動き出す物語
すません。不定期更新気味でした。
べ、別にサボってたわけじゃないんだからねっ!!
文化祭やら勉強やらで忙しかっただけだもんっ!
ここから物語が始まっていきます。
―98年前―
世界を巻き込んだ第一次世界大戦の裏で、ある世界組織が計画を実行しようとしていた。
都心であるアメリカの地下。そこに集う黒いフードを被った者達。
最高責任者らしき人が円型の机に向かい立つ。
ソイツを中心として、回りには12人ほどいる。
「集まったか」
暗く、低い声が響く。
者達はその声に反応するように、顔を向ける。
どの者も表情は見えない。顔は暗闇に沈んでいる。
「我々の夢を果たす時が来た」
その声に、数名が驚く。
歓喜に震えているのか、者達は暗闇で拳を作る。
「彼女を生贄にした。もうじき叶う」
者達は祈る。
神に祈るかのように。
「我々の時代は終わるのですね。オリバー=クロウリー」
者の一人が最高責任者、オリバーに問う。
その声を聞いてか、オリバーはフードを脱ぐ。
銀色の髪に長髪、ボサボサの髪を掻く。
「そうだ。イレギュラーを殺せば全て元に戻る。それに元々我らは13人だ」
13使徒。彼らは歴史的に有名な使徒であった。
彼らの願い。それは一体なんなのか。
そのとき、渡り廊下に繋がる角で影が動いた。
いち早く反応したのは、オリバーだった。
「誰だ」
「私だよ。わ・た・し」
皆の視線が一人の女性へと向く。
白衣を身に着けた長い髪の女性。前髪は伸びきっていて、よく目が見えない。
「・・・なぜ生きている」
オリバーは嫌そうな顔をして言う。
「あら、わかってるくせに。変なことを聞くのねぇ」
女性は魔女のように笑う。
その笑い声に反応したのはオリバーではなく、中でも背が一番小さい者だった。
彼の名はサキエル。13使徒の中の一人。
「イレギュラー・・じゃないのか?」
「サキエル。やっぱりアナタは頭が良いわね」
惚れるわ、と彼女は付け足してまた笑う。
オリバーは考える。なぜイレギュラーではないのかと。
サキエルは考える。では誰がイレギュラーなのかと。
現在14人。普通であれば13人のはずだ。
辺りは戦慄する。この中の誰かがイレギュラーだということに。
「では、誰がイレギュラー?」
オリバーは口を開く。
「それはアナタがよくわかってるんじゃない?」
彼女は言う。見透かしたように。
オリバーはその言葉に黙ってしまった。
この沈黙に疑問を感じた者達はひとつの疑惑が生まれる。
ある者はオリバーを睨み、ある者は彼女を睨む。
かつて彼女は彼女ではなかった。
それがイレギュラーとなるものだったのだが、その事実は覆るものとなった。
では、彼女は一体何者なのか―――
「オリバー、もう良いでしょ?アナタの願いはここで終わるわ」
「な、何を、馬鹿な」
明らかに動揺しているオリバーである。
が、オリバーの言葉は最後まで続かなかった。
そこに割り込んできたのはサキエルである。
フードが後ろに脱げ、金色の髪が露わとなる。
整った顔、長髪な髪、可愛げな唇。事実、女である。
サキエルの手に握られていたのは長剣。
その剣はオリバーの心臓を貫いていた。
「サキエル!アナタ何を!?」
「『裏切り者は容赦なく斬れ』。そう命令したのはオリバーでしょう?」
数秒の出来事に皆は混乱する。
サキエルはその剣を力強く抜き取り、滴る血を振り払う。
「ねぇ●●。アナタは何を知ってるの?」
「・・・あら、何も知らないわ」
「じゃあ、アナタも裏切り者?」
「私は最初からアナタ達の味方じゃないわ」
彼女は即答する。
黒い髪をいじりながら、彼女は下目線で言う。
自分が上の存在であるかのように。
サキエルはその態度に目つきを変えるが何もせず、ただ殺気を飛ばす。
周りの者達は既にいなくなり、いるのは彼女とサキエル、今は亡きオリバー。
サキエルは壊れかけの人形のように、ただ彼女を見ていた。
「何の力で●●は女になっちゃったんだろうね。まさか、まだ何か隠してる?」
「ええ。私はこんな姿になった理由を知ってるわ。それをアナタに話す義理なんてないけど」
彼女は淡々と話し続ける。
剣を握る拳を強めたサキエルは徐々に彼女に近づく。
「話さなくていい。じゃあ、最後に一つ聞いていい?」
「別に構わないわ。どうせ殺すんでしょう?」
サキエルはその足をピタリと止める。
読まれているのだ。サキエルの考えが。
「・・・じゃあ聞くわ。性格が変わった原因は?」
場が凍り付く。そんな錯覚を彼女は覚えた。
そして、彼女の言った答えはサキエルの感情を爆発させた。
「全てを、壊すために。私は主の為に。世界の為に」
言い終わった刹那、視界が遮断された。
‡
落ちる
闇に落ちる
彼女の意識は闇に落ちていく。
どれくらい落ちただろうか。
光が、一筋の光が、小さく輝く。
彼女は闇の中で思い出す。主から教えられた言葉を。
「死人の魂は100年の巡りを得て、再び大地に花開くだろう」
呟き、彼女は光に吸い込まれる。
彼女の魂はとある一人の少年に行き着く。
行き着いたあと、彼女は深い眠りにつき目覚めを待つ。
少年は気付かない。その力が世界を滅ぼすということを。




