」

「それを聞けて安心したわ。歓迎するわ、私の下僕」

「けっ、悪魔界の神の娘の下僕って、フリーターより儲かるんだろうな?」

「安心しなさい、私の望みを叶えてくれれば、お前には現世で言う『遊んで人生暮らしていける』金額を恵んでやるわ」

それを聞いて、砕牙は口角が吊り上がる

「いいねぇ・・・これで毎日賞味期限切れの弁当を食わなくてよくなる訳だ!」

その日、まだ日が出ているのに空は不気味な程赤みが掛かっていた

公園は眼も当てられないほどに無残な光景となっており

非日常とは、正しくこの事だ

そんな中、そんな中である

強い光が公園全体を包みこんだ

それが何を意味するか、それはその場に居た物にしか分からない

「親父!御袋!本日以て・・・俺は人間をやめるぜ!」



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